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14. 家具屋姫

犬塚家具の社長・犬塚竹松さん(42歳)と奥さんの梅子さん(38歳)には子供がなかった。家具製造・販売の大手になりつあった犬塚家具に相続人はいなかったのだ。親戚の若者を養子にすることも考えたが、二人の親戚に眼鏡に適う者はいなかった。幼い孤児を引き取って養子にすることは出来たが、恐ろしく時間がかかり、その子を社長にする前に竹松さんが死んでしまうかも知れない。絶望的であった。

ある夜、犬塚家の門前に捨て子があった。赤ん坊の泣き声を聞いた梅子さんが表に出ると、タオルを敷きつめた竹の篭の中に赤ん坊が入っていた。置き手紙はなかった。梅子さんが抱き上げると、赤ん坊はぴたりと泣き止んだ。それはとても可愛い女の赤ん坊だった。

「これは天からの授かり物ですよ。育てましょう!」梅子さんが云った。
「しかし、折角育てても親が『返してくれ』なんて云って来たら、つまらんぜ」と竹松さん。
「しかるべきところに相談して籍を入れてしまえばいいのよ。籍を入れてしまえば返せなんて云えない筈よ」
「裁判沙汰になるかも知れん」竹松さんが将来を案ずる。
「子供を捨てるくらいですもの、貧しいのよ。裁判なんて起せるもんですか」梅子さんは赤ん坊を手放したくない。
結局二人は「伽耶(かや)」と名付けてその子を育て始めた。不思議なことにその子は数ヶ月で五歳くらいに成長した。一年経つと小学校へ入れなければならないくらいに成長した。夫婦は慌ててその子を入籍した。

急速に14歳ぐらいに成長した伽耶ちゃんは不思議な能力を発揮した。犬塚家具のカタログを見ながらお絵描きするのだが、それは元の写真の模写ではなく伽耶ちゃんが元のデザインを勝手に改変し、しかも精巧なディテールで描いたものだった。椅子でもテーブルでも、まるでポルシェ・デザインに委嘱したように先鋭でモダンでしかも優雅なデザインであった。竹松さんはその絵を会社のデザイナーに見せた。デザイナーは驚嘆し、恥じるように顔を赤らめた。竹松さんはそれを具体的に生産ラインに乗せるよう命じた。伽耶ちゃんのデザインは世間で評価され、犬塚家具は業界のトップに躍り出た。竹松さんは利益の数%を伽耶ちゃんの進学・結婚資金として伽耶ちゃん名義の口座に振り込んだ。それは次第に莫大なものになって行った。

16歳ぐらいに成長した伽耶ちゃんは才色兼備の女性になることが誰の目にも明らかになり、「うちの息子と婚約させてくれ」というリクエストが頻繁に舞い込むようになった。竹松さんと梅子さんは「まだ早過ぎる」と云って、そういう希望を一蹴した。

伽耶ちゃんが18歳ぐらいに成長すると、美しく成長した伽耶ちゃんは世間から家具屋姫(かぐやひめ)と呼ばれるようになった。この頃から、伽耶ちゃんは満月の夜になると縁側に出て月を眺め、物思いに耽るようになった。

かぐや姫が20歳ぐらいに成長すると、求婚者が続々名乗りを上げて来た。
「私は東京大学宇宙線研究所でスーパーカミオカンデに噛んでいる米倉です。是非かぐや姫と結婚させて頂きたい」
「スーパー…?なんですか、そりゃ?」竹松さんにはちんぷんかんぷんである。
「宇宙から飛来するニュートリノ、すなわち中性微子を観測する装置です」米倉さんが説明した。「この設計者はノーベル賞を受賞しています」
「へえ…」竹松さんにはまだよく解らない。
「あては京都大学宇宙線研究所でスーパーツメオカンデに噛んでおる坂口云います」次の求婚者が自己紹介した。
「あんなあ、わては大阪大学宇宙線研究所でスーパーシタオカンデに噛んでる藤村云いまんねん」
「わだっけ北海道大学宇宙線研究所でスーパーガムオカンデに噛んでる北村だもね」
「あのよう、おれは茨城大学宇宙線研究所でスーパーハナオカンデに噛んでる沢村だっぺよ」
「おるは熊本大学宇宙線研究所でスーパーホゾオカンデに噛んどる矢野たい」
「ぼくは東京農大宇宙線研究所でスーパークチビルオカンデに噛んでる浜口っす」
いずれも知能指数高い前途有望な青年たちで、竹松さんにも甲乙つけがたい秀才揃いであった。

「姫、どうするの?」今や梅子さんも世間と同じように姫と呼んでいる。「昔なら龍の首の五色の珠を取って来いとか、火鼠の皮衣を持って来いなどと云えたけど、もうそんな無茶苦茶も云えないでしょ」
「そんなことより、姫があの七人の誰かと結婚したいかどうかだ」と竹松さん。「どれも気に入らなければ追っ払うしかない」
「わたし、考えがあるんです」かぐや姫が云った。「みんな宇宙線研究所で働いているんですから、宇宙に関する問題を解いて貰おうと思って…」
「ほう?」竹松さんが首を傾げた。

数日後、かぐや姫は求婚者たち七人を呼び集めた。「満月の夜、月からの信号を解読した方と結婚します」
「えーっ?」男達がどよめいた。
「月には生命体は存在しませんよ」と東大の米倉さん。
「そや。そやから月からの信号なんてありえまへん」と京大の坂口さん。
「そんなもんあるんやったら、とっくに解明されてまんがな」と阪大の藤村さん。
「ナンセンスだべさ。はんかくさいんだわ」と北大の北村さん。
彼ら四人は去って行った。

「人間にとって信号と認識されない種類の信号かも知んねべ」と茨大の沢村さん。
「月の裏側からの超微弱な信号かも知れんたいね」と熊大の矢野さん。これまで月の裏側に降り立った人間は皆無である。
「ひょっとするとノーベル賞ものかもっすね」と東農大の浜口さん。
彼らは今後の研究を約して去った。

「姫、どういうことだ、月からの信号なんて?」家族三人になった時、竹松さんが聞いた。
「そうですよ、出し抜けに…」梅子さんも合点がいかない。「あんな問題で婿殿を決めるなんて…」
「お父様、お母様」かぐや姫が云った。「お世話になっていながら申し訳ありません」かぐや姫が涙ぐむ。「正直に、申し上げます。わたしはこの地球の人間ではないのです」
「ええーっ?」竹松さんと梅子さんが異口同音に驚きの声を発した。
「わたしの発育の早さでお分かりだったと思いますが…?」とかぐや姫。
「うーむ」竹松さんが唸った。そう云われればそうである。
「で、お前、やっぱり宇宙に帰るのかい?」梅子さんはお伽噺を思い出している。
「違います。わたしの星の人々が大挙して地球に移住して来るのです。わたしはこの星で生きていけるかどうか探るための斥候でした」
「スパイか!」竹松さんが咎める。
「申し訳ありません」かぐや姫が頭を垂れる。
「で、宇宙人たちが来るのはいつ?」梅子さんが聞く。
「それは月からの信号次第です。実は暗号解読表を失くしてしまって…」かぐや姫が唇を噛む。
「それでスーパーナンデカンデの連中の助けを借りたのか」竹松さんがしたり顔をした。

その夜、竹松さんはかぐや姫の寝室に忍び込んだ。暗くてもベッドの配置は分かっている。あらかじめ竹松さんは下半身をすっぽんぽんにしていた。夜這いするなら、相手の衣類を剥ぎ取るのに苦労するのは仕方ないが、自分の衣類を脱ぐのにもたもた時間を取られるのは馬鹿である。竹松さんはベッドの脇からシーツとキルティングをめくり、かぐや姫の身体の横に潜り込んだ。かぐや姫は薄く短いサテンのネグリジェに薄く小さなパンティ一枚で、ブラジャーはしていなかった。竹松さんはわななく手でかぐや姫の小さなパンティを引っ張り下ろした。
「うむむ…」何か只ならぬ気配を感じたかぐや姫が、まだ眠りながら寝返りを打った。
その瞬間、竹松さんはかぐや姫の両脚を広げ、姫の股ぐらに膝を進めた。ペニスを片手に保持し、かぐや姫の割れ目に突っ込もうとする。しかし、かぐや姫のおまんこが濡れていないので、なかなか侵入口が見つからない。焦った竹松さんがぐいぐい腰を押す。
「きゃーっ!」ついにかぐや姫げ目覚めた。「誰?やめてっ!」姫が藻掻く。
「わしだ!お前の育ての親だ。静かにしろ」竹松さんが姫の身体を押さえつけながら云った。
「お、お父様?な、なんでまた?」かぐや姫がショックを受ける。

「前からお前とやりたかった。だが、お前がわしらの娘だと思ってやりたい思いを押さえつけて来たんだ」竹松さんが云った。「しかし、お前が宇宙人ならもう我慢することはない」竹松さんはかぐや姫の豊かな乳房を揉みしだいた。
「そんな!お父様はいい人なのに!」かぐや姫が抗う。
「いい人はもう止めた!大人しくやらせろ、姫っ!」竹松さんは姫の身体にのしかかって、ペニスで姫の股間を突つき廻す。
「いけません!やめて!お母様に悪い!」
「あいつのことは気にするな。あいつとはもう何年も交わってない」なおもペニス攻撃を続けながら竹松さんが云う。やたらめったらのペニスの突撃ではあったが、何度か姫のクリトリスに当たった。
「ひーっ!むむーっ!」かぐや姫が性感を得てしまう。自然に愛液が割れ目を潤す。
竹松さんの亀頭が愛液の助けで膣口を発見した。ずぶと先端が入る。(やった!)竹松さんがぐぐっとペニスを押し進める。ぬるぬるすっぽりとペニスがかぐや姫の体内に突入した。

「ぬあーっ!」地球人との初の性交にかぐや姫が興奮する。
竹松さんは宇宙人との性交に感激した。しかし、(なんか、地球の女と変わらんな)と思っている。おまんこの中にベロがあってペニスを舐め廻してくれるとか、かぐや姫の身体が七色に変化するとか、性交したまま二人の身体が宙に浮くとか、何か予想外のことを期待していたのだ。普通のおまんこに過ぎなかった。(絶頂に至ったら何か起るかも知れん)竹松さんは恥骨同士を擦り合わせるように腰を廻した。
「あへーっ!」かぐや姫が大きく口を開け、涎を流しながらよがる。
かぐや姫がもう抵抗を諦めたことを知った竹松さんが、かぐや姫の口に吸いつき舌を舐め廻す。
「ぶぐふーっ!」姫もフレンチ・キスを楽しむ。
竹松さんはペニスを縦横に動かし、かぐや姫の膣内を掻き回す。
「ぐむわーっ!」Gスポットを刺激されたかぐや姫が盛大によがる。
竹松さんはおまんこから外れそうになるほどペニスを引いたかと思うと、ズドーンっとかぐや姫の体内深くにペニスを突き上げる。
「ひぃーっ!」ポルチオ性感でかぐや姫の脳髄が痺れる。
竹松さんが急速にピストン運動を始める。
「あっあっあっあぐわーんっ!」かぐや姫がイった。
「姫~っ!」竹松さんがどっぴゅんどっぴゅーんっ!と五億匹の精虫をかぐや姫の体内に放った。

性の喜びを知ったかぐや姫は、竹松さんとのセックスに溺れた。竹松さんの三日に一度の夜這いが待ち切れず、梅子さんと竹松さんの寝室に忍び込んで、竹松さんを迎えに来たりした。そのうち、かぐや姫は女性上位で奔放に快楽を追求することを覚えた。かぐや姫は毎日おまんこしたがったが、42歳の竹松さんにはバイアグラを服んでも三日に一度が限界であった。

かぐや姫は最初の求婚者たちを再度呼び集めた。七名の求婚者たちが「何事か?」と怪訝な面持ちでやって来た。
「月からの信号はもう忘れて下さい」とかぐや姫が云った。「新しい条件です。最も精力絶倫でわたしを最もイかしてくれる人と結婚します」
「えーっ!」皆が驚いた。
「自信のない方はお引き取り下さい。残った方とはお一人様一週間に限りお相手をさせて頂き、最優秀の方と結婚させて頂きます」
求婚者たちはいずれも若かったので、毎日でもやれる可能性はあった。もし運悪く毎日勃起しなくても、美しいかぐや姫と一回でも二回でも(タダで)おまんこ出来るならそれだけでもウシシであった。

予想されたことだが、宇宙線研究に勤しむ学究の徒は精力絶倫ではなく、みな落第だった。次にはスポーツ界からの求婚者を募った。彼らは精力はあってもテクニックが劣っていて落第だった。人の口に戸は立てられない。いつしか、かぐや姫と一度でもおまんこしようという老若の男性が門前に列をなし始めた。食い物屋や物売りまで現われた。 「えー、おせんにキャラメル」「えー、ユンケル黄帝液はいかがっすか?」「えー、まむし、まむし酒で精力をつけましょう」「高麗ニンジン・カプセルが一番ですよ~!」
しかし、精力絶倫でテク満点の男性はおいそれと見つからなかった。しかし、かぐや姫は毎日とっかえひっかえ異なる男性とおまんこ出来て幸せだった。セックスに忙しいかぐや姫は宇宙の本国との連絡を忘れ去ってしまったので、宇宙人の来襲もなく地球にはずっと平和が続いた。竹松さんの夜這いが人類を救ったのだ。




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