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05. タイムパッド パート1

勉君(18歳)の叔父さんは発明家だった。叔父さんはずっと独身で、兄(勉君のお父さん)の地所の一角に工房を建てて様々な実験をしていた。勉君は少年時代から叔父さんの発明や工夫に関心を持っていたので、宿題を終えると叔父さんの工房に走って行き、叔父さんの助手になったり実験台になったりするのが常だった。しかし、その叔父さんは十年ほど前から急に発明をやめ、本を書き出した。一冊目は『成吉思汗の謎』で、光文書房からペーパーバックとして出版された。大方の評論家は眉唾の際物と決めつけたが、フィクションにしては非常にリアリティのある記述が読者に受けて、ベストセラーとなって版を重ねた。叔父さんは勢いに乗って『沙翁(シェークスピア)の謎』、『聖母マリアの謎』、『メアリー・セレスト号の謎』、『東洲斎写楽の謎』、『マリリン・モンロー怪死の謎』、『ケネディ暗殺事件の謎』、『大長今(デ・ジャングム)の謎』等々を書き、これらは文藝新潮社や講談書房などからハードカバーで出版された。叔父さんを「見て来たような嘘を書く世界一の大ホラ吹き」と誹る批評を尻目に、それぞれの著作はみなベストセラーとなった。叔父さんが執筆に専念したり、「取材」ということで家を空けることが多くなり、自然に勉君が叔父さんと顔を合わす機会は減った。

その叔父さんが亡くなった。癌であった。遺言により、係累のない叔父さんの預金と今後の特許料や本の印税は、全て日本対がん協会に寄付されることになった。勉君が驚いたことに、叔父さんは蔵書の全てを勉君に与えると遺言に明記していた。多分『謎』シリーズ執筆のための文献が多いのだろうと推察した勉君は、格別嬉しいとも思わなかった。勉君はあまり歴史や歴史上の人物などに関心がなかったからだ。

叔父さんの四十九日も過ぎたある日、勉君は叔父さんの工房を訪れた。がらんとした工房の片隅に大きな書棚があった。大部分は発明・工夫に関する技術的な本や特許に関するものである。予測していた歴史書や伝記などはほとんどなかった。不思議だった。(叔父さんはWikipediaかなんかだけ参考にしたんだろうか?Wikipediaで本を書けるんなら誰だって本が書ける理屈だけど…) 勉君は叔父さんのコンピュータを調べてみた。そこにも歴史や伝記に関するフォルダやファイルは見当たらなかった。一体、叔父さんはどうやって本を書く材料を仕入れたのか?謎は深まるばかりだった。

勉君は技術書の類いをパスして、一般書だけを念入りに点検した。百科事典の列に並んで"World History"と横文字で書かれた大判の本が目についた。歴史関連としてはこの家で見つけた初めての本である。勉君はそれを書棚から引き抜いた。5センチほどの箱に入っている。中身を滑らせて取り出す。勉君は目を見開いた。出て来たのは皮ケースに入ったiPadのようなものであった。ケースにAppleのロゴはないが、重さと形からいってiPadに違いないと思った。勉君がファスナーを開く。それはiPadではなく、中国製iPedでもaPadでもない。それどころかロゴすらなかった。(何なんだ、これは?)そのタブレット型コンピュータめいたものが正当に勉君が受け取れる遺産に入るかどうか、いささか疑問だったが、勉君はそれを自分の部屋に持って帰った。

自室のベッドの上で、勉君はそのタブレットをひねくり廻した。文字は一切記されていないが、メイン・スイッチらしいもの以外にボタンめいたものはないから、タッチパネル方式なのだろう。メイン・スイッチを入れてみた。画面にバラバラッと沢山の小さな画像が現れた。デジタル・カメラがメモリ・カードの内容を表示するサムネールと同じ感じだった。サムネールの一つを指先でタッチすると拡大される。もう一度タッチすると、元に戻る。手をフリップするとサムネール群が入れ替わる。勉君は試みに一つのサムネールを拡大し、数秒間指で押さえてみた。フッと無重力空間に浮かんだような気がしたと思ったら、いつの間にか広い草原で行われている騎馬や甲冑武者たちの大戦闘の真っ只中にいた。「ひーっ!」勉君は足が竦んだ。

"A horse! A horse! My kingdom for a horse!"という叫び声がした。王冠を頂いた傴僂(せむし)でびっこのヨーロッパ中世の騎士が、剣を杖代わりにして彷徨いながら叫んでいる。簡単な単語ばかりなので、英語の苦手な勉君にもその男の云っていることが解った。「馬をくれ、馬を!俺の王国をやるから、馬をくれ!」と云っているのだ。勉君はカメラとブーム・マイクを持った撮影クルーを探した。これは映画かTVの撮影に違いない。いや、兵士に扮したエキストラが1,000人以上いるようだから、これはTVではない。劇場映画だ。しかし、撮影クルーなどどこにも見当たらなかった。
「ぐあーっ!」矢を心臓に刺された兵士役の俳優が勉君の目の前で倒れた。
白人の俳優は口から泡のような血を吐いた。心臓からも血が噴き出している。凄くリアルな特殊効果だ。俳優は白目を剥いて死んだ演技をした。そのまま動かない。俳優をじっと見つめていた勉君は、ちょっと不安になった。本当に死んでしまったのだろうか?撮影中のアクシデントか?勉君は念のため、俳優の手を取って脈をみた。脈はなかった。勉君はぞっとし、がたがた震えた。
「ヒューッ、ヒュヒューッ!」と音がしたかと思うと、数本の矢が勉君めがけて飛んで来て、足元の地面にぶすぶすっと突き刺さった。
「ひえーっ!」勉君は飛び上がった。狙われている。これは映画の撮影ではない。自分は中世のイギリスにタイムスリップしているのだ!(逃げなきゃ!どこへ?現在へ、日本へ、自分の部屋へ!)勉君は手に持っていたタブレットを慌ただしく点検した。二つの矢印が画面に表示されている。多くのコンピュータ・アプリでは「←」アイコンが「前ページ」、「→」アイコンが「次ページ」である。勉君は迷うことなく「←」を指で押さえた。一瞬無重力の感覚があったと思ったら、勉君は現在の自室にすんなり戻っていた。「ほーっ!」勉君は安堵の溜め息を漏らした。(夢だったのだろうか?)いや、夢ではない。中世騎士の脈を調べた手に僅かながら血がついていたからだ。

勉君は思い当たった。そのタブレットはタイムマシンなのだ。叔父さんはこれを使って過去にタイム・トラベルし、実際に見たり聞いたり、人に会ったりして取材し、『謎』シリーズの全てを執筆したに違いない。描写や説明がリアルだったのはそのせいなのだ。叔父さんに歴史書や伝記の類いは必要なかった。当時の実在の人物から話を聞けたのだから、参考書など要らないのだ。しかし、いくら叔父さんが発明家とはいえ、電子機器であるタブレット型コンピュータなど作れる筈がない。ましてタイムマシンは無理である。どこかから手に入れたとしか思えない。どこから?宇宙人からか?馬鹿な!しかし、一体誰がこんなものを作れるだろう?

翌日、叔父さんのデスクトップ・コンピュータをオンにした勉君は、コンピュータの検索機能を使って、"tablet"とか"pad"のついたファイル、フォルダを探した。(あった!)"timePad"(タイムパッド)というフォルダがあり、PDF書類が納められていた。それには文字による説明はなかったが、例のタブレットの使い方が詳しく図示されていた。勉君はそれをプリントして持ち帰った。

勉君は歴史には丸で興味がなかったから、叔父さんのように世界史の謎を解くためにタイムトラベルするつもりはなかった。勉君の現在の夢は早く童貞を捨て、セックスやり放題の生活をすることだった。このtimePadをうまく使えば、それが実現するかも知れない。勉君は必死になって考えた。

勉君は15世紀の画像サムネールからジャンヌ・ダルク(19歳)を選び、詳細設定で1431年5月25日を選んだ。彼女が既にオルレアンの解放を導き、続くイングランド軍との戦いにも成功していた時期だから、またぞろ戦場で矢を射かけられる心配はない。この日付は、ジャンヌ・ダルクがイングランドの介入による異端審問で入牢していた時であった。勉君はルーアンのイングランド軍の牢内に突如タイムスリップした。
「^*&%@$~+(*^*)**&@^$%*!!!!!!」シュミーズ一枚のジャンヌ・ダルクがベッドから立ち上がって、フランス語で云った。
「こんちは!」勉君が笑顔を見せて云った。
「+*()&*#}@{!!」とジャンヌ・ダルク。勉君にはフランス語はちんぷんかんぷんである。ジャンヌ・ダルクは戦場で危険を顧みず率先してフランス国旗を掲げて兵士たちの先陣を切ったそうだが、いかつい女性などではなく、宝塚歌劇の男装スターのように美しかった。異端裁判に先立つ処女検査で、彼女は処女であることが確認されていた。
勉君はtimePadを小卓の上に置き、ズボンとパンツを脱いで、勃起したペニスをジャンヌ・ダルクに見せた。
「@(*~*);;&$#@*!」ジャンヌ・ダルクが目を見開いた。初めて見る勃起したペニスなのだろう。
勉君は左手を丸め、そこに右手の人差し指を抜き差しして見せた。
「*%@&28&(^^;;+*%}#!」ジャンヌ・ダルクがシュミーズを脱ぎ、パンティも引き抜いてベッドの上で仰向けになった。死を予感しているジャンヌ・ダルクは、セックスも経験せずに死にたくないのだ。
「ひゃっほーっ!」勉君がシャツを脱いで全裸になり、ジャンヌ・ダルクが横たわるベッドに上がった。

勉君はジャンヌ・ダルクの唇にキスした。最初はドライなキスだったが、次第に舌をジャンヌ・ダルクの口内に侵入させ、彼女の舌を舐め廻す。
「#*@%$!!」ジャンヌ・ダルクが顔を離す。嫌らしいキスだと思っているようだ。
「あんた、フランス人だろ?これフレンチ・キスだぜ?」と勉君。仕方なく、勉君はジャンヌ・ダルクのおっぱいを揉み、片方の乳首を舐めたり吸ったり、軽く噛んだりした。この豊かなおっぱいも、もうすぐ火炙(あぶ)りの刑で灰になってしまうのだ。
「%#_+^~**&#(^_^;;;!」ジャンヌ・ダルクがおっぱいの刺激を喜んだ。
勉君は狭いベッドを下り、ジャンヌ・ダルクの下半身を引っ張り下ろし、股を大きく広げさせた。ジャンヌ・ダルクは何ごとか?と首をもたげて警戒している。勉君はジャンヌ・ダルクのもじゃもじゃの陰毛を掻き分けて割れ目を曝け出させた。処女の割れ目を左右に開く。ぬめぬめと濡れて光る粘膜。さらに開くとぽかっと小さな肉の洞窟が現れた。勉君が初めて目にするものだ。勉君のペニスがさらにぐぐーんと伸びた。

勉君はジャンヌ・ダルクのクリトリスを舐め出す。
「*%@&24&(^^;;+*%}#!」ジャンヌ・ダルクが初体験のクンニの快感に喜悦し身悶えする。
勉君はクンニを続けながら、片手でジャンヌ・ダルクの乳房を揉み、片手で彼女の膣口を弄くる。そこはもうびじゃびじゃに濡れて床上浸水となっている。
「*%$(*~*;;%*(^^;$#(^^)(^^)@!!!!」ジャンヌ・ダルクがもう一方のおっぱいを自分で揉んでよがる。
ジャンヌ・ダルクの興奮にたまらなくなった勉君は、彼女の股の間に立って、びとりんこんのおまんこにずぶりんこんとペニスを突っ込んだ。
「#@(*^*)&(*^*)#(*^*)**=@~!」処女膜を破られたジャンヌ・ダルクが痛がる。
勉君は世界に名の知られた女性の処女を奪い、同時にそんな女性によって自分も童貞を失ったことが誇らしかった。勉君はジャンヌ・ダルクの身体に覆い被さり、再度フレンチ・キスを試みた。おまんこの痛みに気を奪われているジャンヌ・ダルクは今度は抵抗しなかった。それどころか、積極的に舌を絡めて来た。勉君は、彼女の痛みが引いたらしいと考え、ずぶずぶと奥までペニスをぶち込んだ。勉君がオルレアンの少女と完全に交わった一瞬であった。

勉君はピストン運動を始めた。ジャンヌ・ダルクの処女の肉穴にすっぽりとペニスを絡めとられ、その温かい肉襞で擦られて、勉君のペニスは早くも我慢汁を滲み出させた。(まずい!)勉君はパニックに陥った。露払いの小結・我慢汁の後には、今や遅しと横綱・精子ノ海が待ち構えていたからだ。勉君は腰のエンジンをローギヤに入れ替え、スピード・ダウンさせた。
「(*^*)&}{*&#@(*^*)(*^*)(*^*)+>!!!!!」快感のリズムを崩されたジャンヌ・ダルクが憤慨して、下からおまんこをリズミカルに突き上げる。
「ああああーっ!」断末魔の悲鳴を挙げて勉君がイってしまった。
「びたーんっ!」ジャンヌ・ダルクが勉君にびんたを食らわせた。さすが女傑、早漏に怒り狂ったのだ。
「痛(いて)ーっ!」勉君が叫んでのけ反る。スポンとペニスがおまんこから抜ける。お互いに初体験だから三擦り半でも許して貰えるだろうと思ったのが甘かった。勉君は射精の余韻を味わうどころではなく、ひりひりする頬を撫でながら「ごめん、許して?」と云った。
「%-$+#~~&(*^*);{^)(!」とジャンヌ・ダルクが云って、ベッドに四つん這いになり、おまんこを指差す。
「?」勉君は途方に暮れたが、彼女は「舐めてイかせろ」と云ってるんだと解釈した。勉君はジャンヌ・ダルクのお尻に顔を近づけ、彼女のおまんこを舐め出す。贖罪の意味で肛門も舐めちゃう。
「^*()#%@^(^^)(^^)(^^)!!!」ジャンヌ・ダルクがよがる。
勉君はさっき自分が処女を奪ったジャンヌ・ダルクの膣に指を二本突っ込み抜き差しする。
「(^^)+(^^)+(^^)$%@!!」ジャンヌ・ダルクが身をくねらせて快感の洪水に苦悶する。
勉君は指でジャンヌ・ダルクの恥丘の裏を探る。そこら辺にGスポットという性感帯がある筈だ。
「(^0^)+(^0^)(^0^)+(^0^)$%@!!!!!」Gスポットを刺激されたジャンヌ・ダルクがイった。
ホッとした勉君は、衣類をかき集めてtimePadの「戻る」アイコンを押して自室に戻った。

勉君はもう歴史上の人物はやめようと思った。女傑たちから毎回びんたを食らわされたらたまったものではない。timePad図解をよく見ると、ウェブ・ブラウザのように、訪れた場所と過去の時点が「履歴」として残っていることが判った。履歴は叔父さんが訪れた場所・時点であり、叔父さんがそこから生還出来たということは、その場所及びその時点が極めて安全であるということを意味する。突如戦争だの謀略・圧政・迫害・暗殺などに巻き込まれたくない勉君としては、叔父さんの履歴を再訪するのが無難に思われた。また、勉君はコンドームをいくつかポケットに入れて持ち歩くことにした。ジャンヌ・ダルクの場合は妊娠してもどうせ火炙(あぶ)りの刑で死んじゃうことが判っていたからいいが、そうでない場合、白人などが目尻の釣り上がったアジア人の赤ん坊を産んだらまずいだろうからだ。

勉君は叔父さんの履歴の一つを選んでタイム・スリップした。何と、そこはスペインの闘牛場のど真ん中だった。満員の大観衆の前で闘牛士と獰猛な雄牛の一騎打ちが行われている。その傍らに相撲の行司みたいに突如勉君が出現したことになった。「わあーっ!」と大観衆が一斉にどよめき、闘牛場は大騒ぎになった。と、猛牛が勉君に気づき、頭を低くし角を突き出して勉君に突進して来た。
「いけね!」この日、勉君がよりによって赤いTシャツを着ていたのがまずかった。猛牛に狙われて当然である。「ひえーっ!」勉君は右往左往して逃げ惑いながら、timePadの「戻る」アイコンを押した。
「わあーっ!」また大観衆がどよめいた。赤シャツの青年が突如現れたかと思ったら、また急に消えてしまったからだ。

自室に戻った勉君は赤いTシャツを脱ぎ、ワイシャツと黒いズボンに着替えた。「叔父さんの行った場所なら安全だ…なんて云った奴の顔が見たいよ、全く」勉君が独り言を云った。勉君は履歴の次の項目を選んだ。映画のタイムマシンというと、電磁気がビリビリ火花を散らしたり、目くるめく渦のトンネルを抜けたりするが、timePadは、ほんの一寸身体が浮くふわっという感じだけで過去に瞬間移動出来る。

着いた先はやはりスペインだったが、今度は街頭であった。お祭りの最中らしく、フラメンコの衣装を着た幼女、少女、妙齢の女性などがぞろぞろ歩いている。勉君が驚いたことに、そういう女性は(子供も大人も)みな凄い美人だった。あるいは、スペインの女性の顔立ちが日本人好みだということかも知れない。安全を見極めた勉君は、持って来たナップサックにtimePadを入れて背負った。落としたり盗まれたりすると、現在に戻れなくなってしまうからだ。

「キーッ!」と音を立てて真っ赤なスポーツカーが勉君の傍らで停まった。運転しているのは22歳ぐらいの女性で、これがまた超美人。映画スターじゃないのが不思議なほど。その女性は勉君を見ながらするするとウィンドーを下ろした。
「Japonés(日本人)?」その美女が云った。
「Si」(うん)と勉君。彼でもこのぐらいは云える。
「*@#$)*^~$^&#Jiro?」と美女。
勉君は驚いた。次郎というのは叔父さんの名前だった。この女性は叔父さんを知っているのだ。
「He is my uncle.」スペイン語が話せない勉君は英語で云ったが、通じたかどうかは判らない。
「+*()&*#*^*}@{!!Jiro」その女性が涙ぐんだ。そして、車の助手席をぽんぽんと叩いて、勉君を見つめた。乗れと云っているのだ。
わけが判らないながら、(叔父さんを知っているのなら大丈夫だろう)と、勉君は車に乗り込んだ。
「Amalia(アマリア)」女性は自分を指差しながら云った。
「Tsutomu」勉君も同じことをした。

アマリアは軽やかにスポーツカーを発進させた。互いに言葉が通じないことを悟った二人は、しばらく無言だった。車が石積みの湾曲した建造物の駐車場で停まった。アマリアがずんずん歩いて行くので、勉君も早足で従う。アマリアが切符を買って入って行った先に広がっているのは、何と先刻逃げ出したばかりの闘牛場ではないか!アマリアは叔父さんを知る勉君に闘牛を見せて歓迎したいらしかったが、猛牛に追われた経験を持つ勉君は困惑した。
「(^^)&}{*&#@^^+>!!!!!」アマリアが興奮して何か云った。大観衆のざわめきも一段と高くなる。いよいよ闘牛の開始なのだ。
牛が引き出された。勉君は、何となくその牛に見覚えがあるような気がした。馬に乗って槍で牛を突いたり、牛の角の間に銛を打ち込む係が仕事を済ませると、大きな拍手に迎えられて闘牛士が登場した。闘牛士は帽子をとって客席全体に一礼する。帽子を後方に投げ捨てると、猛り立つ牛との一騎打ちの始まりだ。
「わあーっ!」大観衆がどよめいた。牛と闘牛士の傍に、突如赤いTシャツ、半ズボンの青年が出現したのだ。
「@**^%@+<>&*%$?????!!」アマリアが驚いて叫ぶ。
勉君は身体を硬直させた。あれは数時間前の自分ではないか!自分で過去の自分を見ているとは!
「わあーっ!」また大観衆がどよめいた。赤シャツの青年が突然消えてしまったからだ。
牛も闘牛士もぽかんとして、自分が何をすべきかを忘れてしまった。
「???????」アマリアが、眉根を寄せて勉君をじろじろ見た。赤シャツの青年と、自分の隣りに座っている青年がそっくりに見えたからだ。
勉君はアマリアの視線を感じながらも、呆けたような顔で通した。演技ではなく、実際過去の自分の姿を見て茫然としていたのだが。

闘牛はその後も続いたが、誰も真剣に見ていなかった。観衆はみな、幻のように現れ忽然と消えてしまった人物が何だったのか、口々に喚いていたからだ。闘牛士たちも、また妙な邪魔が入らないか気が気でなく、みな上の空の感じだった。アマリアと勉君は、気の抜けた闘牛場をさっさと後にした。勉君はアマリアに一万円札を見せ、両替の意思を「ユーロ、ユーロ」と云ってみたのだが通じない。(そうか、この頃はまだユーロ以前なんだ)と悟った勉君は、「ペセタ、ペセタ」と云い直した。アマリアが連れて行ってくれた銀行で両替した勉君は、お腹を指差して空腹であることを伝えた。上等なレストランに入った二人は、ワインを飲み、ガスパチョ(トマトの冷製スープ)やパエリャ(海鮮炊き込み御飯)を食べた。勉君が支払った。

アマリアは車を住宅街に向けた。車が停まったのは、白壁に色とりどりの花の鉢が無数に飾られている綺麗な家の前だった。アパートらしく、いくつもの扉が並んでいる。アマリアはその一つに勉君を招じ入れた。アマリアが棚の上に飾られていた写真額を勉君に見せた。十代の少女アマリアの肩を抱いて微笑んでいるのは、勉君の叔父さんだった!
「Padre」とアマリアが云った。
「えーっ?」勉君が驚いた。彼女は「パパ」と云ったのだ。独身だった叔父さんは、人知れずスペインで子供を作っていたのか?となると、アマリアは勉君の従姉ということになる。
「+*()&*#*_*}@{!!」アマリアがしくしく泣き出した。叔父さんが亡くなったことを知らないアマリアは、叔父さんが行方不明になったか、彼女を見捨てて去ったと思っているのだろう。
こういう場面を経験したことのない勉君は、ぎごちない動きでアマリアをそっと抱いた。アマリアは感極まって勉君の顔に頬を寄せておんおん泣き出した。勉君の頬にまでアマリアの涙が伝わって来る。勉君はズボンのポケットのハンカチを取り出して彼女に渡そうとした。ハンカチと一緒に何かがぼろぼろっと出て足下に落ちた。コンドームだった。アマリアが怪訝な顔で足下を見る。勉君は決まり悪さで顔を真っ赤にした。何と恥ずかしいことか。美女の従姉に軽蔑されちゃうではないか!

アマリアはしゃがんで一個一個コンドームを拾い集めた。
「あの、その」勉君がおろおろしながらコンドームを受け取ろうとする。
アマリアはコンドームを渡そうとせず、勉君の手を引いて居間から彼女の寝室へと移動した。彼女は白いブラウスを脱ぎ、黒いスカートを下ろし、白いブラジャーとパンティだけになった。勉君は感動した。さすがは情熱の国、会ってすぐでもおまんこ出来るのだ。それも凄い美人と。彼女が従姉だろうと姉だろうと、こんな千載一遇のチャンスを逃す手はなかった。勉君も着ているものを脱ぎ、全裸になった。ベッドに横たわる、真っ白なアマリアの肉体に涎を垂らしながら、勉君は69の体勢でアマリアに覆い被さり、その陰部に顔を近づけた。スペイン系の人間は日本人と同じ黒髪が普通だそうで、アマリアの陰毛も真っ黒だった。ただし、ジャンヌ・ダルクのような薮ではなく、性器の周りを控えめに取り巻いている感じが可愛い。勉君は、アマリアの割れ目を左右に開いて粘膜を曝け出させ、膣口も開いた。全て綺麗なピンク色だった。勉君がクリトリスを舐め出す。
「(^^)&}{*&#@^^+>!!!!!」アマリアが快感に興奮した。彼女も勉君のペニスを頬張り、ぺろぺろすぽすぽを開始した。
一度経験したいと期待していたフェラチオではあったが、想像以上、いや想像を絶するペニスの快感に、勉君は舞い上がった。フェラチオに興奮してクンニを激しくする。アマリアもそのクンニに興奮してフェラチオを激しくする。相乗効果で、二人の舐め合いはどんどんテンポアップして行く。
「ぶぶぐぶーっ、ばがごべーっ!」ペニスを口に入れているアマリアが卑猥なよがり声を挙げる。
「べじゃべじゃむがむぐぶぐ」勉君もクンニしつつよがる。勉君の尿道口から我慢汁が顔を覗かせた。(いけね。またか!)ジャンヌ・ダルクは死んじゃったからいいが、アマリアに早漏と決めつけられるのは避けたかった。勉君はアマリアをイかさねば…という強迫観念で、突如69体勢を解いて正常位でのしかかろうとした。時既に遅し。アマリアの股ぐらに膝を突いた瞬間にぴゅぴゅぴゅーんっ!と精液が飛び出し、アマリアの顔面を襲った。
「!!!#{*o*}@{*o*}$%ZX?{*o*}{*o*}!!!!」アマリアが悲鳴を挙げた。アマリアは顔から勉君の精液を滴らせながら起き上がり、「びたーんっ!」と勉君にびんたを食らわせた。
勉君は衣類を拾い集めて、timePadの「戻る」アイコンを押した。アマリアがコンドームの袋をぶつけて来た。

年上の女たちに殴られ通しの勉君は、今度は年下の女の子を狙うことにした。叔父さんのtimePad図解によると、Google Mapのようにある地点に焦点を合わせ、さらに年月日を選んで訪れることも出来るらしい。北緯44°13′25″ 北緯95°28′8″というデータを頼りにアメリカ合衆国ミネソタ州ウォルナット・グローヴという小さな町にズームインする。視界を、町外れの大草原に移動させる。しばらく右に左に指で視界をコントロールすると、あった!大草原の小さな家。勉君はその家の周りにズームインさせ、野原で遊んでいるであろうローラちゃんを探した。いた!ワンピースに胸から下までの白いエプロンを着けた10歳のローラちゃん。勉君は子供の頃、TVドラマ『大草原の小さな家』が大好きで、ローラちゃんのファンだった。幼いローラちゃんなら顔を叩かれないで済むだろうという目算だった。

【註】『大草原の小さな家』はフィクションではなく、Laura Ingalls Wilder(ローラ・インガルス・ワイルダー、1867〜1957)の自伝を元にしたドラマである。




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