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32. 大停電

西川家の長男・和也君(26歳)と北口家の長女・景子さん(22歳)が結婚して以来、両家は代わる代わる家族ぐるみの晩餐会を催すなどして、普通の姻戚関係を越える睦まじい関係を築いて来た。しかし、その睦まじさが二家族乱交にまで発展したのは、読者もよく御存知の例の首都圏大規模停電のせいであった。

ある夏の夜、両家は西川家の芝生でバーベキューやワインを楽しんだ。応接間に移った両家は、食後酒を飲みながらホストである西川宏一氏(52歳)の選曲で社交ダンスを始めた。パートナーを何度かチェンジした時、すとんと電気が落ち、周囲は真っ暗闇となった。「きゃあっ!」何人かの女性たちが叫んだ。停電も短いものは1秒で復帰することもあるし、5分とか10分で済むことも多い。しかし、この停電は長かった。

暗闇の中で、西川宏一氏がこういう時のために用意してある電池式ラジオのスウィッチを入れた。
「臨時ニュースを申し上げます。只今、東京都を中心に大規模な停電が発生しております。影響を受けているのは、午後9時38分現在、東京都心部14区1市、神奈川県横浜市、川崎市、千葉県浦安市、市川市となっています」とアナウンサー。「復旧の見通しは今のところ立っておりません」
「ええーっ?」みんなが一斉に声を挙げた。
「どうしましょう?」と西川宏一氏の妻・久美さん(46歳)の声。久美さんはもと芸者で、今でも色っぽさを保っている女性。
「すぐ点くでしょ。五分以上の停電ってないですからな、最近」と西川氏の声。
「父さん?」と和也君の声。「そのラジオで音楽やってる局、探して?ダンスを続けようよ」
「えーっ?暗闇でーっ?」と北口氏の妻・雅子さん(42歳)の声。雅子さんは熟女の色気を感じさせる品のある女性。
「面白いじゃない!」一番若い北口拓夫君(20歳)の声。
「そうかしら?」西川家の次女・友美さん(24歳)が云った。友美さんは某大企業の宣伝課勤務の聡明な女性である。

「これでいいかな?」軽音楽を放送している電波を探し当てた西川氏の声。暗闇にダンスに相応しい音楽が流れる。
「いいね!」と西川和也君の声。「景子、踊ろ」と和也君が闇の中で手を伸ばして妻・景子さんを探す。
「きゃっ!」和也君に身体を触られた女性の誰かが悲鳴を挙げる。
「あ、ご免なさい!」と和也君の声。
「相手が誰でもいいじゃないか。みんな家族なんだし」と北口輝男氏(50歳)の声。
「五分おきにパートナー・チェンジすりゃ、同じことじゃない?」と拓夫君の声。
「それもそうね」と景子さんの声。景子さんは女子大を出て和也君と同じ会社に入社したところを、和也君に見初められて電撃結婚に応じた美人である。
「じゃ踊りましょ?」と女性の声。
「会話をしないと、相手が誰か分かんなくて面白いかも?」と西川家の次女・友美さんの声。
「それ、いいね!」と、若い北口拓夫君の声。
「そうね。声出すの厳禁」と女性の声。

両家の男たちは手探りでパートナーを捜した。女性であることを確かめるには、服の生地の感触か身体の膨らみなどに頼るしかない。自然にお触りをすることになる。男が男にお触りすると、汚い物でも触ったようにどちらもパッと離れ、次の候補にお触りする。異性の相手を見つけたカップルから順にダンスを始める。何とか四組の異性同士のペアが成立した。暗闇の中のダンスというのは異常である。相手が誰か判らないというのも異常である。男性にとっては、女性の背丈や着ているものの素材やデザイン、そして香水の香りなどが、ある程度相手の見当をつけるヒントにはなる。しかし、女性側から男性が誰かを当てるのは難しい。みな同じように酒臭い息をしているし、ダンスの巧拙で見分けるのも困難である。

西川宏一氏が腕時計の夜光の針でタイミングを測り、チェンジ・パートナーズを指示した。一同はまた手探りで相手を見出し、ダンスを継続する。相手の顔が見えず、相手の正体が判らないという状況が男性たちを大胆にした。男たちは次第にパートナーと密着するようになり、誰もがチークダンスを始めた。女性の背中に廻された男の手は、少しずつお尻の膨らみへと下りて行く。もし女性が騒いでも、この状況下だと「妻だと思った」と云い抜けることが出来る(独身の北口拓夫君には、この言い訳は成立しないが)。最初、男性たちの手の越境にぎくっとし抗議しようとしていた女性たちも、妙に猥らな興奮を感じ、誰一人悲鳴を挙げたりしなかった。「私にお触りしているのは夫だと思った」という弁明をすればいいからだ。もちろん、この言い訳は独身の西川友美さんには使えないものだったが。

正体が判らないという状況は、人々を野方図にするものだ。覆面をすれば銀行強盗が出来る。警官や警部補だって制服で盗撮や痴漢行為をしたりはしない。私服で“群衆の中の一つの顔”になった時、彼らは本性を顕わすのだ。ネットのBBS(掲示板)などで非礼だったり非常識な意見を吐く奴(あるいは“荒らし”をする奴)が出て来るのは、それらが匿名で発言出来るからだ。自分も相手も正体不明であるという匿名性は、人間を裸にし、その欲望や本音を曝け出させる土台となる。西川家と北口家の場合も、それぞれは良識を備え道徳をわきまえ欲望を抑える術(すべ)も心得た紳士淑女ばかりなのだが、暗闇という環境と正体不明の匿名性が人々の理性を歪めたのである。女性の一人が「やめて!」と叫んだり暴れたりすれば、事情は変わったかも知れない。しかし、誰も騒がなかった。みな親戚だったし、「赤信号みんなで渡れば怖くない」の心理が大勢を決定したのだ。つまりは、人間の心の奥底に乱交を求める秘めた欲望があるということかも知れない。

「臨時ニュースです」突如、ラジオが音楽を中断し、アナウンサーの声となった。「首都圏大規模停電の原因が判明しました。都の発表によれば、大規模停電の原因は本日午後9時38分頃四国屋建設所有のクレーン船が、旧江戸川を航行中にアームを伸ばしていたことによって送電架空線を切断したことによる模様です。本線に加え、バックアップ線二系統も切断してしまったため、鉄道路線の運行停止、エレベーターに人が閉じ込められるなどの騒ぎが多数発生しています。この大規模停電は思ったより復旧が困難の模様で、都は復旧作業に少なくともあと数時間は必要との見方を発表しました」
「えーっ!」
「そんなあ!」
「困るー!」
「家に帰れなーい!」
「泊まっていけばいいじゃない!」
女性たちが色んなことを口にした。ラジオはまた音楽に戻り、男たちはパートナーの女性を求めてお触りを再開した。電気が点くまでにあと数時間はかかる。その間に、この滅多にない淫猥な機会を楽しむのだ…そう男たちは決意していた。そして、男たちは女性たちとの接触を少しずつエスカレートして行った。
「んむむ」誰かと誰かがキスした。
「あむむ」誰かと誰かもキスをした。
「んむぐーっ!」誰かの手が誰かのおっぱいをまさぐった。
「がぶぶーっ!」誰かと誰かがディープ・キスをした。
「むむーん!」誰かが太腿で誰かのスカート越しに股の間をぐりぐりした。

ホストの西川宏一氏も、正体が判らない相手の尻や胸を揉み、舌を交えるキスを楽しんでいた。しかし、彼はホストとしての役割を忘れず、五分おきに「チェンジ・パートナーズ!」と指示した。パートナーはチェンジされるものの、踊っているカップルは一組もなく、四組の男女ともディープ・キスをし、男性は相手の女性の身体をまさぐっていた。これ以上睦まじい二家族の姿は考えられなかった。五分おきに相手を代え、抱き合い、舌を交え、身体を愛撫するのだ。しかも暗闇で、誰が誰か全く判らないのである。誰もが乱交と近親相姦に似た状況にぞくぞくする興奮を覚えていた。その通り、女性の半分、男性の半分は肉親なのだから、パートナー・チェンジでどこかで肉親と抱き合って舌を交えることになるのだ。全ては大停電による暗闇がもたらした異常で淫靡な副産物であった。

西川氏は大金持ちだったから、この応接間もかなり贅沢に広く設計されていた。長椅子が二つ、ラヴァーズ・チェア(“恋人の椅子”と呼ばれる二人掛けの椅子)が一つ、ゆったりした肘掛け椅子が二つも配置されていた。立ってキスし愛撫し合っていた男女の二組が、手探りで長椅子に寝てねちょりんこんし始めた。次の一組はラヴァーズ・チェアで抱き合った。出遅れた最後の一組に選択の余地はなく、窮屈な肘掛け椅子の一つにもつれ込んだ。その後、「チェンジ・パートナーズ!」の号令がかかると、女性たちは椅子に留まったままで、男四人だけが隣りの椅子に移動した。何やら椅子取り競争みたいだが、男女同数なので、相手無しであぶれる人がいないのは幸いだった。

こうして、暗闇の中のこの物語は、リアリティを追求する限り「誰かと誰かが何かして、女性の方が『むむーっ!』と呻いた」てな具合の表現しか出来ないことになる。もちろん、作者である私には誰と誰が何をしているのかはよく分かっている。母と息子、父と娘、義理の父と嫁、義理の母と婿、兄妹や姉弟というような衝撃的組み合わせのペッティングが挟まっているのだから、実は思わず興奮しペンを持つ手も震えているような始末だ。この凄まじい相姦模様をどうにかして読者にお伝え出来ないかと考えた。そして名案を得た。このシリーズの御贔屓筋である読者に、特別に暗視スコープをお貸しすればよい!ノクトヴィジョン、ナイトヴィジョン、暗視装置などと様々に呼ばれている道具だ。『羊たちの沈黙』という映画のクライマックスは、FBIの見習い捜査官ジョディ・フォスターが連続女性誘拐殺害犯の家に突入すると、電気を消されて真っ暗闇、ジョディ・フォスターが手探りで行動しなければならないのを、犯人は暗視スコープを着用して悠々と彼女の姿を眺めながら、彼女の背後に迫って行く…というスリリングなシーンだった。あの暗視スコープを無料でお貸ししようというわけだ。ん?読者の拍手が聞こえて来ないな。お?拍手はあったもののパラパラだな。無料貸し出しやめようかなー?お、今度は多めの拍手が来た。しかし、まだ物足りないな。暗視スコープって結構高いもんなんだよなー。おーっ!突如盛大な拍手。分かった、分かりましたよ。無料でお貸ししますよ。

西川宏一氏は金の道だけでなく色の道にも長けていたから、触覚(指先と舌)と嗅覚(香水の匂い)で相手の年齢を推定出来た。幸運なことに西川氏の相手は若い娘だった。この応接間で若い女性と云えば、自分の娘の友美さんか嫁の景子さんしかいない。西川氏は99%それは嫁の景子さんに違いないと思っていた。実は西川氏は嫁に横恋慕していた。今まで女性遍歴はして来たものの、景子さんのようにぴちぴちした身体の、才もある美女に巡り会ったことはなかった。そんな女性を嫁に迎えた息子が羨ましく、妬ましくもあった。西川氏は富の威力で景子さんの尊敬を勝ち得、若夫婦が倦怠期にでも入ったら景子さんをなびかせてモノにしたいと思っていた。それには長い待ち時間が必要の筈だったのだが、それがこんなにも早く実現するとは!停電に感謝しなくてはならなかった。

読者が暗視スコープで御覧のように、西川氏がキスし、おっぱいをまさぐっている相手は嫁の景子さんではなかった。娘の友美さんであった。西川氏の推定は99%間違っていたのだ。しかし、彼も1%の誤差を認めていたのだから、ひょっとして愛撫している女性が娘である可能性を無視していたわけではない。西川氏に近親相姦の意思があったわけではないが、嫁の身体に触れるという野望の前では、1%の確率で近親相姦が生じるハプニングは"colateral damage"(コラテラル・ダメージ、目的達成のために付随する犠牲)でしかなかった。

西川氏は嫁の景子さんだと思い込んでいる娘の友美さんの身体を長椅子に横たえ、のしかかるようにしてキスしながら娘の乳房やお尻を撫で廻していた。友美さんも処女ではなく男経験があったから、ペッティングに抵抗はなかった。友美さんは相手が誰なのか必死で突き止めようとしていた。今、自分にキスしている男性は若者ではなかった。それは感じで分かった。となると、北口輝夫氏か父の宏一氏である。父親だったら大問題だった。しかし、友美さんの性感帯を弄くり廻す相手の男性のテクニックは生半可なものではなく、友美さんは性感を翻弄されていた。友美さんの思考は快感と興奮によって遮断され、相手が誰でもよくなってしまった。

西川夫人は、相手の男性からラヴァーズ・チェアの上で愛撫されていた。西川夫人は相手が誰であるか100%確信があった。北口家の長男・拓夫君に間違いなかった。性急な動作で、46歳の張りが失われつつある肉体を触りまくるというのは、好奇心旺盛な若者としか考えられなかった。そして、この部屋に20代の若者は息子の和也君と北口拓夫君の二人しかおらず、自分は我が息子のことは100%知悉しているので、ちょっと違和感のある若者と云えば拓夫君しかなかった。夫に構って貰えなくなっていた西川夫人にとって、このエロチックなハプニングは天佑といってよかった。おっぱいをまさぐられ、尻を撫でられるなどというのは何年ぶりだろうか。相手が誰であろうとよかった。息子でもよかったし、北口家の旦那でもよかった。正直に云えば強盗に犯されてもよかったし、その強盗に小遣いを与えたいぐらいの気持ちでさえあった。それが20代の若者とのねちょりんこんとなれば、夢みたいにラッキーな出来事であった。

西川夫人の勘は正しかった。確かに西川夫人の豊満な乳房を揉んでいるのは北口拓夫君だった。拓夫君は熟女にお触りし、艶かしいキスをしながら、考えていた。(これはママか?西川夫人だろうか?)実際のところ、拓夫君は(ママだったら面白い)と思っていた。拓夫君は必死で御婦人たちの服とデザインを思い出そうとしていた。西川家の若い娘・友美さんの服は覚えていたが、西川夫人のもママのも覚えていなかった。こんなことになるとは思っていなかったので、熟女などには丸きり無関心だったからだ。西川夫人であれママであれ、年上の女の身体に触れて興奮していた。こんなことは普通起らないことだった。しかも相手は母親か姉の義母である。こんなことは絶対起らない筈のことだった。拓夫君はこの状況を楽しんでいた。

と、拓夫君の相手が拓夫君のズボンの股の膨らみに手を触れ、固く勃起したペニスを掴んだ。(えーっ!?)拓夫君はぶったまげた。攻勢一方のつもりだったのに、逆襲された。ママがこんなことするだろうか?元芸者の西川夫人ならやりかねない。これは西川夫人だ!幸い、相手はペニスをごしごし擦ったりしなかった。そんなことをされたら、パンツの中で射精してしまいかねない。相手はペニスの固さを味わうように、ゆっくり握ったり緩めたりしている。親戚同士でこんなことをし合うなんて!

西川和也君の相手も熟女だった。和也君には正体不明だったのだが、彼の相手は義母・北口夫人だった。和也君にも年齢の見当はつく。しかし、自分の母親の香水も義母の香水も覚えていなかったし、ダンスの時にも匂いなぞに注意を払っていなかった。彼も年増女になど関心がなかったから当然である。しかし、この闇の中の親戚ペッティングになると事情は一変した。妻の母親と抱き合ったり触ったりキスしたりという淫乱な行動が許されていた。出来れば妻を生んだ女性とおまんこしたいところだが、それは高望みとしても、義母とのねちょりんこんだけでも凄い興奮材料だ。しかし、いま接吻し、おっぱいを揉んでいる相手が母親だったら?(それも一興)と和也君は思っていた。母との相姦は過去に何度も空想したことがあった。もと芸者だから貞操堅固とは思えない。口説いて、触りまくり、押し倒せば何とかなるのではないかと思っていた。まさか、息子の金玉を蹴りはしないだろう。(どっちでもいい。やり得だ)というのが和也君の考えだった。

娘の婿さんに抱かれて舌を絡めて、北口夫人はだらだらと涎を垂らしていた。42歳の北口夫人も夫である北口氏のゴルフ・ウィドウで、夫がセックスしたがるのは盆と正月ぐらいのものであった。多趣味な北口夫人は、ほかに楽しみが沢山あったから、性欲に悶え苦しむというほどではなかった。しかし、まだ閉経してはおらず月のモノがあったから、やはり好色気分が盛り上がる時期があった。そして、丁度今がその時期に当たっていた。北口夫人は男性に、それも誰なのか正体不明の男性に、真っ暗闇の中で抱かれてキスされ胸や尻を撫でられている。息子かも知れず、娘婿かもしれず、娘婿の父親かも知れない。言語道断、破廉恥である。しかし、みんながやっているのだ。騒ぎ立てるのは大人気ない。自分も楽しまなくては…。

北口輝夫氏は(この相手は若い!西川家の娘・友美さんではないか?)と想像していた。しかし、読者が暗視スコープで見ておられる通り、それは実の娘・景子さんであった。近親相姦家族でもない限り、娘を抱いたりキスしたりした経験はないから、いくら父親でも暗闇の中で自分の娘か他家の娘かを区別するのは難しい。北口氏は(自分の娘であるわけがない!)という前提で相手の娘にお触りし、キスし、舌を舐め合っていた。50歳、中堅企業の社長である北口氏は、好色な西川氏と違って芸者遊びなどしたことがなく、ましてや自分の娘と同世代の20代の女との浮気など考えられなかった。それがどうだ。今自分が抱いてお触りしているのは20代のぴちぴちした娘に違いなかった。北口氏は目を開かれる思いだった(暗闇の中でだが…)。こんなことも出来るのだ。こんな逸楽も世の中にはあったのだ。北口氏は相手の張り切ってぷりんぷりんしている乳房を揉み、口を吸い、舌を絡ませた。北口氏は二度目の童貞を喪失したように、性に目覚めた。禁断の木の実を食べてしまったのだ。

北口氏に抱かれているのは彼の娘の景子さんだった。景子さんには、相手が誰か分からなかった。唯一、それが自分の夫でないことだけが明白だった。すると、義父の西川宏一氏か、父か、弟かである。景子さんは、相手の男が僅かに震えているのを感じた。豪放磊落な義父がこんなことで震えるとは思えない。二十歳の弟が童貞なら震えるかも知れない。弟とキスしたり、愛撫されるなんて、何てこと!信じられない!しかし、イケメンでプレイボーイ風の弟は、どう見ても童貞には思えない。弟ではないだろう。すると、残るのは実の父である。(パパ!???)今度は景子さんが震える番だった。父娘(おやこ)でこんなことしていいのだろうか?離婚されないだろうか?(待てよ?義父も義母も、みんなでやってるんだから同罪だわ。離婚される謂れはないわ!)景子さんは、まだ相手が100%父親であると確信したわけではないが、近親相姦の第一歩を踏み出したように興奮した。景子さんはパパ・北口氏が好きだった。パパは頼もしく、しかも愛を降り注いでくれる存在だった。その意味では、景子さんは義父・西川氏も好きだった。ロマンスグレーが好みだったのだ。景子さんはリラックスして、相手に身を任せた。

「再び臨時ニュースをお伝えします」またラジオが音楽を中断し、アナウンサーの声に変わった。「首都圏大規模停電の復旧は難航しており、都は復旧作業にまだ数時間は必要と発表しました。臨時ニュースでした」

そのニュースを切っ掛けに、西川氏はネッキングの相手から離れ、「チェンジ・パートナーズ!」と号令をかけた。西川氏は、実は相手の若い女(実は自分の娘)を離したくなかったので、「五分おき」というルールはずるずると無視されていたのだが、後でみんなから文句を云われることを恐れたのだ。

しかし、西川氏はどこまでもツいていた。新たに捉まえたパートナーも若い娘だったのだ。娘か嫁か?西川氏は、先ほどの娘を嫁の景子さんと想定してペッティングしていた。それが正しければ、今度の相手は娘の友美ということになる。西川氏は錯乱状態になって、相手の正体を突き止めようとした。例えば、相手の女性をくすぐったり抓ったりして声を立てさせれば一発で正体が判る。性感帯である耳や首を舐めるのも一法である。しかし、西川氏は考え直した。嫁でも娘でも、どっちでもいいのだ。さっき嫁という想定でお触りしたのだから、今度は娘だと考えればよい。近親相姦一歩手前の気分を味わうのだ。

暗視スコープを着用している読者は先刻御承知だが、西川氏の二回目の相手は娘の友美さんではなく、あんなに熱望していた嫁の景子さんであった。又もや景子さんには相手の見当がつかなかった。今度の相手は落ち着いた挙動をしていた。年齢は高い。となると、先ほどの相手が父なら、今度は義父の西川氏ということになる。ロマンスグレー好みの景子さんにとって、それは歓迎すべきことだった。女には有名人や金満家に抵抗出来ない性(さが)がある。彼らと交わることによって自分もその位置に這い上がって身分(と生活保障)を安定させたいという潜在意識のせいだ。景子さんの目には、金満家の義父も男としての魅力を備えていた。景子さんは喜んで、身を委ね、身体を弄くり廻されるままになっていた。

北口氏が得た今度の相手は年増だった。ふにゃふにゃしたおっぱいが年齢を暴露していた。(女房か?)妻・雅子さんであればつまらない籤(くじ)を引いたことになる。こんないいチャンスに、いつでもおまんこ出来る女とペッティングしても仕方がない。(西川夫人か?)それだと話は別だ。元芸者という前身にも興味があった。香水の匂いでは識別出来ない。年増だから、妻も西川夫人の体型も似通っている。北口氏は、相手を西川夫人と想定することにした。その方が刺激的だからだ。不倫、夫婦交換などという扇情的な言葉が頭をかすめる。自分よりも金持ちの西川氏の奥方を寝取るようにお触りし、キスするのだ。(これが大人の火遊びか!)北口氏は、この夜二度目の霊感を得た。(まだ遅くはない。おれも色の道に分け入るのだ!)北口氏は興奮した。

紛れもなく、北口氏の相手は西川夫人であった。西川夫人も、今度の相手が年上の男であることを察知していた。(夫だろうか?)それはそれで面白いと思った。日頃自分を疎んじている夫が、他の女といちゃいちゃ出来るこんな滅多にないチャンスに古女房を引き当てた失望を「ざまあみろ!」と笑えるからだ。しかし、自分の弛(たる)みかけた乳房を揉んでいる相手の行動は夫ではないようだった。夫なら、こうも真剣に自分の身体を弄くり廻さない筈だ。(北口さんか?)だとすればもっと面白い。不倫関係のとば口にいるスリルが感じられるではないか。それも夫公認の状況で。西川夫人は自分から相手の唇に吸い付き、その口に舌を侵入させた。ゾクゾクした。おまんこから熱いものが滴った。

拓夫君の相手はまたも年増だった。(どっちだ?ママか、西川夫人か?)この部屋に年増は二人だけだから、さっきのか今回の相手が母親ということになる。拓夫君は相手の舌を舐め廻し、胸にお触りしながら興奮していた。どっちにしても、自分はママとねちょりんこんしたことになる。異常である。異常であるが、それは好ましいものであった。家に帰ってママを抱いても拒否されないだろう。二十歳の拓夫君の性欲はピークである。ママとおまんこ出来れば、こんな快適なことはない。いつでも好きな時にやらして貰えるのだ。(そのためにも、自分はこの年増女の身体をじっくり弄くり廻して、その気にさせなくてはならない)拓夫君は決意し、熱っぽい舌技で相手の舌を翻弄し、胸を撫で、尻を撫でた。

北口夫人の相手はまたもや若い男性だった。またもや息子なのか婿さんなのか、見当がつかない。ということは、さっきか今か、どちらかで息子と抱き合ってペッティングしちゃってるのだ。(息子と?)成人した息子と性行為をするなんて、信じられないことだった。いや、夫が自分に見向きもしなくなってから、息子が自分を襲ってくれたら…という妄想を抱かなかったわけではない。しかし、若者がオバンに欲情する筈はなく、それは儚い望みだった。ところが、婿さんか息子か分からないが、この若者の愛撫はどうだろう?自分もまだ捨てたものではないのだ。北口夫人は燃え上がった。股の間に愛液が滲み、パンティを濡らした。もし、家に帰って息子が自分にちょっかいを出して来たら、自分は拒否出来ないだろう。いや、進んで股を開くかも知れない…と北口夫人は思った。

和也君が捉まえたのは、今度は若い娘だった。若い娘だが、妻の景子さんではない。するとそれは妹の友美さんでしかない!妹と!実は和也君は高校生時代に妹に抱きついてお触りし、「やらせろ!」と迫ったことがあった。友美さんは必死で抵抗し、犯したりしたら両親に告げ口すると脅した。二歳年下の妹を可愛がっていた和也君に、妹を力づくで犯すつもりはなかった。友美さんはその後も兄に隙を見せないように警戒していたが、和也君が諦めるにつれ次第に性的テンションは消え去り、元の兄妹に戻った。和也君は友美さんにキスし、張り切った乳房を揉んだ。(妹は自分が誰か気づいていないようだが、これは十年振りのお触りなのだ)と、和也さんは感無量だった。

友美さんには、自分にお触りしているのが北口拓夫君なのか実の兄なのか分からなかった。拓夫君なら問題ない。兄だとすると、過去の経緯から忸怩(じくじ)たる思いを禁じ得ない。十年前あれほど頑なに兄の求めを断っておいて、顔の見えない状況とは云いながら、今すんなりキスさせたり、おっぱいを揉ませたりするのはちゃらんぽらんの誹りを免れない。しかし、十年前は処女だったのだ。既に何人もの男と寝たことのある現在とは、話が違う。今、兄が求めて来て、性感帯を攻められたら拒否は難しいだろう。(兄だって、あの頃はあたしをイかせることなど念頭になく、女の身体に三擦り半で射精することで満足したに違いないのだ。才色兼備の景子さんを手に入れた以上、兄も性技に長けているのだろう)友美さんは、脳内で半ば兄との性行為を受け入れ始めていた。

「チェンジ・パートナーズ!」西川氏が怒鳴った。若い娘二人を相手にした西川氏に残るのは二人の年増のどっちかでしかない。それはあまり望ましいものでなかったから、半ば自棄っぱちであった。年増の一人は自分の女房である。(女房を引き当てたら、その口にペニスを突っ込んで強制フェラチオさせるまでだ)西川氏は、出来れば北口夫人とお手合わせ願いたいと思っていた。年増は年増でも、古女房より初物の方がいい。元芸者の女房と違う、インテリっぽい北口夫人のおっぱいや尻を撫で廻すのは面白いだろう。この停電が終わってから、北口夫人がどんな表情で自分に接するかも興味深かった。その西川氏の願いが叶った。彼の次の相手は北口夫人だった。彼には古女房と初物の区別がついた。西川氏は北口夫人にネッキングし乳房を揉み、尻を撫でた後、手を夫人のスカートの中に滑り込ませた。「うぐっ!」夫人が低く呻き、腰を引いた。愛液まみれのパンティを知られたくなかったからだ。しかし、西川氏は遠慮会釈なく手を進め、北口夫人のおまんこに触れようとした。「!!!」西川氏の手が止まった。びじょびじょのパンティに驚いたからだ。夫人が失禁したのかと思うほど濡れていた。西川氏は、北口夫人がこの大停電を充分に楽しんでいることを知ってにんまりした。西川氏は濡れパンティの裾に指を突っ込み、北口夫人のおまんこを撫で始めた。

北口夫人はぶったまげた。愛液に濡れたパンティに触られた恥ずかしさが消える前に、指でおまんこに触られるとは!暗闇の中とはいえ、人が大勢いる中でそんなことをするとは!(これは夫ではない。夫はこんなことはしない)となれば、今の相手は西川氏しかなかった。不倫?!不倫と、息子との近親相姦とどちらの罪が重いだろう?どっちもよくないだろうが、どっちもスリリングだ。(この歳になれば、何だってオーケーよ)そう北口夫人は思っていた。この段階になると、人々は凄く大胆に、奔放に、放埒になっていた。

北口拓夫君はやっと年増から解放され、ぴちぴちした身体に接近遭遇した。となると、相手は西川家の友美さんか姉の景子さんである。拓夫君にはどっちでもよかった。拓夫君は数歳年上の女にキスし、身体にお触りした。

拓夫君の相手は姉の景子さんであった。景子さんは今度の相手がロマンスグレーでないこと、夫でもないことを察知していた。夫の愛撫のパターンは熟知していたから、断言出来た。すると、相手は自動的に弟ということになる。ガビーン!となった。こんなことって許されるのか?だが、父親とディープ・キスをし、身体をまさぐられた後なら、弟とのネッキングなど問題にならないだろう。異常は異常だが、父娘の関係ほど凄くはない。景子さんは弟の愛撫を受け入れた。

北口氏は再び若い肉体を抱いていた。愛欲の世界に目覚めた北口氏は天にも昇る思いであった。実の娘であろうが、西川家の長女であろうが構わない。どっちでもウシシであった。

和也君の今度の相手は又も年増であった。最初に抱いた熟女が義母でなければ実母、最初が実母なら義母である。どっちにしても20歳は離れたオバンだが、どちらとも一度はお願いしたい相手だった。和也君は礼儀正しく、垂れかけの乳房を揉み、ブラジャー越しに乳首を弄くり廻した。

もちろん、和也君の相手は実の母であった。西川夫人は今度の相手が息子であることを知っていた。淫乱になっていた西川夫人は、もう息子でも他人でもどうでもよかった。夫人は息子の股間に手を伸ばし、固くなっているペニスを掴んだ。

(そっちがそう出るなら…)と、和也君も相手の年増のスカートをめくり、その股間の割れ目に触った。そこはびとびとに濡れていた。

「臨時ニュースを申し上げます」ラジオが音楽を中断し、アナウンサーがニュースを読み上げた。「都の発表によれば、首都圏大規模停電は間もなく復旧する可能性がある模様です。早ければ、数分以内に復旧する見込みであるとのことです。臨時ニュースでした」

「チェンジ・パートナーズ!」西川氏が号令をかけた。これまでの経過から、西川氏に残されているのは妻以外の誰でもないことが明らかだった。電気が点く時に、北口夫人や嫁の景子さん、娘の友美さんなどとキスしているのはバツが悪い。妻なら問題ない。他の組み合わせはどうか知らないが、自分だけは体面が保てるという勝手な考えであった。

本当に数分後に電灯がパッと点いた。まばゆい光に全員が瞬きし、眩しさに目を覆う人までいた。何たる偶然か、その瞬間にペアとなっている男女は、西川氏とその夫人、西川和也君と妻の景子さん、北口氏とその夫人、北口拓夫君と西川友美さん(ともに独身)であった。全員が、顔を上気させていたが、何食わぬ表情で数分前までの乱交風ネッキング・パーティの気分を隠していた。

翌月の晩餐会は北口家で開催された。両家の家族とも、大停電の最中の興奮を懐かしく思い出しつつも、それを口にする人は一人もいなかった。

そのまた翌月の西川家での晩餐会は、場所が場所だけに全員が例の乱痴気騒ぎを思い出して胸をドキドキさせた。一同がディナーを終えて応接間に移る途中、西川氏は男性たち一人一人にコンドームを数個ずつ手渡した。
「?」誰もが首を傾げた。訳が分からないながら、みなそれを受け取ってポケットに入れた。
一同が食後酒を楽しんでいると、突如電気が切れ、真っ暗闇となった。
「おお!」と男性の声。
「またあ?」と女性の声。
「うっそーっ!」と別な女性の声。
「臨時ニュースを申し上げます」西川氏の朗読口調の声が聞こえた。「只今、東京都を中心に大規模な停電が発生しております。復旧の見通しは今のところ立っていません。復旧までの間、男性諸氏はコンドーム着用の上、御婦人方にサービスして下さい。十分おきにチェンジ・パートナーズをお願いします」
「ひえーっ!」
「わあーっ!」
「んまあっ!」
様々な声がしたが、逃げ出す女性は一人もいなかった。全員が服を脱ぐ衣擦れの音がし、やがて接吻やおっぱいを舐める音、御婦人方が快楽を貪る呻き声などが聞こえ始め、部屋の中はむんむんむれむれ湿度100%になって行ったのであった。




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