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17. 双子同士の夫婦交換

一郎君と次郎君は一卵性双生児である。角張った男らしく凛々しい顔も、スポーツマン・タイプのがっしりした体格も、互いにそっくり。二人は下町で親から引き継いだ小さなスーパーを経営していた。一応先に生まれた一郎君が社長で、次郎君が専務ということになっていたが、実際には共同経営である。一郎君は接客と商品レイアウトなどに才があり、次郎君は売れ行きの分析と仕入れが巧みだった。

10年前、彼らは一卵性双生児の姉妹と知り合い、恋に落ち、一緒に結婚式を挙げた。相手の姉妹も姿かたちがそっくりで、親しみの持てる美人というタイプ。姉の方の恵理さんは一郎君と、妹の芽里さんは次郎君と結婚した。二組の夫婦は、スーパーの裏の二階建ての家で一緒に暮らしていた。

結婚当初、彼らの友人たちは「カップルが入れ替わっても、当人同士でさえ気づかないだろう」と噂した。それは二組の夫婦が入り交じって乱交するという、卑猥な想像を喚起するものだった。酒席では兄弟に面と向かって、羨ましそうにそれを口にするものさえいた。しかし、二組の夫婦はそれぞれ真剣に愛し合っていたので、そういうゲスな想像には取り合わず、毅然とした態度を崩さなかった。次第に、品のない勘ぐりをする人は少なくなった。

二組のカップルが町を歩くと、みな物珍しそうに振り返った。おかしいのは、カップルが5メートルほど前後して歩く時であった。通行人はまず最初のカップルを目にし、ややあってさっきの男女にそっくりのカップルを目にする。夢を見ているのか、時間が逆転したのかと、一瞬くらくらとショックに見舞われ足元が怪しくなる。姉妹はパートの社員に混じって、交代でレジ係を勤めた。本当は姉妹が数時間おきに交代しているのだが、お客からすれば同じレジ係がずっと勤務しているように見えた。こういう例をあげて行くとキリがない。

二組の兄弟・姉妹が結婚して10年経った。兄弟は34歳、姉妹は32歳になった。どちらにも子供が生まれなかった。商売は繁盛し、生活には不自由しなかったが、どちらの夫婦にも一抹の寂しさがあった。このまま行くと、女たちはどんどん歳を取り、出産適齢期を逸してしまう。世間並みに子供の一人や二人ほしいところだった。二組の夫婦は揃って検査を受けたが、誰一人身体に異常はなく、立派に子供が作れる状態だという診断だった。せっせとおまんこすれば、いつかは受胎するのかも知れなかった。しかし、間の悪いことに、結婚10年目というのは倦怠期ということも意味していて、どちらの夫婦も毎日おまんこするというわけにはいかなかった。

「おい、怒るなよ」と一郎君が云った。
「何だ、兄貴?」と次郎君。
「女房を交換しないか?」一郎君が囁く。
「ええーっ?」次郎君が驚く。
「昔、よくからかわれたよな。夫婦交換しても当人同士でも分らないだろうって」
「ああ。そうだったな」
「当時は『バカヤロ!』って腹が立った。『そこまで破廉恥じゃねえや』って思ったもんだ」
「うん。おれもだ」
「おれな、相手が変わったら恵理も芽里も妊娠すんじゃないかって思うんだ」
「…」
「嫌か?」
「別に嫌じゃないよ。どっちも同じ顔、同じ身体つきなんだから」
「そうだ。全然別な女と浮気するようなスリルはない」と一郎君。
「でもさ。両方一緒に妊娠すりゃ公平でいいけど、片方だけだったらどうする?」と次郎君。
「たとえば、お前が恵理とやって恵理は妊娠したが、芽里はおれとやっても妊娠しないって場合?」
「そういうこと」
「生んだ女から赤ん坊取り上げるわけにいかないから、そら恵理が生めばこっちの子供ってことになるな」
「じゃ、おれはただの種馬ってことじゃん?」
「そうなるな」
「やだよ、そんなの」

「でもな、このままだとおれたちのスーパーを継ぐものがいなくなる」と一郎君。「おれたちが歳とっても食わしてくれるやつがいなくて、おれたちは店を売った金で細々と暮らすしかない」
「それも困るね」と次郎君。
「だから、どっちかに一人の子供でもいいじゃないか。おれが芽里を孕ませ、お前に子供を授けるってことだってあるんだから」
「うん。双子が生まれたら一人譲るよ」
「やるか?」
「よし!」

二人はセックスしたい日になると、それぞれの妻に「おい、今夜。な?」と謎をかけることを習慣にした。これを数ヶ月続けて、双方の夫婦間に定着させた。姉妹は夕食を済ませると、一緒に銭湯に出掛け、身体をピカピカに磨き上げて、夫にどこを舐められてもいいようにして帰って来る。一階の一郎君夫妻も二階の次郎君夫妻も、その夜は激しいおまんこで燃え上がった。

準備が出来た。いよいよ夫婦交換決行の日となった。兄弟は各自の妻に「おい、今夜。むひひ」とほのめかした。夕食の後、兄弟は各自の茶の間で伝票の整理やら帳簿つけを始める。姉妹は例によって、揃って銭湯へ。女たちが戻る前に、兄弟は仕事をやめ、入れ替わって互いの寝室へ行き布団に潜り込む。つまり、一郎君は二階の弟の寝床へ、そして次郎君は一階の兄の寝室へ。

女たちが何やら笑いながら戻って来る。それぞれの寝室へ向かうと、珍しく夫が布団の中で待ち受けているのに驚く。
「あら、早いのね」二階で次郎君の妻・芽里さんが云う。
「早く来いよ」と一郎君。
「待ってよ。髪、乾かさなくちゃ」芽里さんがドライヤーを使う。
「ちぇっ!」一郎君は鏡台の前で髪を乾かす弟の妻を見つめた。外見は自分の妻にそっくりだが、これまで手を握ったこともない女性である。それがなんと、もうじき抱き合ったり、キスしたり、秘所をまさぐり、果ては一気におまんこまでしてしまうことになる。一郎君は興奮していた。それは新婚初夜と全く同じドキドキ状態だった。

ドライヤーをしまい、部屋の電気を薄暗くした芽里さんが浴衣を脱ぐ。素っ裸である。妻そっくりの体型。しかし別人。一人でも多くの女とやりたいという男の本能が燃え上がる。(くそー、こうと知ってりゃ、もっと早くやりゃよかった。10年損した)一郎君は思った。芽里さんが布団に入って来る。待ちかねた一郎君はすぐさま芽里さんの身体を抱き、ブチュとキスする。弟の妻とのキス。不倫のキス。他人になりすまして相手を騙す詐欺師になったような罪悪感がよぎる。芽里さんの身体を撫で廻し、妻とそっくりなおっぱいを揉む。お尻の感触を楽しみ、割れ目を撫でる。そこはもう期待に愛液を滴らせている。一郎君はおっぱいに吸い付きながら、おまんこに中指を入れたり出したりし、薬指で肛門をさすり、親指でクリトリスを撫でる。
「わうーん!」芽里さんがよがる。
一郎君は芽里さんの首筋を舐め、耳に熱い息を吹きかける。
「あおーっ!」芽里さんのよがり声も妻の恵理さんにそっくり。さすが一卵性双生児。
充分芽里さんを燃え上がらせた一郎君は、義妹の股の間に入り、狙いを定めてペニスを義妹のおまんこに突っ込む。
「わわーん!」芽里さんが歓喜の声。
一郎君の脳裏に、弟が自分の妻に乗っかっている姿が浮かぶ。恵理はイかされているだろうか?一郎君は(この義妹をイかさないと、後で弟から何を云われるか分ったものではない)と、彼の持てるテクニックを最大限披露する。ピストン運動に拍車がかかる。
「うがああーっ!」芽里さんがイった。
「おむむっ!」一郎君の精液が義妹の子宮口めがけてぴゅぴゅどぴゅーん!と発射された。

一階でも似たようなことが起っていた。作者は上の二つの段落をコピペし、名前だけ変えて読者にお届けすることが出来る。しかし、それは時間の無駄だと思われるので省略する。読者の想像にお任せしたい。

芽里さんは精液を子宮に送り込むべく、腰を高く上げてじっとしている。そんな芽里さんが愛しく、一郎君はやさしく彼女の背中を撫でる。
「?!」一郎君の手が芽里さんの背中の小さな疣(いぼ)のようなものに触れた。一郎君の身体が硬直した。
結婚直後、四人で海水浴に行ったことがあった。兄弟は並んでビキニ姿の姉妹の背中に日焼け止めクリームを塗った。その時、一郎君は妻・恵理さんの背中に黒子(ほくろ)が盛り上がったような疣(いぼ)があり、隣りの芽里さんにはないことを知った。いま、おまんこしたのは芽里さんの筈だ。それなのに疣がある。これは恵理か?そんな!二階の弟の寝室に恵理が来るはずがない。芽里さんにも疣が出来たのか?一郎君の頭は混乱し、まともな思考が出来なくなった。
「暑い!ちょっと涼んで来る」そう云って、一郎君は冷蔵庫からビールの小瓶を出すと、階段を下りて庭に出て行った。
ちょうどそこへ、弟の次郎君も缶ビール片手に庭に出て来た。
「おい!」一郎君が次郎君を庭の隅に引っ張って行く。
「なんだい、兄貴?」と次郎君。
「お前の女房、背中に疣あるか?」一郎君が聞く。
「いや。無い」と次郎君。
一郎君はガビーン!となった。芽里さんだと思っておまんこした相手は、では自分の妻だったのだ。一体、どういうことだ?

実はこの物語の作者も知らない企てが舞台裏で進行していたのだ。姉妹も「相手が変わったら妊娠するのでは?」と考え、兄弟と同じような作戦を考えた。片方だけ妊娠しても恨みっこ無し、双子だったら配当を分配するという結論も同じだった。問題はどう入れ替わるかだったが、兄弟が「今夜やろう!」と予告してくれるようになったのが幸いした。二人で銭湯に行き、戻ったら自分の寝室ではない方へ向かえばよい。二人はその通りに実行した。だから、恵理さんは二階に、芽里さんは一階に向かった。そこに自分の旦那が待っているとも知らずに。

一郎君はおぼろげに姉妹の作戦を察した。それを次郎君に告げた。
「ええーっ?おれが抱いたのは芽里?」次郎君がたまげる。
「シーっ!100%間違いない。おれが抱いたのは恵理だった」
「なあんだ。おれ、初めて姉さんとおまんこしたと思って興奮してたのに。がっかり」と次郎君。
「あはは。おれも芽里ちゃんだと思って興奮してた」一郎君も認める。
「これから、どうする?」
「簡単だ。おれたちは自分の寝床で待ってりゃいいんだ。お利口な女たちに全てを任せて」
「そうか。なるほど」

兄弟が庭で話している隙に、姉妹は元通りに入れ替わった。途中でハイファイブを交換して。

数日後、また兄弟から「今夜やろう!」のシグナルを受け、姉妹は入れ替わって互いの寝室に向かった。ここに、前回のセックス描写をコピペしてお目にかけることは簡単だが、それは時間の無駄なので避けることにする。

一階でおまんこを終えた一郎君が、相手の背中に疣のないことを確かめた後、「ありがとう、芽里さん」と云った。
「なんですって?あなた、もう耄碌したの?あたしは恵理よ」と芽里さんが云った。
「あはは。もうお芝居はやめましょう。分ってるんだから」と一郎君。

二階では、イった後恵理さんを抱いた次郎君が「ありがとう、義姉(ねえ)さん」と云った。
「あなた、あたしは芽里!変なこと云わないで!」
「芽里は一階で兄貴に抱かれている」と次郎君が云った。

一階の客間で、深夜のパーティが開かれた。四人とも素っ裸でビールを呑んでいる。
「そう云えば、次郎さんも一郎と同じテクニックだなあ、やっぱり双子だなあと思ってたの」と恵理さん。
「そうなのよ。一郎さんって次郎と全く同じ順序で攻めて来るのねえって不思議だった」と芽里さん。
「別人だと思って、古女房に興奮してた」と一郎君。
「おれも」と次郎君。
「“古”とはなによ、“古”とは!」恵理さんが突っかかる。
「そうよ、そうよ」と芽里さん。
「でも、ちゃんと相手を興奮させたんだからいいじゃないか」
「そうかなあ?」と恵理さん。
みんなで最初の滑稽な失敗を笑い合った。
「こんなに楽しいんなら、もっと早くやりゃよかった」と次郎君。
「うん!」と芽里さん。
「もうこれでお互いの垣根はなくなった」と一郎君。「これからは面倒な手続きはやめようぜ。おおっぴらにやろう」
他の三人が頷いた。

以後、銭湯から帰った姉妹は、シグナルのある無しにかかわらず夫ではない男の寝室に真っ直ぐ向かうようになった。男が催せばいつでも受けて立つことが出来る。昼の夫婦、夜の夫婦は組み合わせが違うわけだ。夫婦交換は数ヶ月続き、姉妹は二人とも目出たく懐妊した。十ヶ月後、姉妹が出産した。双子ではなく、どちらも女の子だった。四人は「次は男の子が生まれるまで」という合意に達し、双子同士の夫婦交換は今も相変わらず続いている。




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