16. 和解
母さんは諦めた。息子の云う通り、あちらの一家に大鉈を振るおうとすれば、花枝さんは『児童虐待防止法』(二年以上の懲役)を使って母さんを刑務所に入れることが出来る。現状維持を認めるしかなかった。唯一の慰めは、花枝さんが真面目な人柄だったことだ。看護婦当時母さんにも従順だったし、欲張りな性格でないことは分っていた。彼女が「今のまま」と云った以上、多くを望んでいないと信じてよかった。
宏君と由美ちゃんは足繁く花枝さんの家を訪れ、弟や妹とやりまくった。ついには母さんまで誠君に会いたいとやって来るようになり、花枝さんと母さんは茶飲み友達のようになった。いずれも往診日ではなかったから、父さんとぶつかることはなかった。
しかし、母さんはこのままには出来なかった。夫の長期間の裏切りを責め、嫌味の一言も云わずには済まされない。
往診日のある日、母さん、宏君、由美ちゃんは揃って花枝さんの家を訪れた。宏君は真っ直ぐ妹の理絵ちゃんの部屋へ、由美ちゃんは誠君の部屋へ。
「奥様、誠を取られちゃいましたね」と花枝さん。
「あの子たち、もうすぐ東京へ戻らなきゃならない時期なの。あたしはいつでも誠君に会えるから、いいのよ」
「奥様、あたしでよければ舐めて差し上げます」
「え?」母さんは何のことか分らない。
「お脱ぎになって」花枝さんは押し入れから布団を出し、延べる。
「花枝さん、あなた、何もそこまでしてくれなくても」と母さん。
「あたし、嬉しいんです。奥様のためなら何でもします」
「でも、もうあの人来る頃じゃない?」
「先生がいらっしゃるまでに30分はありますわ。でも、来てもいいじゃありませんか。あたしたちが仲良くしていれば喜びますわ」
「そうかしら?」
母さんは着物を脱いだ。布団に横たわる。
「何か、がさがさするわね」母さんが不審がる。
「済みません。事情がありまして」と花枝さん。
「あなたは脱がないの?」
「あたしはご奉仕するだけですから」
「それじゃ悪いわ」
「いいんです」
花枝さんは母さんのおっぱいを撫で、乳首を舐める。
「花枝さん、あなた上手ね。レズの気もあるの?」と母さん。
「大昔、看護学校の寄宿舎で手ほどきを受けたんです」と花枝さん。
「あら。あたしもよ。懐かしいわねえ、看護学校」
花枝さんは母さんの股ぐらに身体を移す。母さんのおまんこを開き、クリトリスを舐める。
「ああっ!花枝さん、いいわっ!」
女同士、どこをどうされたいか熟知している。花枝さんは自分が刺激されたいように、母さんを刺激する。二本の指を母さんのおまんこに突っ込み、Gスポットを中心に膣壁を撫で廻す。
「あうあうっ!おおおっ!」母さんがよがる。
「おい、来たぞ」父さんの声がして、ずかずかと入って来る足音。「な、なんだ、お前っ!」父さんは妾の家で真っ裸になってよがっている妻の姿に驚く。しかも、奉仕しているのは自分の妾だ。
「早かったのね、あなた」と母さん。寝転がったままである。
「先生、いらっしゃいまし」花枝さんが手をついて挨拶する。
「い、いつから?」父さんはおたおたしている。
「いつから気がついてたかって?そんなことどうだっていいじゃない」
「一体、どういう気なんだ?そんなことして」父さんが精一杯体面を取り繕う。
「あら、正妻と二号さんが仲良くしちゃいけないんですか?」母さんが澄ました顔で云う。
「そんなことは云ってない」
「あなた。あなたは20年近くもの間、二重生活を送ってあたしを裏切ってたのよ。ごじゃごじゃ云う前に謝ったらどうなの?」と母さん。
「す、済まん」と父さんががっくり膝を落とす。有罪に決まっているから低姿勢だ。
「本気で謝ってるの?」
「本気だ。申し訳ない。しかし…」と父さん。
「花枝さん一家と別れることは出来ないって云うんでしょ?」
「うむ…」
「20年近くも囲っておいて、二人も子供を生ませたら、そりゃほっとけませんよ。重大な責任があるわ」
「頼む。一生懸命働くから。勘弁してくれ」
「許さないと云ったら、あたしと別れるんですか?」と母さん。
「冗談じゃない。そんな気はない。お前を愛してる」
「花枝さんも愛してる、理絵ちゃんも愛してる。でしょ?」と母さん。
「え?」
「みんな知ってます。由美子だけじゃ足りなくて、理絵ちゃんとまでやってること」
「…」
「でもね、理絵ちゃんはもうあなただけのものじゃないの。正妻の長男ともやってるわ」
しばらく父さんは考えなくてはならなかった。(正妻の長男?)「ひ、宏?」と父さん。
「ええ。由美子も誠君とやってます。怒っちゃ駄目よ。宏と由美子のお蔭で波風立たないで、あなたものほほんとしていられるんだから」
「先生、そうなんです」と花枝さん。「宏さんと由美子さんのお力で、奥様にお許し頂いたんです。あたし、宏さんと由美子さんには頭が上がりません」
「そうなのか」と父さん。
「先生。お許し頂きたいことがあります」と花枝さん。
「なんだ?」
「あたし、宏さんとやらせて頂きました」
「なにい?」
「宏さんに味方になって頂くためでした。許して下さい」花枝さんが頭を下げる。
「あの野郎!」と父さん。
「あなた」と母さん。「諦めなさい。もうどちらの家も全員自由にやるのよ。独占はなし」
「うむむ」
「先生。奥様はまだイってないんです。お願いします、イかせて上げて下さいまし」と花枝さん。
「お前の前で?」と父さん。
「奥様がおっしゃったように、もう両家に垣根はないんです」と花枝さん。「あたしもお手伝いしますから」
「あなた。どうせ、バイアグラ服んで来たんでしょ?」と母さん。「あたしとやって、花枝さんとやって、理絵ちゃんともやれるわよ」
仕方なくお父さんは裸になり妻に前戯を施す。花枝さんも脱いだ。父さんが妻とおまんこを始めると、花枝さんは横から顔を出して母さんのクリトリスを舐める。
「あああん!」母さんが呻く。
父さんは片手を妻のおっぱいに手を伸ばし、もう一方の手で妾のおっぱいを揉む。(これはこれで素晴らしい!)父さんは一夫多妻の国に生まれたような幸福感を味わう。
「花枝さん、あなた、あたしの顔の上に来て!」と母さん。
「いえ、駄目です。このままでいいんです」と花枝さん。
「あたしもあなたを舐めたいの。いらっしゃい!」
「いえ。奥様、それは…」
「そんな他人行儀なら、あたし考え変えるわよ。裁判でも何でもするわよ」母さんが脅す。
「先生!」花枝さんが父さんに助けを求める。
父さんは(仕方がない。妻の云う通りにしろ)というゼスチャーをする。
「奥様、あたしが嫌がったことを忘れないで下さいまし」と花枝さん。
「遠慮はなし。さあ!」と母さん。
「何があってもあたしを責めないで下さいね」と花枝さん。
「オッケー」と母さん。
花枝さんが母さんの顔に跨がり、また母さんのクリトリスを舐める。父さんは弛みなくピストン運動を続けている。
「ぶぐぐ!」母さんが花枝さんのクリトリスを舐めながらよがる。
「ぼぐぎゃぼぐ」花枝さんも母さんのクリトリスを舐めながらよがる。
「あごごーっ!」母さんが叫ぶ。
「あぎゃーっ!」花枝さんもよがる。ぴゅーぴゅーっ!花枝さんが潮を吹く。
「きゃあー!」母さんは顔面に盛大な潮を浴びた。「ぶぶぶっ!ぺぺっ!何よー、おしっこなんかしないでよっ!」
「奥様!ですから嫌だと…」
「だからって…」と母さん。
「おい、それは“潮吹き”と云うんだ。おしっこじゃない。愛液みたいなもんだ」と父さん。
「愛液がこんなにどばどば出るんですかあ?」と母さん。
「そういう体質なんだ。許してやれ」
「愛液なら、いいわ。続けましょ」
こうして三人は折り重なるようにしてセックスを続けたが、母さんは花枝さんが興奮する度にぴゅぴゅーっ!と潮を浴び、花枝さんがイきそうになる度にぴゅぴゅーっ!で、上半身びしゃびしゃになってしまった。
裸の誠君と理絵ちゃんがタオルを持って現われた。やはり裸の宏君と由美ちゃんも出て来た。
「これで、一件落着ってわけね?」と由美ちゃん。
「お蔭さまで」と花枝さんが母さん、宏君と由美ちゃんにお辞儀する。
「あなた」顔をタオルで拭いながら母さんが云う。「たまに、こちらに泊まって上げなさい」
「え?」父さんが驚く。
「奥様っ!」花枝さんは信じられない。
「でも、本家より多くちゃ駄目よ。三日に一回って感じならいいわ」と母さん。
「お前!花枝がどんなに喜ぶことか。ありがとう」と父さん。
「奥様!一週に一回、いえ月に一度でもいいんです。ありがとうございます!」花枝さんは畳に額をつけるようにして感謝する。
「あたしにだって、花枝さんの気持ちが分るから。でも、一つだけ条件があるの」
「?」と父さん。
「何でしょうか?」と花枝さん。
「主人がこちらに来る二回に一回は、交換に誠君をあたしの家に寄越す。どう?」と母さん。
「誠!いいかしら?」と花枝さん。
誠君がこっくりする。
「誠君!おばちゃんとお風呂に入ったり、一緒のお布団で寝たりしようね?」と母さん。
「うんっ!」と誠君。
母さんが父さんの耳に顔を寄せて、囁く。
「あなた、三号はいないでしょうね?」
なお、潮吹きについては諸説あって、成分はおしっことも愛液とも異なるという説が一つ。しかし、液体が高く遠く飛ぶためには尿道口のような狭い出口が必須であり、膣からではゆる過ぎて液体は垂れるだけで飛ぶことはない、女性性器にそのような噴出口はやはり尿道口しかなく、出て来るのはただのおしっこであるとする説が一つ。「男性の尿道口からはおしっこと精液の両方が出るではないか?」と云われるかもしれないが、解剖学的に女性の身体に“潮”なるものを溜めておく器官は見当たらないということである。
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