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24. 忍の血脈

くの一忍者・霞ちゃんから勝君に連絡があった。新事実を報告したいと云う。場所は例の連れ込みホテル。勝君は由加さんと茂君の同席を望んだ。霞ちゃんは了解した。

「ご依頼の調査は終了いたしましたが、気になることがあったものですから、独自に調査を継続しておりました。そして、是非お耳に入れたいことを発見したのです」と霞ちゃんが報告する。

もう霞ちゃんは35歳で“ちゃん”づけが似合わないような女盛りだった。しかし、ボーイッシュな顔にほどよい色気が混じり、奇妙にセクシーな雰囲気を漂わせている。勝君が前に霞ちゃんとやった時は、彼女の肉体を充分味わうことなしに一戦を終え、後悔していた。

茂君は由加さんに心を奪われていた。いかにも主婦らしい落ち着いた態度だが、美人だしふくよかな肢体が女っぽさを醸し出している。勝君から聞いたような大胆な行動力を秘めているようには見えないが、是非お相手願いたい女性だった。

「服部真蔵氏は服部半蔵の遠い子孫なのです」と霞ちゃん。「御存知のように、服部半蔵は伊賀忍者として育ち、長じて徳川家を助ける忍者集団のトップとなりました。その子孫は後に特高警察や陸軍中野学校などに関係し、服部真蔵氏が警視総監に納まることで一つの頂点を迎えました」 そう云われてみれば、服部という姓と元・警視総監というポストの関連に気づくべきだった。(迂闊だった)と勝君は思った。

「一方、大伴家も実は忍者の流れを汲む家柄なのです」と霞ちゃん。
「ええっ?」勝君が驚く。
「大伴家は甲賀忍者に属します。甲賀と伊賀は同じ職業として雇い主を奪ったり奪われたりするライバルでしたが、常に敵対していたわけではなく、時には協力することもあったようです」
映画やTV番組、劇画などだけの世界だと思っていたものが、にわかに勝君の前で現実となって来る。数百年前の忍者たちの確執が、自分たちの家庭生活に影響していようとは!

「まだ、服部家の“儀式”の起源とか、なぜ血族だけでセックスを?という謎は解けません」と霞ちゃん。「しかし、先ほど述べましたように、服部家は徳川家からも大事にされ、“半蔵門”という今に残る名誉の証を与えられたほどですから、誇りも高く、他家をものともせず見下すところもあろうかと思われます。それが血族のみで交わるという“儀式”に繋がる要素かも知れません」
「なるほど、閉鎖的な集団というわけだ」と茂君。「開放的な大伴家と対照的だな」
「そうなの?」と霞ちゃん。
「そうなの」茂君が勝君や大伴龍之介氏の武勇伝をかいつまんで話す。
「おい、余計なことを喋るな」勝君が慌てる。
「大丈夫。秘密を漏らすような人は、ここにはいませんって。ね?」と茂君。
「安心して、勝さん。私たちは同盟軍ですもの」と由加さん。

「じゃ、霞ちゃんの報告が済んだところで、開放的にやりませんか」と茂君が由加さんの手を取る。
「霞さん。ぼくこの前はショックを受けたばかりのおまんこで、あなたを十分に味わっていませんでした。もう一度、いいでしょうか?」と勝君。
「そうだと思ってました。オーケーですが、条件が一つあります」と霞ちゃん。
「なんでしょう?」
「将来、大伴コンツェルンを相続する際には、何卒私どもを手足として使って下さいますよう」
「了解です。しかし、口約束だけでは心もとないのではありませんか?」と勝君。
「裏柳生は暗殺集団でもあることをお忘れなく」と霞ちゃん。
「おお、こわ!」勝君が大袈裟に身を震わす。
「ふっふっふ」と霞ちゃんが笑う。

連れ込みホテルという便利さをフルに利用して、四人は早速絡み合うのであった。




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