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17. 風に乗って来たお手伝いさん

ある日曜日の朝、ちょいとしたお金持ち風の家の周りに100人ほどの若い娘ばかりの行列が出来ていた。その家は、新聞広告で「お手伝いさん急募。料理学校卒。年齢18歳限定。住み込み可能な方」とし、お手伝いさんとしては破格のお給料を提示していた。だから、無職の娘はもちろん、現在どこかでお手伝いさんを勤めている者さえ、こちらに鞍替えしたくてやって来ていた。

その家のパパ(42歳)は某法律事務所の所長で、ママ(38歳)は某会計事務所の所長だったから、お金はたんまりあったが時間がなかった。だから、お手伝いさんを雇うのに不思議はないのだが、なぜ、18歳の娘に高給を与えるのか不思議だった。

面接はこの家の大食堂で行なわれていた。ゆっくり10人は座れる大テーブルの向こうに、パパ、ママが座っている。この家の長男・信彦君(16歳)と長女・優香ちゃん(14歳)はお友達の家に遊びに行って留守だった。テーブルの反対側にお手伝いさん候補が座らされる。普通の家にはない大食堂、豪華な家具などにも気圧(けお)されるが、大きなテーブル越しの面接というのも18歳の娘には威圧的だった。これだけの人数なら、応接間でもっと和やかな面接も出来る筈なのだが。

「どの料理学校を出たの?」とママ。
「江川料理学院です」とお手伝いさん候補。
「まあ、いいとこを出たのね」ママが賛嘆する。
「お願いです。あたしを雇って下さい。何でもやりますから!」お手伝いさん候補が身を乗り出すようにしてせがむ。
「では、お給料がいい理由を説明しましょう」とパパ。「家事のほかに、もう一つ仕事をお願いしたいのです。うちに16歳の長男がいます。これに自由にセックスさせて頂きたい。もちろん、家事が忙しくない時間帯ですが」
「…」お手伝いさん候補は信じられない思いで呆然としていた。その細い顔の眉が次第に寄って険しい目つきとなった。「じ、自由にセックス?私に売春をしろと?」
「いや、売春というのは一回単位の取り引きでしょう」とパパ。「私は月給をお払いするわけですから、まあ家庭内慰安婦と申すべきでしょうな」
「い、慰安婦!じょ、冗談じゃない!」お手伝いさん候補は立ち上がった。「人を馬鹿にして!くそったれ!」お手伝いさん候補はドアをバターン!と閉めて出て行った。

そのお手伝いさん候補は門の外へ出ると、行列の先頭の数人に話しかけた。「エーッ?なに、それーっ!」とか「うっそーっ!」とか、「ひどーい!」などの声が挙った。それを聞いた列の中段の娘さんたちも寄って来て、「なに、なに?」と質問し、「えーっ、慰安婦ーっ?」と驚きの声を挙げた。こうなるともう列の後尾の連中もじっとしていられず、面接の模様を繰り返し話すお手伝いさん候補の周りに大きな人垣を作った。

しばらくして、パパが次のお手伝いさん候補を呼びに門を出て来た。通りに人影は全くなかった。100人ほどの若い女性たちは、みな慰安婦という任務を嫌がって、さっさと帰ってしまったのだ。パパはしょんぼりして大食堂に戻った。
「どうしたの、あなた?」とママ。
「全員帰ってしまった」
「やっぱり慰安婦なんて非常識なのよ。いまどきの若い娘には無理よ」
二人はしばし沈黙してコーヒーを啜った。その時、サワサワーっと一陣の風が吹いたかと思うと、ごーっという音と共に家がガタガタと揺れ出した。
「竜巻か!」パパはよろめくママを片手で抱き、片手で大テーブルにしがみついた。突風は次第に収まった。二人はほっと顔を見合わせた。パパは壁に掛けた絵の額縁の歪みを直し、ママは食器類を点検した。壊れたものはなかった。
「ピンポーン!」玄関でチャイムが鳴った。
「誰かしら?」とママ。
「おれが出る」とパパ。

パパが玄関の戸を開ける。
「こんにちわーっ!」小柄で丸顔、くりくりした目の明るい感じの娘さんが立っていた。
「何か?」とパパ。押し売りなら撃退しなくてはならない。
「あのー、遅れて来て済みません。もうお手伝いさんは決まってしまったでしょうか?」
「い、いや、まだです。働きたいんですか?」
「ハイ!是非雇って下さい。一生懸命、何でもしますから」と娘さん。
パパは先刻のお手伝いさん候補も「何でもします」と云いながら、怒って帰ってしまったことを思い出した。
「私、お金が必要なんです。働かないといけないんです。お願いします!」
パパはこの娘なら慰安婦には最高だと思ったが、それは先の話だと思った。いずれにせよ普通のお手伝いさんが一人必要だった。それにはママの眼鏡に適うことが先決である。パパは娘さんを大食堂に請じ入れた。

「あら!」ママがびっくりした。「まだいたの?」
「自己紹介をお願いします」とパパが云った。
「ハイ。私は小川孝子(たかこ)と申します。18歳です。母が亡くなってから父と兄の三人で暮らしておりましたので、私は家事全般をこなしていました。お料理も勉強してましたので自信あります」
「うちは住み込んで貰うのよ?」とママ。「あなたがいなくなったら御家族が困るでしょ」
「いえ、兄は寮のある工場に勤め始めましたし、父は入院中ですので、家には私一人なんです」
「お父さん、御病気なの」とママ。
「はい。それも難病なので治療費が高いんです」と孝子さん。「ですから、私が出来るだけ稼がないと…。こちらのお給料を頂ければ、どんなに助かるか」

「孝子さん、待って下さい」とパパ。「広告に出したお給料は異常に高いと思ったでしょう?」
「はい。一寸不思議でした」と孝子さん。
「当家も家事をやって貰うだけなら、普通のお給料しか出しません」とパパ。「実は、もう一つ、大事な仕事があるのです」
「はあ、どんな…?」
「一寸立ち入ったことを聞きますが、いいですか?」とパパ。
「はい、どうぞ」
「あなた、恋人はいますか?」
「いえ」
「もっと失礼なことを聞きますが、許して下さい。あなたは処女ですか?」
「あのう、それ、お仕事と本当に関係あるんですか?」と孝子さん。
「大ありなのです」
「そうですか。じゃお答えします。私、処女じゃありません」
「よかった!」とパパ。「では、高給を差し上げる仕事について説明します。うちの16歳になる長男のセックス・パートナーになってほしいのです」
「ええっ?」孝子さんがたまげる。
「非常識は百も承知です。親馬鹿とお笑い下さい」とパパ。「しかし、息子は性欲が旺盛で、一人で、そのうオナニーぐらいでは満足出来ず、これまでも何人ものお手伝いさんにちょっかいを出して、辞められてしまいました。それなら、最初から息子の相手をしてくれるお手伝いさんを探そう…と、こういうことになったのです」
「…」孝子さんはテーブルの木目を見つめて聞いている。
「うちの息子はね」とママ。「決して乱暴な人間ではありません。辞めたお手伝いさんたちも、別にレイプしたとかそういうことではないんです。ただ、しつこく言い寄っただけで」
「この特別任務を引き受けて頂けるなら、新聞広告通りの額を支給します。もし、早朝とか深夜にお相手して頂く場合は時間外手当も考えます。祝祭日であれば、休日手当も差し上げます。どうですか?」
「私、やらせて頂きます!」孝子さんがきっぱりと云った。「先ほど申しましたように、お金が必要なので」
「おお、そうですか。親孝行なお嬢さんだ」とパパ。
「よかったわね、あなた!」とママ。

「では、早速契約書を作成しましょう」とパパ。「こういうことは全てはっきりさせておかないと、後でそういうつもりじゃなかったとか、手当が少ないなどと揉めることが多く、お互い不愉快になりますからな」
「はあ」と孝子さん。
「こういう書類の慣例で、私を雇用者、あなたを被雇用者と呼びます。いいですね?」
「はい」
「雇用者と被雇用者は被雇用者の雇用者宅における業務を家事一切(炊事・洗濯・家屋内外の清掃)を主とするも、付随業務として雇用者宅における性的慰安業務に従事することで合意に達し、以下の細目を相互に確認し、契約に至るものとす。ここまではいいですか?」とパパ。
「はい」と孝子さん。
「通常の勤務時間は週日の午前6時から午後6時までとす。これは家事に関する業務についてであり、付随業務については別途時間帯と時間外手当を勘案するものとす。週末については雇用者の配偶者(家内ですな)が家事を行なうこととし、被雇用者は自由行動が保証されるが、雇用者の要請と被雇用者の合意に基づく場合はこの限りではない。えーと、これは週末はお父さんのお見舞いに行ったり、映画を見に行ったりすることも自由ですが、もしこちらが家にいてくれとお願いしたら出ないで頂くこともあると、こういうことです。当然、休日業務手当を支給します」
「はい」
「付随業務の対象は雇用者の長男を主とするも、付帯的に雇用者を含むことも前提とす」
「ちょっと、あなた!」とママ。「それ、どういうこと?あなたも孝子さんとやる気なの?」ママは激しい剣幕でパパに迫る。
「そ、そう興奮するな!こういう文書はだな、あらゆる可能性を踏まえて作成せねばならん。今おれがこの孝子さんとやりたいかどうかは別だ。もし、やりたくなった場合を想定して、それも契約の範囲内に入れておくべきなのよ」
「この件は息子のためということだった筈です。あなたまで慰安の対象になるなんて聞いてません!」

「お前」とパパ。「こう考えてみてくれ。倅にゲーム機をプレゼントすると仮定する。そのゲーム機が楽しそうなら、おれだって遊んでみたいじゃないか、え?ゲーム機は息子専用だから手を出しちゃいけないなんてナンセンスだ。みんなで楽しむべきだ。そうだろ?」
「孝子さんはゲーム機と同じなんですか!」とママ。
「例えばの話だよ。息子の自転車だからおれが乗ってはいけないという法はないだろ?」
「そらまそうですけど」
「役に立つものはみんなで使う。それが合理的というものだ」
「私はどうなるんです?蚊帳の外ですか?」
「おう。そうか、そういう要素も入れとこう。雇用者の配偶者および長女が被雇用者と同性愛の関係を結びたいと欲した場合も、以上に準ずるものとす」
「優香もですか?」とママ。突如、娘の存在が浮上したのでびっくりする。
「どうなるか分らんじゃないか?一寸先は闇なんだ。可能性は全部含めておくべきだよ」
「そういうものですか」
「そうさ」

「あのう」と孝子さん。
「なに?何でも遠慮なく云いなさい」とパパ。
「私が妊娠しないように最善の努力をお願いしたいと思いますが…」
「そりゃ当然です。息子にもよく云っときます」とパパ。
「万が一妊娠した場合のことも契約に入れておいて頂けます?」
「おう。なるほど」とパパ。「では、雇用者あるいは雇用者の長男が被雇用者を妊娠せしめた場合、雇用者が中絶手術その他一切の負担をまかなうものとす。これでどうですかな?」
「それから、性的慰安業務には肛門性交も含まれるでしょうか?これは痛い時があるので、特別料金にして頂かないと…」
「なるほど。もっともです。特別料金を設定しましょう」
「もう一つ、お聞きします」と孝子さん。
「この際です。何なりと」とパパ。
「フェラチオも性的慰安業務に含まれていると思いますが…」
「その通り」
「愛する人の精液なら喜んで飲みますが、こちら様ではあくまでも業務です。飲み込まないことを前提として頂きたいと思います」と孝子さん。
「被雇用者は吸茎の際に…」とパパ。
「なに、きゅうけいって?」とママ。
「フェラチオを漢語で吸茎って云うんだ」
「へえ?」
「被雇用者は吸茎の際に雇用者および雇用者の長男の精液を嚥下する義務を有せず」
「あの、特別料金を頂けるなら飲みます」と孝子さん。
「但し、特別料金の合意ある時は被雇用者が雇用者および雇用者の長男の精液を嚥下するものとす」とパパ。

「あの3Pとかもあり得るでしょうか?」と孝子さん。
「それも特別料金ですかな?」とパパ。
「いえ、勤務時間内であれば問題ありません」
「あなた!親子で同時に孝子さんとやるつもりなの?」ママが憤る。「不道徳ですよ、そんなの!」
「可能性の問題だよ。普通はあり得んよ」と云いつつ、パパはその可能性に興奮した。「しかし、孝子さん。あなた、お若いのに実に冷静でしっかりしておられる。肛門性交とか精液を飲む飲まないとか3Pとか。18歳で恋人もないと云われたが、実にセックスについて詳しい。どういうことか説明して頂けますか?」
「こちらに御厄介になるわけですから、包み隠さず申し上げます」と孝子さん。
「ふんふん」とパパ。
「母亡き後、私は主婦代わりばかりでなく、父と兄の慰安婦をも務めて来たのです」
「えーっ!」とパパ。
「ひえーっ」とママ。
「父は薄給で再婚も叶わず、兄はまだ在学中でした。二人とも男盛りで、こちらの坊っちゃまのように性欲は旺盛でした。で、私がこの一身を二人に捧げたのです」
「おおお、何という麗しい家族愛!」とパパ。
「涙なくしては聞けないわ」ママが鼻を啜る。
「ですから、3Pも何もかも経験済みなのです」
「そういうことでしたか」とパパ。

「ね、あなた!孝子さんにうちの養女になって貰ったら?」とママ。
「何だって?」パパが呆気に取られる。
「養女だからお給料はなし。でも、お父様の治療費は当家が全額負担する」
「えーっ?」とパパ。
「えーっ?」と孝子さん。
「し、しかし、息子には慰安婦が必要だ」とパパ。
「あなたもね?」ママが冷ややかに云う。
「私、お許しが頂けるなら養女兼慰安婦で構いません」と孝子さん。
「ほ、ほんと?」とパパ。
「いくら特別手当を頂いても父の治療費の額に達するかどうか分らないのです」と孝子さん。「父を救って頂けるのなら、私何だって平気です」孝子さんが涙ながらに云う。
「わあああ!」ママは手放しで貰い泣きする。
「孝子さん、おいで。キミは今日からうちの家族だ」パパは胸元に飛び込んで来た孝子さんを抱擁し、彼女の手にペニスの膨らみを触らせた。




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