03. 誘惑
宏君のバイト先の上司・大伴 勝君(おおとも まさる、33歳)は大伴財閥の一人息子だ。大伴コンツェルンに君臨する父・龍之介氏の跡継ぎなのだが、現在はある商社で修行中である。宏君はそこのデータベースのメンテナンスと、使い勝手をよくする小さなプログラミング作成のアルバイトに雇われていた。宏君とすれば、大学卒業後にその商社、ひいては大伴系の大会社のネットワーク管理者として雇って貰えないか?という皮算用があった。
大伴 勝君には二人の子供がいた。純君(10歳)と愛ちゃん(9歳)である。勝君は常々この子たちに英才教育を施そうと考えていた。単なる塾通いによる詰め込み教育ではなく、土台のしっかりした基本を身につけることが肝要という方針だった。宏君の妹がアメリカ留学から戻ったと聞いた勝君は、「これだ!」と思った。宏君に数学(+コンピュータ・サイエンス)を、その妹に英語(+アメリカの生活・習慣)を中心に、ものの考え方を子供たちに手ほどきして貰う。それらがしっかり身に付けば、子供たちはいつでもイギリスやアメリカに留学出来る。大伴財閥の後継者の教育として役立つ。それは王子や王女の教育に匹敵するものであった。
宏君は勝君から打診を受けた。二人セットなのだから、一人で返事をするわけにはいかない。宏君は興奮して帰宅し、由美ちゃんに委細を伝えた。由美ちゃんも興奮した。由美ちゃんにとって初めてのアルバイトで、それが家庭教師というのも嬉しかった。財閥の御曹司の子供たちに教えるというのも自尊心をくすぐる要素だった。宏君は卒業後に大伴財閥に雇われることを夢見ているのだが、由美ちゃんにだってそういう道が開けるかも知れない。由美ちゃんが将来のことを考えるのは早過ぎるが、大物と知り合いになっておいて損はなかった。
宏君は勝君に「やらせて頂きます」と返事した。授業は土曜日の午後、二時間と決められた。最初の一時間、宏君が愛ちゃんに数学を教えている間、由美ちゃんが純君に英語を教える。次の一時間は先生が入れ替わる。
最初の日は顔合わせということで、兄妹は大伴家の昼食に招待された。勝君の奥さん・真希さん(31歳)のイタリア料理を家族全員と一緒に頂き、その後一時間ほど自己紹介としてそれぞれの趣味や現在の目標などを語り合った。子供たちの母親・真希さんも宏君と由美ちゃんの人柄に満足した。真希さんは只の主婦ではない。イタリアでも通用する大物のオペラ歌手だった。真希さんは舞台で映える派手な造作の美貌が特徴だったが、それは子供たちにも受け継がれていた。10歳の純君は大きな目、大きなおでこと頬、大きな唇を持った凛々しい少年だったし、9歳の愛ちゃんも長い髪を結い上げておでこを際立たせ、つぶらな瞳、厚めの唇などによって愛くるしさを醸し出していた。純君と愛ちゃんも二人の“先生”が気に入ったようだった。
数週間が瞬く間に過ぎた。子供たちがオープンな性格だったし頭も良かったから、家庭教師は楽だった。由美ちゃんは(こんなことでお金が貰えるのかしら?)と不安になるほどだった。
ある日の午後、宏君と由美ちゃんは十分ほど早く大伴家に着き、子供たちの部屋をノックした。
「由美でーす」と由美ちゃんが純君の部屋をノックした。
「宏です」と愛ちゃんの部屋の前で宏君が云った。
「ちょ、ちょっと待って下さい!」と愛ちゃんの部屋で愛ちゃんの声。なにやらドタバタと物音がした後、ドアを開けたのは純君だった。「先生、いらっしゃい」純君が頭を下げ、由美ちゃんが待っている自分の部屋のドアの方に走って行った。
「先生、どうぞ」と愛ちゃん。
「ごめん、早く来ちゃって。電車の連絡が良過ぎたもので」宏君が椅子に腰を下ろす。
「いいんです。始めましょ」愛ちゃんが教科書などを揃えながら、額の汗を拭った。
(汗?こんな空調の効いた部屋で?そう云えば、出てった純君の額にも汗が浮いていた。二人で何をしてたんだろう?)宏君がさり気なく部屋を見廻すと、隅っこに放り出された白い布切れがあった。パンティだ!この子はいまパンティをはいていない。汗。よく見ると、愛ちゃんのワンピースも慌てて着たように左右対称でなく、襟ぐりから下着が見えたりしている。間違いない。純君と愛ちゃんはセックスしていたのだ!ただのペッティングでは汗はかかない。ここにも兄と妹でやっている二人がいた。しかも、その年齢は10歳と9歳なのだ。宏君の胸はどきどきしてしまった。
宏君は数学の基本について話し始めたが、心ここにあらずだった。
「先生、今日なんか変!」と愛ちゃんが云った。
「ごめん。じゃあ、教科書の問題を解いて貰おうか」と宏君。
宏君は問題に取り組む愛ちゃんを見つめた。たった9歳でセックスしている。もうエクスタシーを感じるのだろうか?宏君の脳裏に、妹のホームステイ先の父娘の近親相姦の話が蘇って来た。父親とやっている娘・ジャネットは10歳だった。世界中のこの年齢の女の子たちがセックスしてる。宏君は目の前の女の子がパンティなしのすっぽんぽんであることを思い出した。愛ちゃんのスカートが捲れたら、毛の無い割れ目が見えるのだろう。宏君はこの娘を自由にしている純君に嫉妬した。大きく溜め息をついた。
愛ちゃんがふっと顔を上げた。宏君は慌てて目を逸らしたが、愛ちゃんは先生が自分を見つめていたことを悟った。その目がいつもの優しい先生の目でなく、羊を目の前にした狼のような爛々とした目であったことにも気づいた。
「先生!」と愛ちゃん。
「なに?愛ちゃん」と宏君。
「先生、気づいたのね?あたしたちが何してたか」
「な、なんのこと?何してたって?」
「とぼけないで、先生。先生は見破った。お兄ちゃんとあたしが…」
「愛ちゃん!」宏君が遮る。「ぼくは何も知らない。さ、お勉強を続けよう!」
「先生」愛ちゃんがテーブルを迂回し、宏君の前に立った。そして、椅子に掛けている宏君の膝に乗り、両手を宏君の首に廻した。「先生、あたしをどう思う?」
「愛ちゃん、こんなことしちゃいけない。席に戻って。ぼく、キミのお父さんから馘になっちゃう。困るよ」目の前に迫った9歳の可愛い女の子のきらきら光る目と赤い唇を避けながら、宏君が云う。
「答えなさい、先生」愛ちゃんは、あくまでも宏君の顔の前から離れず、ひたと宏君の目を見つめる。
「愛ちゃんは可愛い。大好き。さ、お勉強しよう!」
愛ちゃんは動かない。愛ちゃんは片手を宏君の股間に伸ばした。勃起したペニスに触れる。
「ふむ。あたしが好きってことは嘘じゃないみたい」と愛ちゃん。
「愛ちゃん、ぼくキミに乱暴したくない。でも、やめないと突き飛ばすよ」と宏君。
「あら、大好きな女の子にそんなことしていいのかしら?」
「したくないよ。でも…」
「先生、部屋の隅にあるパンティに気づいたんでしょ。あたしがすっぽんぽんだってこと、知ってるのよね」愛ちゃんは宏君の勃起したペニスの上に自分のおまんこを当て、ぐりぐりと腰を動かした。
「愛ちゃん!」
「先生、あたしとやりたい?」愛ちゃんは腰を廻す。
「ああああ…」欲望と自制心との間の葛藤に狂しむ宏君が呻く。
「あたしも先生大好き。やろう、先生」あどけない天使のような9歳の女の子が誘惑する。
「愛ちゃん!」天使の誘惑に宏君の脳髄はどろどろに溶けかける。
数十分前の純君の部屋。
「早く来ちゃってごめんね?純君」由美ちゃんが椅子に掛けながら云う。
「ノー・プロブレム!」と純君。
「まあ!うまいわ!」と由美ちゃん。「でもね、純君。先生や目上の人には何か、最後につけるよね。何だっけ?」
「サー」と純君。
「その通り。でもそれは相手が男性の場合だけ」と由美ちゃん。「女性には最後に“メアム”って付けるの。"madam"の略で"ma'am"。スペルに引き摺られて“マム”って云っちゃ駄目よ。それじゃ、“お母ちゃん”って意味になっちゃうから」
「ノー・プロブレム、メアム」と純君。
「ヴェリィ・グッド!」と由美ちゃん。
純君が額の汗を拭った。
「あら、凄い汗。何してたの?愛ちゃんと」と由美ちゃん。
「何してたと思います?先生」と純君。
「腕相撲かな?」
「ノー、メアム」
「あと、室内で汗かくって何かしら?降参」
「相手が妹じゃなかったら、どう思います?」と純君。
「純君のガールフレンドとか?」
「イエス、メアム」
「ガールフレンドと汗かく…」由美ちゃんはこの話題に深入りしない方がいいことに気づいた。「分らない。どうでもいいわ。さ、お勉強しましょう」
「先生、そういう中途半端はやめて下さい。最後まで答えて」
「あたし、無駄話しに来てるんじゃないの。あたしはあなたの家庭教師。さ、お勉強!」
「先生は答えを知ってる。知ってるけど云わないんだ」と純君。
「…」
「云わなきゃ、ぼくが云う」
「聞きたくありません。やめて!」と由美ちゃん。
「ぼく、云うもん」純君が由美ちゃんに近づき、耳に口を近づける。
「やめなさい!お母様、呼びますよ!」
「今日はママもパパもお出かけさ。誰もいない」
「うそ!」
「ぼくと愛はねえ…」と純君。
「聞きたくない!」由美ちゃんが両手で耳を覆う。
純君が由美ちゃんの耳に口を近づける。その口はふっと下降して由美ちゃんの唇に重なった。20歳の由美ちゃんと10歳の男の子とのキス。
「純君!」由美ちゃんが顔を真っ赤にする。
「ぼく、先生大好き!先生、ぼくとやろう!」
「子供のくせに何を云ってるの!冗談はやめなさい!」由美ちゃんの脳裏にアメリカの少年・ジャックとのセックスが蘇る。
「これ、冗談じゃないよ」純君は由美ちゃんの手を取って、ショートパンチの中の勃起したペニスに触れさせる。
「純君!」由美ちゃんの手は感電したように、純君のペニスを握りながら震える。(これ、欲しい!)
純君は由美ちゃんに抱きつき、おっぱいに触る。
「きゃああーっ!」由美ちゃんが叫ぶ。
宏君が愛ちゃんの誘惑に負けそうになっていた時、妹の叫び声が聞こえた。宏君は愛ちゃんを抱き上げて床に下ろし、純君の部屋に走った。
純君が由美ちゃんのスカートを捲り上げ、ピンクのパンティを露出させていた。
「純君!」宏君が二人を引き裂く。
「先生!愛とやらなかったの?」と純君。
「何を云ってるんだ、キミ!それより、先生にこんな真似していいと思ってるのか!」
「済みません」と純君。
「こんなことが起るのなら、ぼくらは君たちの家庭教師を辞退しなきゃならん」
「先生、やめないで!」いつの間にかやって来た愛ちゃんが云った。「あたしたち、先生が好きなの。宏先生も由美子先生も、どっちも」
「好きだったら、抱きついたりスカート捲ったりしていいと思ってるの?冗談じゃない!」と宏君。
「今日はあたし愛ちゃんだけ教える。兄ちゃん、純君見てあげて」と由美ちゃん。
「よし」と宏君。
「いつもそうなるの?ぼく、英語教えて貰えないの?」
「あなたがいけないのよ、あんなことするから」と由美ちゃん。
「ぼく、やだ」
「お行儀良くするんなら考えるけど、そうでなけりゃお父様と相談するしかないわ」と由美ちゃん。
「そんなあ!」
とにかく、その日は同性同士の授業だけ行ない、宏君と由美ちゃんはアパートに戻った。
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