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10. 宮廷女官チャンムグのオナラ

16歳の女の子チャンムグには大望があった。無実の罪科(つみとが)で糾弾され、シェ一族によって殺害された母の名誉を回復するのだ。その大願成就には水剌間(すらっかん、王室調理場)の頂点である最高尚宮(ちぇごさんぐん)になることが必須であり、チャンムグはそのためならどんな艱難辛苦をも耐え忍ぶつもりだった。ところが、その前に予想もしない難題が降り掛かった。

孤児チャンムグを引き取って育てたのは、王室調理場の通い料理人カン・ドックリ(42歳)であった。カン・ドックリもその妻もチャンムグを可愛がり、チャンムグも養父・養母を「おじさん」、「おばさん」と呼んで慕っていた。チャンムグが小さいうちはよかったのだが、彼女が16歳になって蕾が開きかけた頃になってカン・ドックリに心境の変化が訪れた。チャンムグを女として見始めたのだ。

「おじさーん!おばさーん?」ある日の午後、カン・ドックリが燗徳利を並べて酒を呑んでいると、予期しないチャンムグの声がした。赤いリボンを髪に飾り、濃緑色のチョゴリ(上着)、紫紺のチマ(巻きスカート)を着ている。「あら、おじさん、昼間からお酒呑んでる!おばさんが知ったら、大目玉よ?」整った輪郭の顔に、大きい目、美しい唇のチャンムグが、いたずらっ子のように目をくりくりさせて云う。
「あれは今日郷里(さと)に帰ってる。だいじょぶだ」とカン・ドックリ。「それに、今日は久し振りに仕事しないでいい日なんだ。たまにはいいじゃないか!」
「まあ。おつまみも無しで呑んでるの?駄目よ、何か食べながら呑まなきゃ。身体に毒よ?」とチャンムグ。
「じゃ、何かつまみを作ってくれ。あ、それから酒のお代わりだ」カン・ドックリが徳利を逆さに振って空であることを示す。
「んまあ!もうたっぷり呑んだんじゃないの?」
「うんにゃ。まだ呑み足りない。頼むよ!」

しばらく台所に消えたチャンムグが、おつまみと燗をつけたお酒を持って戻って来た。
「おお、待ちかねた。さ、注いでくれ」カン・ドックリが盃を出す。
「おつまみを食べながら呑むのよ?いい?」と云いながら養父にお酒を注ぐ。
「お前、休みを貰ったのか?」とカン・ドックリ。
「ううん。ゼン尚宮(さんぐん)さまのお使いで、市場に錦鶏(きんけい)を買いに来たとこ」チャンムグが朝鮮風にあぐらをかきながら云う。
「なーる」カン・ドックリが云いつつ、盃を重ねる。彼はチャンムグが作ってくれたおつまみを食べる。「おお、旨い!さすが水剌間(すらっかん)で鍛えられてるだけのことはあるな」カン・ドックリがおつまみをむしゃむしゃ食べる。
「美味しい?」とチャンムグ。
「美味しいなんてもんじゃない。頬っぺたが落ちそうだ」と云いつつ、カン・ドックリが盃をチャンムグに差し出す。「お前も呑め」
「いいえ。私は結構よ」チャンムグが拒絶する。
カン・ドックリはチャンムグを抱き寄せ、酒を含んだ口をチャンムグの口に押し付け、酒を流し込んだ。
「ぶぐぐぶぶーっ」生まれて初めての酒精(アルコール)を体内に入れられたチャンムグが抵抗する。しかし、口を封じられて吐き出すことは出来ず、やむなくごくりと呑み込む。体内に入った酒精は否応なく化学変化を起こす。チャンムグは顔を赤くして酩酊した。

カン・ドックリがチャンムグを押し倒し、押さえ込む。
「何すんの、おじさん?!」チャンムグが抗(あらが)う。チャンムグの足が酒の入った燗徳利を蹴倒し、おつまみの容器も引っ繰り返す。
「チャンムグ!やらせろ!おまんこしよう!」カン・ドックリがチャンムグの紫紺のチマ(巻きスカート)をまくり上げ、ソッパジ(ズボン風下着)を引っぱり下ろす。
「いやーんっ!おじさん、女官は王様の女なのよ?王様以外とはおまんこしちゃいけないの!」チャンムグがカン・ドックリを突っぱねようと手足をじたばたさせる。
「そんなこた分かってる。王様が手を付ける前にお前とやりたいんだ!」カン・ドックリは服を脱いで下半身をあらわにする。勃起したペニスがびくんびくんと武者震いしている。
「きゃああ!駄目ーっ!やめてーっ!」チャンムグが叫ぶ。
カン・ドックリは両手でチャンムグの上体を押さえつけ、チャンムグのソッコッ(前後開きパンティ)を開いて、矢鱈めったらペニスでチャンムグの股間を突つく。
「あーんっ!」何度かクリトリスを突つかれたチャンムグが感じてしまう。
カン・ドックリは必死にチャンムグの膣口を狙ってペニスを繰り出す。狙いが上に逸れた攻撃も無駄ではなかった。クリトリスを刺激することによって、チャンムグのおまんこから愛液を滲み出させることに成功したからだ。愛液まみれになった亀頭がいつしかチャンムグの膣口に滑り込み始める。
「きゃああーっ!」チャンムグが喚く。
カン・ドックリが腰をぐいっと押す。ペニスがずぶずぶっと16歳のおまんこにめり込む。
「痛〜いっ!」チャンムグが処女を喪失した。

チャンムグは初めて体内に突っ込まれた肉棒によって、股が引き裂かれるような恐怖に戦(おのの)き、抵抗をやめてしまった。その肉棒はじっとしておらず、次第に動き始めた。
カン・ドックリは16歳の処女のおまんこに感動していた。ペニスが膣壁にぴっちりと押し包まれ、ペニスを動かすと肉襞が離すまいと追随して来る。背筋がぞうくぞくする快感を感じる。チャンムグが無抵抗になったので、無理矢理押さえつける必要がなくなり、カン・ドックリは性交を楽しめるようになった。腰を右旋・左旋させる。恥骨同士を擦り合わせる。
「うむむーっ!」チャンムグが感じる。
カン・ドックリはチャンムグのむっちりした尻を撫で廻す。腰を上下させ、恥骨でクリトリスを刺激する。
「あうーんっ!」養父に犯されながらチャンムグがよがってしまう。

「あっ!いいことやってる!」突然声が降って湧いた。カン・ドックリの息子イナイト(17歳)が戻って来たのだ。
「あっちへ行ってろ!邪魔するな!」カン・ドックリが怒鳴る。
「そうはいかない。おれもチャンムグとやりてえやい!」イナイトは持っていた風呂敷包みを抛り出すと、犯されているチャンムグの傍にやって来た。
「行かないとぶっ叩くぞ!」カン・ドックリが息子を脅す。
「そんなことしたら母ちゃんに云うぞ?母ちゃんに引っ掻かれてもいいのか?」息子が親父を脅す。
「…」カン・ドックリは黙った。焼き餅焼きの妻が怖いのだ。
イナイトはチャンムグの濃い緑色のチョゴリを脱がせ、ソッチョゴリ(チョゴリの下に着る下着)とソッチマ(スリップ)もはだけさせた。チャンムグのお椀を伏せたような可愛いおっぱいが曝け出された。イナイトが片方の乳房にしゃぶりつき、舐めたり吸ったりする。カン・ドックリが腰を使いながら、残る乳房を揉む。
「あうーっ、あはーん!」チャンムグは、おまんこの快感と乳房の快感に酔い始める。
カン・ドックリはチャンムグをよがらせていることに興奮した。可愛いチャンムグ。気持ちいいチャンムグのおまんこ。カン・ドックリがピストン運動を始める。
「あうあうあうあう!」チャンムグがよがる。
イナイトが、よがり声を挙げるチャンムグの口に吸い付き、舌を突っ込んでチャンムグの舌を舐め廻す。
カン・ドックリがピストン運動と腰の回転を急速にする。
「ぶぐぶー、ぶぶぶぐーっ!」舌を舐められ、おっぱいを揉まれ、激しくおまんこされているチャンムグが快楽に苦悶する。
「むむむーっ!」カン・ドックリがぴゅぴゅぴゅぴゅーん!と射精した。
「ぶぶぐわーんっ!」チャンムグもイった。

父が果てたことを知ったイナイトは、父に交代してチャンムグの股ぐらに入って膝を突いた。服を脱いで下半身を剥き出しにする。イナイトは手拭いで父の精液にまみれたチャンムグのおまんこを拭いた。勃起したペニスをチャンムグの膣口にあて、ずぶずぶと入れる。
「むむーっ!」あっという間に輪姦されつつチャンムグが呻く。
チャンムグが一度イったことを知っているイナイトは、自分の快楽だけに専念すればいいので、すぐピストン運動に入った。
「おおおーっ!」絶頂の余韻を味わっていたチャンムグの肉体が、またもや快楽を貪れる好機を発見して燃え上がった。
射精後ぜいぜい云っていたカン・ドックリが、四つん這いでチャンムグに近づき、チャンムグに接吻し、その舌を舐め廻す。
イナイトはチャンムグの両方の乳房を揉みながら、激しくおまんこする。
「ぶぶぎゃーんっ!」口を塞がれているチャンムグがまたイった。
「おおおーっ!」チャンムグのよがり声に誘われて、イナイトもどっぴゅぴゅぴゅーん!とチャンムグの体内で射精した。

一ヶ月後。チャンムグは焦った。生理が訪れない。チャンムグは最悪の場合を恐れ、単なる月経不順であると思いたかった。ひたすら出血を待った。二ヶ月経ってもそれは訪れなかった。チャンムグはパニックに陥った。お腹が大きくなったら只では済まない。宮中で働く女官は下は10歳から上は50歳まで全て王の女である。王以外の男と情を交わした者は死刑である。最高尚宮(ちぇごさんぐん)になるどころか、その遥か手前でこの世とおさらばしなければならない。無念である。チャンムグは養父カン・ドックリとその息子を怨んだ。しかし、むざむざ死を待つような彼女ではなかった。母が生前云い聞かせてくれた「簡単に挫けちゃ駄目」を実践し、何とかしてこの局面を打開しなくてはならない。

チャンムグは、師とも母とも仰ぐゼン尚宮(さんぐん)から王室の書庫への入出許可証を貰い、“料理の研究”と称して堕胎の民間療法について調べ始めた。調べ出すと、堕胎に効能のある生薬(しょうやく)はいくつもあるようだった。ホオズキの根や地下茎を乾燥させたもの。ヒナタイノコズチの根を冬葉が枯れてから採取し乾燥させたもの。また、ワタの根の皮を煎じて服んだり、アマクサギの葉を茹でて食べるのもいいらしい。チャンムグはゼン尚宮から外出許可を得て、市場の薬屋を走り廻った。目当ての生薬はどこにもなかった。
「宮中の内医院(ねいうぉん)にならあるべ」と、ある薬屋が云った。
しかし、水剌間(すらっかん、王室調理場)の女官が内医院をうろうろするわけにはいかない。

「チャンムグ?お前、この頃いやに思い詰めた顔をしてるじゃない?一体、どうしたの?」ある日、ゼン尚宮(36歳)が尋ねた。「それに、外出しては疲れた顔で戻って来るし」ゼン尚宮はぽっちゃりとした顔に、やや釣り上がっているが優しい目、やや歪んでいるが魅力的な唇の持ち主。
「何でもありません、ゼン尚宮さま」チャンムグが目を伏せて答える。
「嘘おっしゃい!」ゼン尚宮がぴしゃりと云う。「チャンムグ?私の目を見て答えなさい。一体、何があったの?」
「…」チャンムグには答えられない。
「私はお前を厳しく仕込んで来ました。それは、お前を見込んだからよ。私は鬼でも意地悪でもない。お前の力になりたいのよ」
「うわーんっ!」ゼン尚宮の優しい言葉に、チャンムグが泣き出した。
ゼン尚宮はチャンムグをそっと抱きしめ、泣くに任せた。よほどのことがあったに違いない。

チャンムグは正直に全てを話した。犯され、妊娠したこと、堕胎に効く生薬を探していること…など。
「まあっ、何てこと!」ゼン尚宮はショックを受けた。たった16歳の将来有望な女官が、王以外の男に妊娠させられ、死を賜るかも知れないのだ。「お前、いまホオズキって云わなかった?」とゼン尚宮。
「はい。ホオズキの根を干したものだそうです」とチャンムグ。
「それ、水剌間(すらっかん)にあるわよ?」ゼン尚宮が云った。
「えーっ?ほんとですかっ?」チャンムグが驚喜する。
「ホオズキの実を潰して塗ると霜焼けに効くので、水剌間で常備してるの。私たちは四季を通じて水仕事しなきゃならないから」とゼン尚宮。
「でも、根は捨てちゃうんじゃありません?」チャンムグが案ずる。
「かも知れない。サオンウォンへ行ってみましょう」ゼン尚宮が先に立つ。サオンウォンとは宮廷内の食材置き場である。
ホオズキの束があった。茎も根もついており、適度に乾涸びている。
「うわあっ!これですっ!煎じて服んでみます!」チャンムグが大喜びする。
「よかったわ。効くといいわね」ゼン尚宮がチャンムグを愛おし気に見つめた。

しかし、ホオズキの根は効かず、流産の兆候は現れなかった。チャンムグはゼン尚宮の居室を訪れ、結果を伝えた。
「そう」ゼン尚宮は驚かなかった。「チャンムグ。裸になりなさい」とゼン尚宮。
「えーっ?」チャンムグが驚く。
「私の母が年取ってから妊娠した時、私にお腹を摩擦(マッサージ)させて堕胎を試みたことがあるのです。それをやってみましょう」
「うまくいったのですか?」とチャンムグが聞く。
「ええ。でもそれが自然にそうなったのか、摩擦のせいかは分からないわ。でも、やってみる価値はあるでしょ?」とゼン尚宮。
「ええ。でも、ゼン尚宮さまにやって頂くなんて畏れ多くて…」チャンムグが身を固くする。
「お前、ほかに頼める人がいるの?」
「親友のゴセンになら頼めます」
「ゴセン?ああ、あの子ね。でもあの子、一寸おしゃべりじゃない?万一摩擦の目的が誰かに漏れたら、あなたお仕舞いよ?」
「困ります!」チャンムグがべそをかく。
「じゃ、私しかいないじゃない。さ、脱いで!」

チャンムグが布団を敷いて、裸になって横たわった。ゼン尚宮もトゥルマギ(羽織)を脱ぐ。ゼン尚宮は、若く真っ白なチャンムグの下腹部を揉む。チャンムグは祈るような思いで目を閉じていたが、ふと目を開けるとゼン尚宮の額に汗が浮かんでいる。チャンムグはゼン尚宮の自分への愛情に打たれ、目に涙を溢れさせた。
「痛いの?痛かったら、そう云わなきゃ」ゼン尚宮が揉みながら云う。
「いいえ。私、嬉しくて…」とチャンムグ。
「先輩にお腹を揉ませるのが嬉しいの?」ゼン尚宮がからかうように云う。
「ゼン尚宮さまにこんなに親切にして頂いて、私、もう死んでもいいです…」チャンムグが泣きながら云う。
「そうよ!お前は死んでも文句ないでしょうよ」とゼン尚宮。
「え?」日頃優しいゼン尚宮の言葉とは思えず、チャンムグが目を白黒させる。
「宮中の女官は王様のお手が付かない限り、処女のまま死んで行くの。私もそう」とゼン尚宮。「お前はたった16というのに、二人の男との性交を味わった。不公平よ」今度はゼン尚宮がしくしく泣き出す。
「ゼン尚宮さま!」チャンムグが起き上がってゼン尚宮に抱きつく。

「教えて、チャンムグ!どんなもんなの?痛いの?気持ちいいの?ね、教えて?」とゼン尚宮。
チャンムグは養父に犯された一部始終を話しながら、ゼン尚宮のチョゴリとチマを脱がそうとする。
「な、何!お前、何してるの?」ゼン尚宮がチャンムグの手を掴む。
「ゼン尚宮さま!お慕い申しておりました!」チャンムグがゼン尚宮に接吻し、その口に舌を挿入する。
「うっぷ!」ゼン尚宮が大きく目を見開いて驚愕する。しかし、女同士の舌の舐め合いに興奮してしまった。
女官ばかりの水剌間での同性愛は珍しいことではなかった。よほどの美貌でもない限り王様の目にとまらないわけだし、女の生理によって毎月必ず性欲の高まりが訪れる。女同士なら妊娠の心配もなく性欲を発散出来る。公式には禁じられているのだが、同性愛は必然であった。色んな女官同士の組み合わせが取り沙汰されていたが、シェ尚宮(さんぐん)とその姪の女官ジュウミョンの、叔母・姪の同性愛などはその筆頭であった。

ゼン尚宮を裸にしたチャンムグは、ゼン尚宮の股ぐらに蹲っておまんこを舐め出した。ゼン尚宮は処女ではあるが、36歳という年齢ゆえ大陰唇、小陰唇を色素沈着で薄茶色に変化させていた。割れ目を開いてゼン尚宮のピンクの粘膜を露出させたチャンムグは、クリトリスを重点に、舌でつんつん弾いたり、ぺろぺろ舐めたり、舌を押し付けたりした。
「あうー、あううう!」ゼン尚宮がよがる。
チャンムグはゼン尚宮のクリトリスを舐めながら、大陰唇、小陰唇、膣口などを触りまくる。
「はーっ、あはーっ!」ゼン尚宮が身悶えする。
チャンムグの指先に愛液の湿り気が感じられた。
「ゼン尚宮さま?」チャンムグがゼン尚宮の股ぐらから顔を上げて問いかける。
「え?なーに?」快感にうっとりしていたゼン尚宮が答える。
「ゼン尚宮さまのここに指を入れてもよろしいですか?ちょっとの間痛いですけど」
「…」ゼン尚宮はチャンムグの突拍子もない提案に驚きながらも、素早く考えた。もう王様のお手がつく歳ではない。棺桶に入るまで処女膜を一生大事にしたとて、何の意味もないではないか。「いいわ」ゼン尚宮が決意した。

チャンムグは愛液でびじょびじょのゼン尚宮のおまんこに指を二本を当てた。ぬるぬるの膣口に指を滑り込ませる。
「あつっ!」ゼン尚宮が声を上げる。36歳の処女喪失。
チャンムグはゼン尚宮の気を逸らすように、親指でクリトリスを集中攻撃する。
「うふーん!むーん!」ゼン尚宮がよがる。
チャンムグは静かにゼン尚宮の体内で指を蠢かせた。もう痛がらない。チャンムグが指をずっぷり入れた。彼女はカン・ドックリのペニスが自分をよがらせた角度を覚えており、それを指で再現しようとしていた。ゼン尚宮の恥丘の裏の肉壁を擦りまくる。
「あわーんっ!」ゼン尚宮が電撃に打たれたように身を硬直させる。
チャンムグは親指でクリトリスを刺激し、指二本で膣内を擦り、愛液の滴りに導かれて蟻の門渡りを舐め、ゼン尚宮の肛門も舐めた。
「ひっ!」ゼン尚宮が驚く。
肛門舐めは、チャンムグの師への愛、師への恩返しの表現であった。
チャンムグはカン・ドックリのクライマックスのテンポを模倣しながら指を出し入れし、舌によるクリトリス刺激を再開した。
「あっはーん、んははーんっ!」ゼン尚宮が美しい唇を歪め、泣くような声でよがる。
チャンムグは空いている片手を伸ばしてゼン尚宮の乳房を揉み、乳首を弄くり廻した。
「むわーんっ!」ゼン尚宮がイった。

「摩擦より良さそうなことを思いついたわ」興奮が冷め、衣服を改めたゼン尚宮が云った。「明日、水剌間でお皿を二、三枚壊しなさい。上等なのは駄目よ?安物を選ぶのよ?私は罰として、お前を宮廷付属の薬草園の草むしりを命じます」
「えーっ?」チャンムグが驚く。
「薬草園の責任者はチョン・ニンニクさんと云って、本当は医務官なのです。私の古い友達ですから秘密は守ってくれます。彼に堕胎に効く薬草について相談しなさい」
「はあ…」チャンムグは、内医院(ねいうぉん)を追われて薬草園で働いている医師など当てにならないと思ったが、恩師ゼン尚宮の云いつけには従わざるを得なかった。

チャンムグが会ったチョン・ニンニクは、予想より遥かにひどい人物だった。丸顔に髭もじゃ、鉢巻を締めて野良仕事に相応しい衣類を着ているので、まるで正真正銘の農夫、とても医師には見えない。その上、昼間から酒を呑んでいた。
「ワタの根の皮はないが、ここではヒナタイノコズチも、ハマタイゲキもアマクサギも育てておる。煎じて服みたいのなら好きなのを選べ」チョン・ニンニクが云った。
「あの、それを順番に試してみてもいいでしょうか?」とチャンムグ。
「いいとも」
「うわあ!助かります!」チャンムグが頭を下げる。
「しかし、只ではない」とチョン・ニンニク。
「え?」
「わしは独身でな。酒に金を注ぎ込んでいて妓生(きーせん)を買う金もない」チョン・ニンニクがチャンムグの身体を舐めるように見ながら云う。
「…」頭のいいチャンムグには、男の目的が判った。「私は女官です。王様の女なのですよ?王様の女に手を出そうというのですか?」
「わしは訳あって世捨て人同然だ。王様がわしを流刑にしようと死刑にしようと一向に構わんのだ」
「んまあ!」そんな男に理非を説いても無駄である。
「それに、堕胎しようとしている女官が王様の女だなどとよくもまあ云えたもんだ」落ちぶれてもさすが医師、チョン・ニンニクはちゃんとチャンムグの目的を見抜いていた。
「…」こうもバレバレでは仕方がない。チャンムグは黙って着ているものを脱ぎ始めた。
「いい子だ」裸になったチョン・ニンニクがチャンムグを抱きすくめ、押し倒しておまんこした。

チョン・ニンニクは、薬草一種につき一回チャンムグとおまんこした。どの薬草も効き目をあらわさなかった。度重なる性交によって、チャンムグの肉体は毎回確実に絶頂に達することが出来るようになった。しかし、堕胎出来ぬことには死刑の宣告は避けられない。死と裏腹の性の喜びは、絶望を束の間押し隠してはくれるものの、絶望を消し去ってはくれなかった。
「わしが手紙を書く。内医院(ねいうぉん)のシン・ピクピク医局長に相談しろ」とチョン・ニンニクが云った。「シン医局長は医学博士でもある。わしの知らないことを知っているやもしれん」
チャンムグはチョン・ニンニクの書状を携えて内医院に向かった。

「ふむふむ」シン・ピクピク医局長が書状を読んだ。「堕胎に役立つ方法なら知っている」彼は小柄で端正な顔立ちをしているが、やや神経質そうな目をぴくぴくさせている。
「先生、是非それを教えて下さい」チャンムグが頼む。
「いいが、只では教えられない」とシン・ピクピク医師。
チャンムグは(そら、おいでなさった)と、黙って服を脱ぎ出す。
「あ、これ。服は脱がずともよい」シン・ピクピク医師が制止し、自分のパジチョゴリと下着を脱ぐと半勃起状態のペニスを突き出した。「舐めてくれ。わしがイくまで」
「うえーっ!」チャンムグは動顛した。ゼン尚宮のおまんこは舐めたが、男のペニスは舐めたことがない。しかし、チャンムグに選択の余地はなかった。チャンムグはシン・ピクピク医師の前に膝を突き、彼のペニスを両手で捧げ持って舐め始めた。

「おお、いいね。結構上手だ。キミが医女なら毎晩やって貰うんだが」とシン・ピクピク医師。
(冗談じゃない!)とチャンムグは思った。(こんなこと毎晩やれるもんですか!)
「キミ。こういうことするの、初めて?」とシン・ピクピク医師。
「ばえ(はい)」とペニスを頬張っているチャンムグ。
「わしが『出ちゃいそう』と云ったら、舌の根を盛り上げなさい。でないと、ゲホゲホしちゃうから」
「ばえ(はい)」
「あ、出ちゃいそう!」早くもシン・ピクピク医師がペニスをぴくぴくさせて苦悶する。
チャンムグは慌てて舌の根を盛り上げた。
「おおおーっ」シン・ピクピク医師がぴゅぴゅぴゅーん、ぴゅーんとチャンムグの口内で射精した。

「先生。お約束です」チャンムグが懐紙に精液を吐き出しながら云う。「堕胎の方法」
「おお、それそれ。最も簡単な堕胎法はおまんこすることだ」とシン・ピクピク医師。
「ええっ?何ですって?」チャンムグが目を剥く。
「精液には少なからず細菌や化学物質が含まれているため、子宮に影響を与えて流産を引き起こすことがあるのだ」
「へえ?」
「だから、出来るだけ多く性交をするとよい。解ったかね」
「だったら先生、どうして私のおまんこに射精してくれなかったんですか?勿体ない」とチャンムグ。
「わしは王様の主治医だ。わしが王様の女とおまんこするわけにはいかんよ」とシン・ピクピク医師。
「王様の女にお珍々舐めさせるのはいいんですかあ?」チャンムグが反論した。

「なになに?」チョン・ニンニクがシン・ピクピク医師の返書を読んでいる。「出来るだけ沢山おまんこしろと書いてある。ほら、わしの処方は間違ってなかったわけだ」チョン・ニンニクが自画自賛する。「なにい?」次の段落を読んだチョン・ニンニクが驚く。
「何て書いてあるんですか?」チャンムグが気にする。
「出来るだけ長い陰茎の男が望ましいそうだ。子宮に届くような」とチョン・ニンニク。
「そんな…。男の人を捉まえて『あなたの陰茎長いですか?』って聞いて廻るわけにもいかないし…」チャンムグが途方に暮れる。
「お前はツいとる。今日、ここへ陰茎の長い男が来ることになっとる。その男に頼め」
「えーっ?どうして、その人の陰茎が長いって判るんですかあ?」チャンムグには信じられない。
「わしはこう見えても医者だ。子供の頃から診察してる患者の身体はよく知っとる」
「はあ、なるほど」チャンムグが納得する。

その男はミン・チョンボ(22歳)と云った。チョン・ニンニクがチャンムグに彼を紹介した。
「彼は文官なんだが、武術にも長けとる。で、今は内禁衛(ねぐみ、王の護衛隊)の武官を勤めとる」そう云って、チョン・ニンニクは気を利かせて去った。
「初めまして。あの、私…」チャンムグが自己紹介しようとした。
「存じ上げてます。チャンムグさんでしょう?宮中で何度もお見かけして、綺麗な女(ひと)だなと思ってました」ミン・チョンボは誠実そうな二枚目で、髭も立派、衣装も立派、上級官僚としての威厳も備えたいい男だった。
「まあ!」綺麗と云われたチャンムグが頬を赤く染める。
「やあ、可愛いな、その照れた顔!」ミン・チョンボが、ますますチャンムグを気に入る。
「あの、お願いがあります」チャンムグが切り出したが、どう後を続ければよいか困惑した。女が、しかも王の女である女官が、王の護衛隊の武官に「おまんこしてくれ」とは云い難い。「あの、お珍々舐めさせて頂けません?」チャンムグはさっきよりずっと顔を赤くしながら云った。
「何ですって?」ミン・チョンボが耳をほじくる。いま聞いたことが信じられないのだ。
「…」チャンムグは黙って俯いている。とても繰り返して云う勇気はない。
「私の珍々を舐めたい…って云われました?」ミン・チョンボが確認する。
「…」チャンムグが黙って頷く。
「驚いたな!」ミン・チョンボが面白そうに云う。
「失礼します!」恥ずかしさに堪えかねてチャンムグが逃げ出そうとする。
「待って!待って下さい!」ミン・チョンボが、武官としての素早さでチャンムグの前に立ち塞がる。「こちらこそお願いしたい。舐めて、舐めて下さいと云ったら舐めて下さるのですか?」
「はい」チャンムグが上目遣いにミン・チョンボの目を見つめて頷く。

チャンムグの考えは次のようだった。ミン・チョンボのペニスがさほど長くなければ、フェラチオだけで終わらせる。チョン・ニンニクの証言通りかなり長いのであれば、性交へと誘導すればいい。チャンムグは着ているものを脱ぎ始めた。
「?」ミン・チョンボは驚いた。フェラチオする女性が服を脱ぐ必要はないのに。しかし、女性が脱ぐのであれば、こちらも脱がないのは失礼だろう。ミン・チョンボも全裸になった。
チャンムグは目を見張った。ミン・チョンボのペニスは半勃起状態なのに、長い!そして太い。これまで見たペニスは、どれも子供のペニスみたいだ。(これなら子宮を直撃だわ!これが私のおまんこに入ったらどんな感じなんだろう?)チャンムグは驚きを隠しつつ、ミン・チョンボの腰の前にあぐらをかいてデカ摩羅を恭(うやうや)しく捧げ持って、舐め始めた。
ミン・チョンボは、美しい顔のチャンムグが自分のペニスをぺろぺろすぽすぽするのを見て興奮した。ペニスはぐんぐん伸び、チャンムグの喉につっかえるほどになった。
「げっ!」ペニスの先端で喉を詰まらせたチャンムグが吐き気を催す。
「チャンムグさん、あなたの可愛い口に私のは無理でしょう」とミン・チョンボ。
「ごめんなさい」チャンムグが失態を詫びる。
「チャンムグさん?やらせて、やらせて下さいと云ったらやらせて下さるのでしょうか?」とミン・チョンボ。
「お望みなら…」チャンムグが心にもないことを云う。
「是非とも!」ミン・チョンボが興奮した。

チャンムグが座布団をいくつか並べ、その上に仰向けに寝た。「あの…」とチャンムグ。「子宮を叩くぐらい奥まで深く入れて下さいます?」
「ほう?」とミン・チョンボ。「だったら、四つん這いになって下さい」
「ええっ?そんな!まるで犬みたいじゃありませんか!」チャンムグが呆れる。
「そうです。それが最も深く入る体位なのです」
「恥ずかし…」と云いつつ、チャンムグが四つん這いになる。
曝け出されたチャンムグのおまんこを、ミン・チョンボが尻の方から舐める。
「わっ!」舐められるとは思っていなかったチャンムグが驚き、喜ぶ。セックス慣れしたチャンムグのおまんこは、たちまち愛液を噴出させた。
ミン・チョンボは指をチャンムグの膣内に挿入し、恥丘の裏側に触れる角度で曲げる。
「ひーっ!」Gスポットを直撃されたチャンムグが身をのけ反らす。「やって、やって下さいと云ったら、やって下さるでしょうか?」
「やりましょう」ミン・チョンボが膝立ちし、長く太いペニスをチャンムグの膣口に当て、きついおまんこにぐりぐりと突っ込む。
「むひーっ!」ペニスを入れただけで子宮口を叩かれたチャンムグが喚く。

ミン・チョンボにとって16歳の若さの女とやるのは初めてだった。ペニスに吸い付く肉襞が心地よい。ふと、目の前のチャンムグの可愛い肛門が目にとまった。ミン・チョンボはその肛門を撫でて指を入れようとした。
「ひっ!」チャンムグが本能的に肛門を閉じようとする。その肛門括約筋の動きに連動してまん筋が締まる。
「おっ!」まん筋によってデカ摩羅を締め上げられたミン・チョンボが驚く。(名器か、これは?)また肛門を攻撃する。
「ひーっ!」チャンムグがまた肛門括約筋を締める。まん筋がひくひくと動く。
「おーっ!」ミン・チョンボのペニスが、うねうねと蠢くまん筋の動きを感じる。また指で肛門を押す。
「あひーっ!」チャンムグがまん筋を引き絞る。
「わおーっ!(これは名器だ!)」有頂天になったミン・チョンボが、指の肛門攻撃と摩羅のピストン運動を激しく連携させる。
「むあひーっ!」子宮を絨毯爆撃されたチャンムグがイく。
「ぐあーっ!」ミン・チョンボがずばこんずばこんと子宮口めがけて精液を放った。

その後数日、チャンムグは様子を見ていたが、流産の兆候は全くなかった。チャンムグはがっかりして、チョン・ニンニクに目論見の失敗を報告した。
「そうか。実はもっと確実な方法があるのだが、お前が遠出しなければならないので云い兼ねておった」とチョン・ニンニク。「全裸南道(ぜんらなんどう)にツンドクという医女が開いている診療所がある。ツンドクは鍼(はり)の名人だ。堕胎のツボも知っている筈だ。行ってみろ」

チャンムグは水剌間に戻り、ゼン尚宮に全裸南道行きを願い出た。
「よろしい。お前だけだと心配です。私も行きましょう」とゼン尚宮。
「えーっ?そんなこと出来ます?」チャンムグがたまげる。
「王様のご健康のために硫黄家鴨(いおう あひる)料理をお作りしようと思っていました」とゼン尚宮。「硫黄家鴨の本場は私の郷里である忠清南道(ちゅうせいなんどう)の温陽温泉なのだけれど、全裸南道にも温泉は沢山あります。硫黄家鴨もあるでしょう」

ゼン尚宮は最高尚宮(ちぇごさんぐん)に硫黄家鴨調達の旅を願い出て、チャンムグをお供に連れて行く許可を得た。全裸南道までの途中、二人はたっぷりと同性愛を楽しんだ。二人は数日後に目的地に着いた。

ゼン尚宮が硫黄家鴨を求めて周辺の温泉を調べに出ている間に、チャンムグは医女ツンドクの診療所を訪れた。診療室には大きな書棚があったが、そこに収まらない書物が床に山積みになっている。
「凄〜いっ!これみんな読んだんですか?」とチャンムグ。
「冗談でしょ。積んであるだけよ」とツンドクが云った。ツンドク(30歳)は美人とは云えないが、丸く平べったい顔に、常に人を茶化すような目と口元が特徴の可愛い女である。
チャンムグは堕胎したいという希望を伝えた。
「何ヶ月目?」とツンドク。
「まだ三ヶ月経っていません」とチャンムグ。
「それなら簡単だわ。三陰交と合谷(ごうこく)のツボを使えばいいの」
「わー、助かります。すぐお願いします!」チャンムグが浮き浮きして云う。
「でも、あたし高いわよ?お金持ってる?」とツンドク。
「え?いくらぐらいですか?」とチャンムグ。
ツンドクが施療代を云った。それはチャンムグには手の出ない途方もない金額だった。ゼン尚宮でさえ、そんなお金は持ち歩いていない筈だ。
「折角、ここまで来て…」チャンムグが泣き出す。

「あんた、宮廷女官だって云ってたっけ?」ツンドクが聞く。
「ええ」しくしくしながらチャンムグが頷く。
「あんた王様に近づける?」とツンドク。
「とてもとても。せめて尚宮(さんぐん)の位に昇進しないと」
「急ぐことはない。尚宮になったらやって貰いたいことがある。それが承知なら無料で堕胎して上げてもよい」
「えー?どんなことですか、一体?」チャンムグが訝しむ。
「王様の首に鍼を刺して殺すの」ツンドクが平然と云う。
「ぎょえーっ!」想像を絶する物凄い陰謀だ。
「王様の命令であたしは済州島(ちぇじゅど)に流刑になった。それを怨んでるのよ。殺しても殺し足りない」とツンドク。
「…」チャンムグは考えた。宮廷女官は王様の女である。その女官が王様を殺すなんて。しかし、堕胎して貰わなければ死刑である。(私が王様を殺すか、王様が私を殺すか、二つに一つなのだ)「やります!」チャンムグが答えた。
「よろしい。じゃ、堕胎して上げる」

施術は数分で終わった。
「じゃ、殺しのツボを教える。一度しか云わないから、ちゃんと覚えなさい。いいわね?」とツンドク。
ツンドクは座ったチャンムグの背後に立ち、首筋に鍼を当てる。チャンムグが手鏡でツボの位置を覚える。
「じゃ、今度はあんた。やってみて?」ツンドクが座り、チャンムグがツンドクの後ろに立つ。「形だけよ?刺しちゃ駄目よ?いい?」
「はい」チャンムグが手鏡で見た位置と思しきところに鍼を当てる。
「そ、そこよ!」ツンドクが感心する。
「よかった!」とチャンムグが喜んだ時、興奮のため鍼がツンドクの皮膚に深く刺さった。
「馬鹿!刺しちゃ駄目って…」ツンドクが叫ぶ。
「ご、ご免なさい!」チャンムグが慌てる。
「クソ、ご免で済めば警察要らないわよ…」と云いつつ、ツンドクは絶命した。

宿へ戻ると、丁度ゼン尚宮も戻ったばかりだった。
「どうだった?」とゼン尚宮。
チャンムグが全てを物語った。
「んまあっ!」ゼン尚宮が仰天する。
「私は人を殺(あや)めてしまいました。どうしましょう?」とチャンムグ。
「医女ツンドクは王様を暗殺しようとした逆賊です。その逆賊を殺したお前に罪はありません」とゼン尚宮。「でも、ツンドクの遺体をそのままにしてはおけないわ。私は役所へ行って医女ツンドクの埋葬の手続きをして来ます。お前は横になって身体を休めてなさい」
ゼン尚宮が出て行って間もなく、チャンムグは流産した。チャンムグは命拾いしたのだ。血の気が引いたチャンムグは、横になっていつしか眠ってしまった。

「よかったわ!」戻って来て流産の報告を聞いたゼン尚宮が、チャンムグを抱きしめて祝福した。
「ゼン尚宮さまのお蔭です!」チャンムグがゼン尚宮に感謝する。
ゼン尚宮はチャンムグに接吻し、二人は激しく舌を交えた。チャンムグは死罪を免れた喜びと師に愛されている悦びを噛み締め、ゼン尚宮は愛弟子であり同性愛の若いパートナーを失わずに済んだ幸運を天に感謝した。
「ゼン尚宮さま、何か硫黄の臭いがしますわ。硫黄家鴨をこの部屋に持ち込んだのですか?」と云いつつ、チャンムグが窓を開けて空気を入れ替えた。
「いいえ。硫黄家鴨はこの宿の鶏小屋に入れてあるんだけど?」とゼン尚宮。
二人は横になり、楽な姿勢でお互いのおっぱいを愛撫し合い、舌を舐め合った。
「チャンムグ?」とゼン尚宮。「お前はもう鍼を持っちゃ駄目よ?危険だわ」
「いいえ、ゼン尚宮さま。私の母の仇(かたき)シェ尚宮と、シェ尚宮の兄の悪徳商人シェ・パイズリらを消すために、鍼を使いとうございます」とチャンムグ。
「いけません!もう人殺しはやめて!」ゼン尚宮が強く云う。
「ゼン尚宮さま、お言葉ですけど、この物語の読者も私の復讐を認めてくれると思います!」とチャンムグ。
「主人公だと思って図に乗るんじゃありません!私だって結構人気があるんだから、私の意見を聞きなさい!」とゼン尚宮。
「私だって悪人どもをのさばらせておいてこの物語を終わらせたら、立場がありません」チャンムグもムキになる。
「困ったわね」ゼン尚宮とチャンムグが頭を抱えた。

「こうしましょう」ゼン尚宮がむっくり起き上がった。「二人でじゃんけんをするの。お前が負けたら復讐は諦める。勝ったらやりたいようにしなさい」
「そんな重要なこと、登場人物同士で勝手に決めていいんですかあ?」チャンムグが呆れる。
「いいのよ。さ、やりましょ」ゼン尚宮がチャンムグを促す。
「カウィ・パウィ・ボ(じゃんけんぽん)」
「カウィ・パウィ・ボ(じゃんけんぽん)」
「カウィ・パウィ・ボ(じゃんけんぽん)」
朝鮮では「あいこでしょ」と云わず、延々と「じゃんけんぽん」を云い続ける。
「カウィ・パウィ・ボ」
「カウィ・パウィ・ボ」
「カウィ・パウィ・ボ」

筆者は待ちくたびれて寝ちゃったので、どちらが勝ったのか知らない。

え?題名の「オナラ」はどうなったのかって?じゃんけんを始める前、チャンムグが窓を開けたでしょ?あの時に、チャンムグが透かしっ屁をしたのです。気づきませんでした?




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