![]() 24. V-SEX1982年のアメリカ映画Firefox(ファイヤーフォックス)は、ソ連が開発した思考誘導ミサイル搭載の新型戦闘機をアメリカ側が盗み出すという物語だった。思考誘導とは、パイロットのヘルメットに内蔵された装置によって思考インパルスが読み取られ、脳が直接ミサイルをコントロールする仕掛けである。 2020年。もはや脳による思考で機器をコントロールする技術はもちろん、思考をデジタル信号にしたり、脳内イメージを電子機器に表示することも簡単に可能になっていた。いつの時代でも、技術革新を一般大衆レヴェルに広げるのはゲームである。コンピュータ時代の初期にはインベーダー・ゲームが集積回路などの製造に拍車をかけ、NEC98コンピュータの蔓延に力があったのはエロ・ゲームであった。 思考読み取り技術も本来は軍事目的で開発されたのだが、それを大衆のものにしたのはセックス産業であった。今やカラオケ・ボックスに取って代わったのはV-SEX BOXである。Vは"virtual reality"(バーチャル・リアリティ)のVで、まるで現実のようなシミュレーションを意味する。V-SEX BOXはカラオケ・ボックスに似た施設ではあるが、ずっと小さい。利用出来るのは一人か最大でも二人までだし、シミュレーションなどで使うゴーグル型モニタを用いるので、大型スクリーンも要らない。椅子二脚と、いくつか個人的設定を入力する端末キーボードが載った小さな机があるだけである。ヘルメット型思考読み取り装置とゴーグル型モニタとは一体になっていて、ケーブルでメイン・コンピュータに接続されている。 利用者は数々の候補の中からバーチャル・セックスの相手を選ぶ。V-SEX Machine Co. Ltd.が契約した日米欧韓の映画俳優、歌手・タレントなどが多数含まれているが、イメージが損なわれるとして敬遠するスターが多いので、超有名人はあまり多くはない。肖像権の問題があるので、V-SEX Machine Co. Ltd.が有名人データを無断で使用することは出来ない。しかし抜け道があり、誰でも有名人とバーチャル・セックスが出来るのは公然の秘密だった。V-SEXのシステムには、利用者が好みの人物データ(写真、ビデオ、オーディオなど)をDVDとして持ち込むことが出来る。自分の恋人とか、意中の人などを一時データとして使えるわけだ。その意中の人が映画スターであっても個人の選択だから誰も文句は云えない。そのデータは利用者の退出と同時に消去されるので、有名人と裁判沙汰になる恐れはない。 以上はシングル・ユーザーの場合である。カップルで利用する時は、プレイ開始前に備え付け小型カメラによって双方の利用者の顔のビデオ映像が撮影され、簡単な文を読むことで声も録音される。これらは超高速コンピュータによって瞬時に変更が加えられ、プレイヤーのよがる顔や声となって再生される。 昔は婚前交渉などと云って、結婚前にセックスの相性をテストしたりしたが、今や二人でV-SEX BOXに行けばいい。V-SEX BOXは利用者の思考を赤裸々に反映するから、お互いの身体を接することなく、お互いのセックスの感度やテクニックの巧拙がすぐ分る。荒っぽいセックスを行なう性格か、忍耐強く相手をイかせる性格かなどまで分ってしまう。逆に云えば機械を誤魔化すことは出来ないわけで、非処女が処女だと偽ることも出来ない。人間相手なら痛くもないのに「痛い!」と演技することが可能だが、思考インパルスが痛みを感じないのに思考読み取り装置に痛みを伝えることは不可能である。V-SEX BOXは嘘発見器でもあるわけだ。 V-SEX BOXの画期的特長はまだまだあるが、特筆すべきはカップルで利用する場合に、前もってこの体験を脳に記憶するか脳から消去するかが選べることである。V-SEX BOXでプレイしたこと自体を忘れることが出来るというのは、妻帯者同士の“不倫プレイ”とか近親者による“相姦プレイ”などに便利であった。一時的に楽しみ、その後顔を合わせてもバツの悪い思いや周囲の目を気にする必要もない。 V-SEX BOXが広まるにつれ、性犯罪発生率が大幅に減少した。これは政府も警視庁も公式に認めている事実である。児童連れ廻しとか少女誘拐などの件数は激減した。ロリコンたちはV-SEX BOXで自由にロリータの身体をいじくり廻し、御希望ならセックスも可能なのだ。犯罪を冒すよりずっと安全である。ロリコン向けに、かわいい少女たちの映像・音声を入れたDVDも販売され、飛ぶように売れていた。強姦などの発生率も下がった。V-SEX BOXに行けば済むことで、生身の女体を犯す必要はないからだ。V-SEXの追加機能として獣姦のリクエストも多かったが、これは今のところ採用されていない。水面下で開発中との噂もあるが、人間同士に較べると動物の種類は膨大過ぎるというネックがある。象や鰐とのセックスを希望された場合、動物をどうよがらせればいいのか?漫画になってしまうではないか。ゴジラを希望されたらどうする?問題点は果てしなく多かった。 V-SEXの課題はもう一つあった。DVDに本人の映像・音声を持って来られた場合である。単なる同性愛ならデータも豊富にありプレイ可能である。しかし、本人同士というのは問題であった。同一人物では攻守がはっきりしないため、プレイが滞ってしまい、コンピュータがフリーズするのに似た現象が起きる。そういうわけで、「現在、御本人様同士ではプレイ出来ません」という貼り紙がしてあった。 東京世田谷の某所にあるV-SEX BOXへやって来たのは、40歳になるパパとその次女・友絵ちゃん(6歳)である。パパは既に長女・真由美ちゃん(14歳)とのV-SEXは経験していた。長男(12歳)と次男(10歳)はパスして友絵ちゃんとのV-SEXも一度やってみたのだが、パパは満足出来なかった。その時は友絵ちゃんの映像・音声が含まれたDVDを持ち込み、コンピュータも友絵ちゃんの6歳相応の戸惑い、恐れ、好奇心などはシミュレートしてくれたものの、生身の本人による予測不能なリアクションではなく、予定調和的にセックスさせてくれちゃう安易な結末であった。これはいわばオナニーに近いものに過ぎない。で、この日は当人を引っ張って来たわけである。V-SEXは誰も傷つかず妊娠もせず性病の恐れもない健全な娯楽として認知されていたので、パパも人目を憚ってこそこそしたりしない。親子で堂々と支払いを済ませて個室に入り、慣れた手つきで端末を操作していた。 パパは必要事項を入力し終えると、友絵ちゃんに読ませる短い文章を教えた。友絵ちゃんが暗記し終えると、パパは友絵ちゃんにコンピュータ付属カメラに向かって、その文章を読ませた。この映像・音声が加工されて友絵ちゃんの性反応を表現するのだ。パパも同じことをした。準備は終った。友絵ちゃんにヘルメット型思考読み取り装置とゴーグル型モニタをつけさせ、自分も装着して椅子に身体を落ち着けた。さあ、いよいよだ。以下のアクションは全て二人の脳内イメージおよび音声であることをお忘れなく。二人は身体の接触はおろか、声を出しての会話さえ行なっていないのである。 「友絵、パパがこれから可愛がってあげるからね。さあ、おいで」とパパ。 パパも全裸になる。 「パパ、くたびれた」と友絵ちゃん。 パパは友絵ちゃんを横にした。いよいよ6歳の我が子とおまんこするのだ。これがV-SEXだから気楽なのだ。幼い6歳の子供と本当にセックス出来る親などそういない。可哀想で、とても小さなおまんこにペニスなど突っ込めるものではないからだ。パパはV-SEXがどのような性感を与えてくれるか興味津々だった。V-SEXの設計者たちが6歳の子供とセックスして、その性感を再創造して送り込んで来るとは考えにくい。単なる想像の産物なのか、科学データに裏付けられた感覚なのか?それとも、ユーザである自分の想像の反映に過ぎないのか? パパは娘の股を大きく開かせ、その間に膝をついた。震える手でペニスを掴み、娘の割れ目にあてがう。 ヘルメットの中にV-SEX BOX係員の声が流れた。 「お前、一人で?」とパパ。 二人は払い戻しを受け、友絵ちゃんと三人で駅の方へ歩き出した。 子供と一緒に連れ込みに行くわけにはいかないので、パパは普通のホテルに行った。 |
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