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02. 初夜権

その頃、春日藩の飛び地であった新田郡六ヶ村(松田村、桐田村、檜田村、竹田村、梅田村、桜田村)の代官は、苗字帯刀を許された元百姓の村田与兵衛(48歳)であった。代官には徒士ランクの武士が任命されるのが普通だが、新田郡六ヶ村は藩の飛び地であっただけでなく、山間の貧弱な土質のせいか水質のせいか判らないが石高も他より下回っていた。要するに領主から軽視され、「武士を派遣することもあるまい。百姓に任せておけ」という土地だったのである。

与兵衛は代官に任命されたことを誇りに思い、藩主の期待に応え、最大限の努力で石高を増やそうとした。しかし、この貧しい土地でこれ以上年貢を増やすことは叶わない。何かいい知恵はないか?与兵衛は六ヶ村の長老たちを訪ねて廻り、昔話を聞くという体を装って秘策を得ようとした。あった!初夜権という制度を復活するのだ。

初夜権とは新たに結婚する予定の女に対し、施政者が破瓜を担当するという権利である。結婚式を終えた新婦は、新郎に抱かれる前に施政者(ここでは代官である与兵衛)と寝て処女喪失しなければならない。「そんなの嘘だろーっ」と思われる読者は、「初夜権」でネット検索を試みられよ。30万件近いヒット数がある筈だ。それには中世ヨーロッパの歴史的風習も含まれている。

世界に共通する初夜権の初まりは処女膜破壊に伴う出血にあるようで、どの国々でも古代から処女が忌み嫌われた。で、僧侶、長老、地主などが破瓜作業を行った。後世、この初夜権を王や領主が担当することになってから変更が加えられた。王や領主と新婦を性交させたくないと思う者は、定められた金子を支払って初夜権を買い戻せるようにしたのだ。施政者たちは処女相手に連日ペニスを血まみれにするよりも金を取る方がいいと思ったのである。何しろ、世界中の男女はくっつかずにはいられない生き物である。性交して子供を生み、育てたいという動物的本能の虜(とりこ)なのだ。そんな風に(神様か何かによって)プログラム設計されているのである。

ある長老からずっと昔の初夜権のことを聞いた与兵衛も、別に処女とやりたいというのではなく、銭か米かによって百姓たちに初夜権を買い戻させ、その収益を年貢に加えて領主に差し出して褒めて貰いたいと思ったのであった。むろん、与兵衛も男であるからして、女房以外の女と“業務上”おまんこ出来るかも…と考えて「ウシシ」と思ったのは確かである。どっちに転んでも損はないのだ。

与兵衛は上司である目付に初夜権についてお伺いを立てて、了承された。この時点で新田郡六ヶ村における初夜権は立法化されたわけである。与兵衛は六ヶ村の名主たちを集めて、初夜権について周知した。名主たちはとんでもない話に面食らったが、上意であると云われれば従わざるを得ない。名主の中には「お代官一人で処理するのは大変だろうから、各村の名主が代行しましょう」というスケベな提案があったが、与兵衛は自分で一本化すると云ってきかなかった。

与兵衛の思惑通り、比較的裕福な百姓の縁に繋がる男たちは、銭で初夜権を買い戻した。彼らは花嫁の身体を与兵衛に触れさせることなく、自分たちだけで初夜を迎えることが出来た。しかし、蓄えもなく裕福な縁者もない若者たちはそうはいかなかった。

初夜権を買い戻せない祝言第一号は、貧農の倅・太吉とお雪だった。太吉18歳、お雪16歳。二人は、余所から赴任した侍の代官ならともかく、百姓出身の与兵衛が本気で初夜権を行使するような不人情なことはすまいと考えた。いずれにせよ金はないのだから、一か八か与兵衛の良心に賭けるしかなかった。祝言の夜、宴の歌やざわめきが遠く聞こえる離れに、お雪が寝間着姿で仲人に連れられてやって来た。障子を開けると、与兵衛が黒紋付の羽織袴で待っていた。
「本日はおめでとうございます」と云って、与兵衛が仲人とお雪双方に向かって一礼した。
「お役目ご苦労様でございます」と仲人が云い、お雪を置いて出て行く。
お雪は可愛くぽちゃぽちゃっとした女で、身体つきもふっくらしていた。この当時、16歳で嫁に行くのは決して早くなく、いわば適齢期と云える年齢である。お雪は身体を強ばらせて与兵衛の出方を待っていた。お雪は与兵衛に身体を触られたり口吸い(接吻)はされるかも知れないが、おまんこまではされないことを願って、指を固く握り締めていた。と、目を伏せていたお雪の耳に衣擦れの音。はっとして目を上げると、与兵衛が羽織袴を脱ぎ、着物も脱ぎ始めていた。

「お代官様っ!」恐怖にわななきながら、お雪が声を振り絞って行った。「ほんとにやるだか?形だけでねえのげ?」
「太吉に初夜権ば買い戻す甲斐性ねえばっかりに、おめえも可哀想になあ」与兵衛が褌も取り去り、半勃起状態の陰茎をぶらぶらさせながらお雪に近寄る。
「可哀想だと思うんだら、やんねでけろ。後生だ、お代官様!」お雪が畳に額を擦りつけて哀願する。
「駄目だ。おめえば目こぼししたら、誰も彼も初夜権ば買い戻す気になんねぐなる。そったらごた出来ね。覚悟すっだ」与兵衛がお雪の身体を抱き、自分の孫のような歳の娘の可愛い顔に頬擦りする。
「ひっ!」お雪が身を竦める。好きでもない男と肌を接するのは身の毛がよだつ思いである。
与兵衛はお雪の寝間着の紐に手を掛けてほどく。ばらんと開いた着物から、真っ白い雪のような肌が覗く。「おおお!」与兵衛はお雪の寝間着を取り去った。お雪は腰巻をつけていなかった。行灯の灯りに白い16歳の裸身が浮かび上がった。(この女を自由に出来る。甘い言葉で口説く必要もなく、帯や着物や簪(かんざし)で釣る必要もない。妊娠させても責任を取る必要はない。味を見てぽいと捨てることが出来る。こんな旨い話があろうか。与兵衛の男根はびんびんにおっ立った。

その夜、与兵衛はお雪の処女を奪った。古女房のおまんことは違うきついおまんこの味に興奮した。泣き叫ぶお雪のことは気にならなかった。初夜権を買い戻せない癖に夫婦になろうなどと思うのが身の程知らずなのだ。与兵衛は(銭は殿様のもん、処女のまんこはおれのもん)と、自分が思いつき実行している企てを自画自賛した。

与兵衛が本気で初夜権を行使するつもりであることが新田郡六ヶ村にバーッと広まり、しばらく誰も祝言を挙げようとしなくなった。中には同棲して実質的夫婦にはなるものの祝言は無しですまそうという者が現われた。与兵衛は名主たちを集め、祝言抜きで同棲している者からも初夜権買い戻しと同額の罰金を徴収すること、また名主たちは不心得者を調査して代官に報告する義務があり、それを怠った時は不心得者と同額の罰金を納めなければならないことを通達した。名主たちは自分の咎でもない罰金を払うことを恐れ、自分たちの村の戸籍調べに精出すことを誓った。

与兵衛の次の餌食は、茂作(16歳)とお小夜(14歳)だった。この二人も貧農の家に生まれ、裕福な縁者はいなかった。お小夜は田舎娘によくある小柄で寸胴の体型だったが、丸顔にぱっちりした目、赤い頬、おちょぼ口の愛らしい顔をしていた。与兵衛はお小夜とおまんこ出来ることに興奮し、二人の祝言を待ち切れなかった。与兵衛は怯える14歳の身体を触りまくり弄くり廻し、破瓜の痛みに涙を流すお小夜を犯した。

こうして初夜の前の処女狩りが続き、与兵衛は色気違いになってしまった。祭りや寄り合いで人が集まると、間もなく嫁入りしそうな娘を見つけては品定めし、彼女らが初夜権を買い戻せない身の上の野郎とくっつき、早く祝言を挙げないものかと胸を踊らせた。

中でも与兵衛が気に入ったのは、檜田村の娘・お八重であった。お八重は16歳で、花の蕾が開きかけて色気がこぼれるような美しい娘である。お八重の家も貧しく、よほどの豪農の嫁にでもならない限り初夜権を買い戻すことは出来ない。与兵衛は舌舐めずりして、お八重の縁談が聞こえて来るのを待った。

お八重の縁談の話が聞こえて来た。何と、それは与兵衛の長男・与太郎(18歳)の口からで、与太郎がお八重を嫁に貰うと云い出したのだ。与兵衛は開いた口が塞がらなかった。自分が狙っていた獲物を息子が攫おうとしている。冗談ではない。
「なんね!」与兵衛は言下に答えた。「お前が人望に恵まれればお父(どう)の後を継いで代官さなれるべ。代官には代官に相応しい、ええ育ちの嫁ごば貰わねばなんね。お八重は諦めるだ!」むろん、これはこじつけである。
「おら、代官さなんねでもええ。お八重と一緒になれればそれでええだ!」お八重に惚れている与太郎が云い張る。与太郎はよく働く若者で、二枚目でもあった。
「おめえ、初夜権ば買い戻す銭あんのが?」と与兵衛。与兵衛の代官就任後、将来相続する予定の一家の田畑で只で働いている与太郎に金がある筈はない。
「なにーっ?お父(どう)は実の息子の嫁も抱く気がっ?」与太郎が愕然とする。「目こぼししてくれっ。な?お父(どう)!」
「なんね。自分の息子の嫁ば依怙贔屓したら、皆の衆に誹(そし)られる。出来ね相談だ」与兵衛が突っぱねる。
「んだら、金貸してけろ?働いて返(けえ)すで」与太郎が父親に縋る。
「貸せね。第一に、金借りで初夜権ば買い戻すのは御法度だ。自分の金で払うのが筋だ」
「そんな!誰でもやってるこんでねがっ!なして、おれだげ駄目なんだ?」
「代官は皆の衆の模範でねばなんね。第二に、おめえに借金返せる当(あ)ではねえべ。どんなごどあっても、おら貸さねえぞ」与兵衛は剣もホロロである。
「お父(どう)つ!あんまりだっ!そんではまるで鬼みでえだ!」絶望した与太郎が詰(なじ)った。

もちろん与太郎には息子に貸せるだけの金はあったし、息子の相手がお八重でなければ貸してやるところであった。しかし、相手が自分の気に入っている娘・お八重であったことが、与兵衛の心を鬼にしてしまったのだ。与兵衛はお八重と公然とおまんこしたかった。その邪(よこしま)な欲望が与兵衛を狂わせたのである。

与太郎は悩んだ。金を貯めるか、密かに他村の名主から金を借りるまで待つか?しかし、そんな悠長なことをしていたら、お八重は17歳になり、18歳になってしまう。その間に他の縁談が舞い込み、お八重はどっかへ嫁がされてしまう恐れもあった。事実、人目を惹く美貌のお八重にはいくつも縁談があった。だが、お八重も与太郎を好いていたし、お八重の父親も代官の跡取り息子である与太郎に娘をやるのに異存はなかった。しかし、お八重の家に初夜権を買い戻すだけの蓄えなぞなかった。
「どうすべ、お八重ちゃん?二人で駆け落ちすっか?」と与太郎。
「与太郎どん、駆け落ちはいづでも出来っだ。先ず、権爺(ごんじい)の知恵さ借りるべ」お八重が云った。権爺はこの村の80歳近い長老である。

「なに?嫁ば親父に抱がせるのが嫌だど?」権爺が与太郎に聞いた。権爺は痩せて腰の曲がった、皺だらけの顔に白い無精髭を生やした老人である。
「んだ。親父がおらの嫁っことおまんこするなんておもしくねえ!」与太郎が息巻く。
「与太郎どん?三年経ってもこのお八重に子が出来ねがったら、どうすっだ?暇出すか?」と権爺。
「えーっ!そったらごど、考えてもみねがったど?」与太郎が面食らう。
「跡取り息子のおめさんに子が出来ねば、舅の与兵衛どんがお八重に暇出すべ。どーだ?」権爺が追及する。
「そんな不吉なごど云わねでけろ、権爺!」お八重が手で耳を塞いで嫌々する。
「与太郎どんはお八重と別れたくたくねえだろ」と権爺。「けんど、孫が欲しい与兵衛どんは無理にでもお八重に暇ば出すど?」
「んー。あの親父だばやりかねねえな」与太郎は父の気性をよく知っている。
「そこでだ」権爺がゆっくり与太郎とお八重の顔を見た。「そういう時は、お八重は与太郎どんと与兵衛どんと二人とおまんこすればええ」
「えーっ?」と与太郎。
「えーっ?」とお八重。

「村田与兵衛か村田与太郎、どっちの種にしろ生まれるのは村田家の跡継ぎだべ」と権爺。
「うーむ」与太郎が考えた。「子ば孕む見込みが倍になるちゅうわげが…」
「んだ」と権爺。「どーだ?お八重と別れるより、親父にもやらせる方がいいど思わねが?」
「んだな。そうなったら、それもいいがもな」与太郎が折れる。
「そう思えるんだったら、たった一回お八重を親父に抱かせるぐれ、なんつーこどねえべ?どーだ?」権爺が詰め寄る。
「んー。ま、そうも云えるべな」与太郎が仕方なく云う。
「だったら、なーんも問題ねえ。やらせりゃええだ」
与太郎とお八重は納得させられた。

世の中には倅の嫁を誘惑したり手篭めにしたりしておまんこする輩もいるだろう。しかし、与兵衛は天下晴れて合法的に嫁を抱けるのだ。息子も嫁も嫁の親も仲人も、誰一人文句は云えない。しかも倅の嫁は、数多い娘たちの中で最も自分が惹かれた娘である。ウシシの極みであった。

祝言の夜、宴たけなわとなった頃、与兵衛が中座した。それを見た仲人がお八重を促し、お八重を伴って消えた。歌や踊りでさんざめく参会者たちはそれに気付かなかったが、新郎である与太郎だけが唇を噛んで新婦を見送っていた。

奥まった部屋で与兵衛はお八重と二人切りになっていた。
「お義父(ど)様、よろしぐお願いいだします」白い肌襦袢姿のお八重が三つ指ついて挨拶をした。
「おお。よしよし。仲良ぐすべな。おめのお父(ど)さんに負げねぐれえ可愛がってやるだ」与兵衛は幸福の絶頂である。与兵衛はお八重を立たせ、わななく手でお八重の肌襦袢の紐をほどいて左右に開いた。16歳の飯茶碗を伏せたような小振りの白い乳房と真っ赤な腰巻が行灯の灯りに浮かび上がった。与兵衛が震える手にもどかしい思いをしながら、お八重の腰巻を外す。剥き出しになった若い娘の下半身が、与兵衛の目に眩しい。むっちりとした太腿、こんもりとした可愛い陰毛の茂み。与兵衛はお八重の腰をぎゅっと抱き締め、その丸い尻に触れた。古女房のでろーんとした尻と異なり、締まった若々しい尻。その肉を撫で、揉む。与兵衛の口からだらーっと涎が垂れた。

与兵衛はお八重を床の上に寝せ、その両脚を開かせた。行灯を引き寄せ、お八重の陰部を照らす。与兵衛はお八重の股間に這いつくばり、お八重のおまんこに顔を近づけた。ちょろちょろっと生えた陰毛の下に、むっちりと膨らんだ大陰唇が深い割れ目を刻んでいる。赤子のおまんこのようにあどけない割れ目。与兵衛は大陰唇を左右に開き、お八重の秘部を曝け出す。行灯の光を反射して、ぬめぬめと照り輝く蛤(はまぐり)の肉。与兵衛は吸い寄せられるように口を近づけ、お八重の16歳のおまんこを舐める。膣口も、尿道口も、陰核も。
「あっはーんっ!」お八重が感じる。
与兵衛はお八重に身体を並べ、指先で陰核刺激をしながら、うっとりとお八重の美しい顔を見つめた。
「うううう」お八重が陰核の快感を堪える。
「もっとよがれ、お八重!」与兵衛がけしかけながら陰核と膣口を刺激する。
「ぐむむ…」お八重は歯を食いしばって耐える。
「何だ、おめえ?与太郎に義理立てしてんのが?つまんねごど考えんでね。気持ちよげりゃ、よがればええだ」

息子に義理立てして操を立てようとしているお八重に、与兵衛は歯ぎしりした。そこまで慕われている息子への嫉妬心も湧いた。息子とその嫁の純情を汚している自分が憎まれ者だということも実感した。お八重が自分になびかないなら、お八重をとことんいたぶるのだ。与兵衛はお八重に口吸いした。お八重の口を舌でこじ開け、48歳の舌で16歳の舌を舐め廻す。
「うっぷぐぐぶぶ」お八重が義父の舌を押し返そうとする。しかし、舌のおしくらまんじゅうは与兵衛の望むところであり、与兵衛を興奮させた。
与兵衛は立ち上がるとお八重の胸の上に股がり、膝立ちした。与兵衛の勃起した陰茎がお八重の口の前に突き出された。
「な、何すっだ、お義父(ど)様?」お八重にはわけがわからない。
「お八重?おめは、めんこいの。おめの口もめんこい」と与兵衛。「そのめんこい口におらの摩羅を入れで舐めでけろ」
「えーっ?」お八重が驚愕する。「そ、そったらごど、出来ね。堪忍してけらっしゃい!」
「なんね。今夜、おめはおらのもんだ。何でもおらの云う通りすっだ。でねど、この縁談は破談だど?」与兵衛が脅す。
「ええーっ?」お八重が進退谷(きわ)まる。お八重は義父への尺八を拒否出来ないのだ。お八重は何も拒めない屈辱感に涙を流しながら義父の陰茎を口に含み、舌でぺろぺろした。
与兵衛は、美しいお八重の口に中古の陰茎を突っ込んで抜き刺しし、恍惚となっていた。この世の天国である。お八重の性戯の巧拙など問題ではない。息子の美しい嫁に自分の男根を舐めさせているという事実に興奮していた。

びんびんに怒張した与兵衛の男根は、速やかに女の濡れた肉の穴に深く埋め込まれることを欲していた。だが今宵の肉穴はどこにでも転がっている肉穴ではない。息子の美しく愛らしい嫁のおまんこである。それに我が一物をぶち込めるのだ。与兵衛は、どうせよがらないお八重の態度に愛想を尽かし、自分だけの快楽を追求することにした。お八重の股ぐらに膝を突き、勃起した陰茎を16歳の膣口に宛てがう。ぐいっと腰を押し、お八重の身体に男根をずびずびっと入れる。
「痛(いで)ーっ!」お八重が叫んだ。処女喪失の瞬間であった。
与兵衛も真からの鬼ではない。お八重を性交恐怖症にしては息子に済まないし、孫の顔を見ることも叶わなくなるやも知れぬ。与兵衛はお八重の痛みが引くまで待った。与兵衛はお八重と性器を交えたまま、お八重の身体を撫で廻した。乳房、腹、腰、尻、太腿。真っ白くすべすべの肌が掌に心地よい。若い肉体の素晴らしさ。与兵衛は少しだけ腰を動かしてみた。拒否反応はない。
「もう痛(いだ)ぐねが?」与兵衛が聞く。
お八重は黙って首を横に振った。

与兵衛は腰をぐりぐり廻しした。与兵衛の恥骨がお八重の陰核を擦る。
「んんんーんっ!」お八重が快感を堪えて呻く。
「ちっ!」与兵衛がお八重の忍耐心に舌打ちした。業を煮やした与兵衛はお八重をイかすのを諦め、腰を激しくへこへこさせお八重のおまんこに男根を突き立てる。
「んむぐぐーっ、ぐふーっ!」お八重は快感を押し殺そうと悶え苦しむ。
与兵衛はお八重の尻を両手で持ち上げて抱える。男根がより深くおまんこに入る。与兵衛はぶちゅりんこんぬるりんこんと男根を突き立てる。 「んぐむわーっ!」もはや、お八重は快感を押さえ切れない。
与兵衛が狂ったように急速に腰をへこへこさせる。「むむーっ!」どぴゅんどっぴゅんぴゅーんっ!与兵衛が祝言を挙げたばかりの嫁の体内で射精した。
「死ぬ〜っ!」お八重もイった。

「お八重?」果ててしばらくしてから与兵衛が云った。「与太郎が畑仕事でくたびれで、おめえを相手にしねえ時はおらんとこさ来(こ)う。いづでも可愛がってやるさげ」
お八重は何も云わず、股に滴る義父の精液を懐紙で始末すると、肌襦袢をまとって黙って出て行った。

お八重から一部始終を聞いた与太郎は、顔を真っ赤にして憤った。特に、親父が自分の嫁の口に陰茎を押し込んで舐めさせた行為に腹を立てた。初夜権による破瓜の行為を逸脱していると思った。しかし、全ては終わってしまった。いまさらことを荒立てても親子の関係を悪化させるだけである。憤懣やるかたない与太郎は、弟の与作(16歳)に父親の所業について語った。未婚の与作に祝言の夜どんなことが起るか、前もって教えたのだ。

与作は木を伐る腕だけが自慢ではなく、兄よりも才覚があったし、若者組のリーダーでもあった。若者組は若衆宿で親睦の集いを持ったり、祭礼など催しの策を練ったり、地域ぐるみで必要な共同作業をしたりする未婚の青年たちの集まりである。与作は梅田村のお光(14歳)と夫婦になる約束をしていたから、兄の話は他人事ではなかった。これから嫁を貰おうという若者組全員にとっても他人事でなかった。彼らは若衆宿で侃々諤々議論し、ある結論に達した。

貧農の倅・松造(17歳)が嫁を貰うことになった。当然ながら、松造は初夜権を買い戻せなかった。与兵衛はいそいそと初夜権行使に出掛けた。与兵衛は、用意された床の上で半勃起状態の男根を弄くりながら花嫁を待つ。肌襦袢姿で現われたのは、お豊という52歳の寡婦であった。
「な、なんだ、おめえはっ!」若い娘を期待していた与兵衛が腰を抜かした。「新婦のおっ母(かあ)か?駄目だ、身代わりは許さねえ。帰(けえ)れ!」
「身代わりなんぞでねえっす。おらが新婦だ」とお豊。
「なにい?今年17歳の松造に、おめえみでな…」与兵衛が絶句する。
「婆(ばばあ)と云いでのげ?んだ。正真正銘おらが松どんの嫁だっす」お豊が云った。
「おめえ、確か若者組の奴らの筆下ろしばしてる女でねえが?」
「んだ。松どんの筆下ろしばしたら、えれえ気に入られでよ。どーしても一緒になりでって云われただ」
与兵衛は呆れた。筆下ろし担当の女は金こそ取らないものの、云ってみれば女郎同然である。そんな女とくっつくとは!

与兵衛はむっつり立ち上がって去りかける。
「お代官様よ。おらとはおまんこしねのげ?」お豊が首を傾げる。
「ああ。皆にはおまんこしたって云っとげ。いいな?」と与兵衛。
「とんでもねえ。皆の衆にはお代官様はもう新婦とおまんこしねえって云うだ」お豊が云い張る。
「おめえは特別だ。ほかの新婦とはやる」与兵衛が云いくるめる。
「そんな不公平があってはなんねべ。誰とでもやるが、誰ともやんねが、どっちかだべ」お豊が理路整然と云い放った。
「くそ!んだら、おめえともやってやる!」議論に負けた与兵衛がげんなりしながら、着物を脱ぐ。
「お代官様とおまんこなんて、まんず光栄だなや」お豊も肌襦袢を脱いで裸になった。

与兵衛は名主たちに「新婦が50歳以上の場合は、初夜権の適用除外とする」と通達した。

これまた貧農の倅・伍作(16歳)が祝言を挙げることになった。与兵衛は飛ぶように伍作の家に出向いた。何と、新婦は新田郡六ヶ村の中でも指折りの醜女(しこめ=ブス)と評判の竹田村のお輝(40歳)であった。
「お輝。おら、今日はちょっと疲れでるもんで、おまんこ出来ねえ。けんど、したごとにしといでけろ。ええな?」と与兵衛。
「お代官様よ。おらがブスだがらおまんこしねんだべ?んだべ?」お輝が追及する。
「そうではねえ。そうではねえが…」与兵衛が言葉に詰まる。
「おら、皆の衆に云うだ。お代官様はブスとはおまんこしねえって」とお輝。「お代官様は選り好みするだぞって」
「そ、そりゃ困る。そんなことを云い触らすな!」与兵衛が慌てる。
「んだば、おらともおまんこするだか?」お輝がブス顔でにんまり笑う。
「やりゃえーんだろ、やりゃ!」与兵衛は自棄になった。

与兵衛は今度も「新婦がブスの場合も初夜権を適用しない」と通達したかったが、これは諦めた。美醜は個人個人で基準が異なるし、あまりに沢山の例外を設けるのも体裁が悪かったからだ。

与兵衛の次男・与作が嫁を貰いたいと父親に云った。
「誰だ、相手は?」と与兵衛。
「竹田村のお輝だ」と与作。
「なにい?お輝ならこないだ伍作とくっついたばかりだべ」与兵衛は覚えていた。
「んだ。けんど、すぐ伍作に離縁されただ。んで、おらがお輝ば引き継ぐことにしただ。
「なんで16のおめえが、あんなブスの40女とくっつぐんだ?馬鹿も休み休み云え!」与兵衛がそっぽを向く。
「この道ばかりは他人には分んねべ。おら、お輝と一緒になる」与作が押し切り、与兵衛はまたもやブスのお輝と義理マンせねばならなくなった。

新田郡六ヶ村の若者たちが、続々選り抜きの醜女や50近い寡婦と祝言を挙げると云い出し、与兵衛は悲鳴を挙げた。ブスや婆(ばばあ)との義理まんなんぞご免である。与兵衛は初夜権をやめたくなったが、それを藩主に申し出ることは出来なかった。一旦立法化されたものを改訂・廃棄するのは容易ではないからだ。で、依然として法は法だが有名無実にするという方法を採用することにし、新田郡六ヶ村の名主たちに通達した。

代官が初夜権行使をやめると、寡婦や醜女と一緒になった若者たちは全員が娶(めと)った女たちを(計画通り)離縁し、前々から相思相愛であった若い娘たちと祝言を挙げた。与兵衛の次男・与作も、梅田村のお光を嫁に迎える準備を始めたのであった。




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