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13. 因果

「どうだったい?お前?」と母さんが聞いた。
「大きい子供がいるんだ。12歳と10歳。どちらも父さんの子だって」と宏君。
「まあっ!やっぱり!よくもまあ、そんな昔からあたしを騙して…」母さんは泣いた。宏君は父の相手が花枝さんであることは黙っていた。母さんがそれを知ったら逆上するのは目に見えていたからだ。
「今度は由美を連れて行ってみる。あまり期待しないでほしいけど」と宏君。
「そうかい。やれることは何でもやっとくれ。そんな女に家の財産取られたくない。手切れ金ぐらいで済むように、ね?」

「兄ちゃん、これって父さんと母さんの問題じゃない?あたしたち、関係ないと思う」宏君の説明を聞いた由美ちゃんが云う。
「そうなんだけど、母さん、父さんにきついこと云えないみたいなんだ。泣いたり喚いたりしたら、家庭不和んなっちゃうしな。とにかくそれは最後の最後にして、あちらを説得してくれってんだよ」と宏君。
「行ってもいいけど、向こうだってあたしらみたいな子供の云うことなんか相手にしないでしょ」
「そうかも知れない。でも、お前、腹違いの弟や妹に会いたくない?」
「会いたい!あたし、兄ちゃんに威張られてるばかりだったから、弟か妹が欲しかったの」と由美ちゃん。
「おれがいつ威張った?」と宏君。
「いつだって威張ってる。やらせろとかフェラチオしろとか」
「嘘つけ!」
「あははは」

二人は花枝さんを訪ねた。
「まあ、宏さんいらっしゃい!あの、こちらは?」と花枝さん。
「妹です。こいつが生まれた頃、花枝さんもういなかったんだっけ?」と宏君。
「はい、もうその頃は…」
「この家に来てたと…」と宏君。
「ええ」
「あたし、由美子っていいます。どうぞよろしく」
「花枝です。さ、どうぞお上がりになって」

花枝さんは由美ちゃんに二人の子供を引き合わせた。「誠と理絵です」
「信じられない!」と由美ちゃん。「あたしの弟と妹なの?なんか、お湯をかけたら三分できょうだいが出来ちゃったみたい!」
「誠、理絵。こちら由美子さんと云って、宏さんの妹さん。だから、あなたたちのお姉さんなの」花枝さんが涙混じりで説明する。
「誠ちゃん、理絵ちゃん、よろしくね?」と由美ちゃん。
「よろしくお願いしまーす!」子供たちが声を揃える。

花枝さんは子供たちを下がらせた。
「由美子さん、よく来て下さいました」と花枝さん。「でも、あたしに先生と別れろってお話で来られたんじゃないでしょうね?」
「あたし、弟と妹が出来たことは嬉しいです」と由美ちゃん。「でも、母さんの気持も分るんです。父さんが二つの家庭を持っているなんて、母さんには耐えられないと思う。父さんの愛を公然と花枝さんと分け合うなんて出来ないでしょう。母さんにしてみれば父さんの裏切りです。そして、花枝さんを幸福な家庭を乱した張本人として生涯怨むでしょう」
「そんな…」と花枝さん。
「元々は父が悪いんです。でも、花枝さんだって父が妻帯者だっていうことは知っていてこうなったわけです。花枝さんにも咎(とが)はあると思います」

宏君は妹の花枝さんへの舌鋒の鋭さに驚いていた。妹の論理は正しかった。父も花枝さんも、一時の情熱ゆえ、人生の歯車を狂わせてしまったのだ。花枝さんが哀れだった。
「でも、もう昔のことを云っても始まらないよ」と宏君。「とにかく、父さんには花枝さんの生活と生まれた子供の将来に対する責任があるんだ」
「その通りだわ」と由美ちゃん。「生活費と学費などは扶助しなければならないでしょう。でも、母さんの立場からすれば、それは父さんと花枝さんが関係を絶つということが前提だと思う」
「そんなこと出来ません!お金も必要ですが、子供たちには父親も必要です」と花枝さん。「それに、先生はあたしとは別れられても理絵とは別れられませんわ」と花枝さん。
「どういうことです?」と宏君。
「先生は理絵ともやってるんです」
「ええーっ!」宏君と由美ちゃんが同時に驚く。

宏君には理解出来た。父さんは由美ちゃんで叶えられなかった夢を理絵ちゃんで実現したのだ。由美ちゃんも同じことを考えた。二人は顔を見合わせた。
「花枝さんはそれを認めたんですか?」と由美ちゃん。
「認めなきゃならない事情があったんです」花枝さんはうつむいて泣きじゃくった。
「二号さんという弱い立場だから?」と由美ちゃん。
「いえ。そんなんじゃありません」と花枝さん。
「じゃ、何かしら?」と由美ちゃん。
「もう何もかもお話します。あたしが誠とやっているところを見られてしまったんです」
「えーっ?」と由美ちゃん。
「で、そんならおれもって、先生が理絵と。私には止める資格はありませんでした」と花枝さん。

「いつ頃のことです?」と宏君。
「一年半ぐらい前ですわ。先生が急にここへ来てくれる回数が少なくなりました。あたし、寂しいし、悶えて。つい誠を誘惑してしまったんです」と花枝さん。
宏君と由美ちゃんには“一年半”というのがどういう意味か分っていた。父さん、母さん、兄、妹が睦まじくやり出した時期に符合する。
「ねえ、一年半前に何があったんです?教えて下さい。ご存知なんでしょ?」と花枝さん。
「…」宏君には答えられない。

「花枝さん」と由美ちゃん。「よくそこまで話して下さいました。兄は躊躇しているようですが、あたしはちゃんとお答えすべきだと思います」
「由美!」と宏君。
「実は父さんはあたしともやり始めたのです。ちょうど、それが一年半前でした」と由美ちゃん。
「まあっ!」と花枝さん。
「あたし、それ以後この兄ともやっていますし、兄は母さんともやっています」
「んまあっ!」
「一家でセックスを楽しむようになったのです。それで父さんはこちらから足が遠のいたのだと思います」
「そうでしたか」と花枝さん。

「誠君は理絵ちゃんともやってるんですか?」と由美ちゃん。
「一度セックスを経験したら、もう見境ありません。仲良くやってます」と花枝さん。
宏君は由美ちゃんのホスト・ファミリーの兄妹相姦の話を思い出し、興奮した。
「あたしもこの兄とやるようになって、きょうだいで交わる悦びを知りました。そこでお願いですが、誠君と理絵ちゃんともその悦びを共有できないでしょうか?」
「と、云いますと?」花枝さんが怪訝な顔をする。
「兄と理絵ちゃん、あたしと誠君でやらせて頂きたいというお願いです」
「由美、お前!」と宏君。
「兄ちゃんだって理絵ちゃんとやりたいでしょ?」
「そ、そりゃあ、出来れば」
「だったら引っ込んでなさい」と由美ちゃん。
「まあ、由美子さんは随分はっきりしてますねえ」と花枝さん。
「ごめんなさい。いつもこうじゃないんですけど」と由美ちゃん。
「花枝さん」と宏君。「こいつ、アメリカで少年愛に目覚めちゃって夢中なんです」
「兄ちゃんは少女愛」と由美ちゃん。
「しかしお前、何もこんな時期に花枝さんにそんなことお願いしなくたって」と宏君。

「宏さん、由美子さん。あたしたち一家は一人でも味方が欲しい時です。お二人と仲良くなれればこんな力強いことはありません」と花枝さん。
「じゃあ?」と由美ちゃん。
「幸い、理絵は宏さんが好きになったみたいで、夕べ、あたしに宏さんのことを根掘り葉掘り聞きたがりました。だから大丈夫です」と花枝さん。「誠はいまやりたい盛りですが、あたしのような年配者と妹の子供のような身体しか知りません。年頃の由美子さんが相手をしてくれれば大喜びでしょう」
宏君と由美ちゃんは顔を見合わせた。(ラッキーっ!)

「ちょっとお待ちになって」そう云って、花枝さんが子供部屋の方へ去る。
「兄ちゃん!あたし、弟とやれるの。わくわく」と由美ちゃん。
「妊娠させられんなよ」と宏君。
「だいじょぶ。兄ちゃん、もう一人の妹で、それもロリータとやれる。嬉しいでしょ」
「お前のお蔭だ。ありがと」
「どういたしまして。正直に話すのが一番いいのよ」

花枝さんが戻って来た。
「じゃ、ご案内します」花枝さんは二人が立ち上がるのを待ち、先に立つ。「ここが誠の部屋です。取り散らかしてますけど。で、こちらが理絵の部屋。宏さん、理絵はまだ初潮ありませんから」
「じゃ、そのままで?」と宏君。
「大丈夫です」花枝さんが去る。

兄妹は軽くハイファイブし、それぞれのドアをノックした。
「どうぞ」と誠君の声。由美ちゃんが男の子の部屋へ入る。
「お兄ちゃん、どうぞ」と理絵ちゃんの声。宏君も女の子の部屋へ入った。




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