9. かまととの一夜

幸ちゃんはある実験を試みることにした。男性の前で、自分がどこまで未経験な少女で通せるかテストしてみたかったのだ。被験者として学生の山本君を選んだ。山本君は下宿の学生の中で最年長だし、優しそうだったからだ。

ある夜、幸ちゃんは山本君の部屋のドアを軽くノックした。返事がない。幸ちゃんはそーっとドアを開け、忍び足で部屋に入った。布団の中で寝ている山本君を軽く揺する。
「山本さん！お兄ちゃん！」
山本君がびっくりして目を覚ます。
「さ、幸ちゃん、どうしたの？」
「恐い夢見ちゃったの。で、恐くて眠れないの。幸、お兄ちゃんのそばで寝せて貰えない？」

山本君は幼児でもない幸ちゃんの希望に驚いたが、別に拒否すべき理由はない。
「おやすい御用だ。幸ちゃん、さ、入りなさい」
「ありがとう」幸ちゃんは山本君の傍に身を横たえた。

「どんな夢だったの？」と山本君は聞いた。
「思い出したくないぐらい恐いの。話したくない」（夢の中身まで用意してなかった。あぶない、あぶない）幸ちゃんは心の中でベロを出した。
「じゃあ、いいからお休み」
「お休みなさい」

山本君はこれまで、幸ちゃんに性的な関心を抱いたことはなかった。幸ちゃんを女として見ていなかったのだ。しかしである。こうして暗闇の中で傍らに並ばれると、“異性”としての存在を無視できなくなる。「女の子が横にいる」という抽象的概念だけが強く迫って来る。自分とは異なる身体構造を持った人間、セックスの対象足り得る存在という意識がぐいぐい押し寄せて来る。

また、山本君は幸ちゃんの気持ちを測りかねていた。（本当に恐くて来たのだろうか？おれに何か期待しているのではなかろうか？期待しているのであれば、何もしないのは悪い。しかし、それがおれの誤解だったら大騒ぎされてしまう。それも困る）

「コホン」と咳をして、山本君は幸ちゃんに問いかける。「幸ちゃん、もう寝た？」
「ううん、まだ起きてる」
「あのさ、幸ちゃんがぼくんとこで寝てたらお母さん気にしないかな？どうして、お母さんのとこ行かなかったの？」
「行ったの。でも、お母さん、誰かと一緒だった」（真っ赤な嘘）
山本君は思った。（こんな夜中におばさんと誰かがやってるの？誰だ、一体！）正体不明の人物がおばさんと絡み合っているイメージが山本君の心理をかき乱した。

その誰かと絡み合っているおばさんの娘が横にいる。山本君の心の中で、幸ちゃんの存在は急に女としての様相が濃くなって来た。山本君の動悸が激しくなる。しかし、《窮鳥懐に入れば猟師も殺さず》と云うくらいで、飛び込んで来た幸ちゃんを手籠めにするわけにはいかない。そんなことをしたら、下宿も、おばさんのセックス・サービスも、一挙に全てを失いかねない。一歩を踏み出すにしても、幸ちゃんの反応を見ながら、いつでも引き返せる安全海域で操業しなければならない。いずれにしても、山本君は一歩を踏み出さずにはいられなかった。

山本君は、先ず「幸ちゃん、寒くない？」と云って、ブランケットを幸ちゃんの向こうの肩の方へ引っ張ってあげた。その手は、しばしその肩の上で必要以上に長く滞在した。
幸ちゃんは「だいじょぶ。ありがとう、お兄ちゃん」と応えた。
山本君の手は幸ちゃんの髪をやさしく撫で、ついでに頬を軽く撫で、肩をぽんぽんと軽く叩いて引っ込んだ。（まだ安全だ。父親や兄がやる程度のことだ）山本君は自分自身を納得させる。

「幸ちゃん。ぼくんとこへ来てくれて嬉しいんだけど、学生四人の中からどうしてぼくを選んだの？」
「山本さん紳士だし、一番信頼できると思ったの」
（ガビーン！）信頼されては、妙な振るまいはできなくなる。普通なら、これで山本君は手も足も出せなくなるところだ。しかし、山本君もさるものである。
「幸ちゃんに信頼されてお兄ちゃん嬉しいよ」と云いつつ、ブランケット越しに幸ちゃんを抱きすくめた。感動の余りの抱擁という感じ。ついでに幸ちゃんの頬に自分の頬を押しつけた。性的な意味合いではなく、親愛の表現という風情。いまだ安全圏すれすれである。

幸ちゃんは（このヒト、なかなかできるわねえ）と思っている。ここまでのところ、猥褻な感じは全くしないが、山本君は確実に接触率を高めているのだ。

山本君の頭脳はスーパーコンピュータよろしく目まぐるしく働いている。しかし、山本君は手詰まりになった。次なるいい戦略が出て来ない。騒がれる危険を冒しながらのおさわり作戦である。次の一手が山本君の一生を左右するかも知れない。大学の入学試験以来のテンションを感じる。神経は消耗し、山本君は疲れて来た。

幸ちゃんもくたびれていた。相手の出方を待ち、瞬間的に正しい処女的反応を示さなくてはならない。極度に緊張する。よほど「おさわりはもういいから、やろ！」と云いたかった。その方がどんなにか簡単だったろう。幸ちゃんは膠着状態を打破するため、姿勢を変えてみた。山本君に背を向け、丸まった姿勢を取ってみた。

山本君はこの機に乗じた。目の前の幸ちゃんの髪を撫で、その髪に顔を埋めた。山本君は下半身を幸ちゃんの下半身に寄せた。くの字とくの字になる。一見、単に身体を寄せ合って寝ているようでもある。しかし、これは二人がパジャマを着ていなければ、そして下着もつけていなければ、直ちにすぽんと性交を始め得る最短コースなのだった。

実は山本君はこのポーズのセックスをおばさんと経験済みだった。それは密着感があり、お尻との接触もエロチックだし、おっぱいにも触りやすいし、第一、二人にとってすごく楽な姿勢だった。それを思い出していると、山本君のペニスはむくむくと鎌首をもたげ、どんどこ伸び始めた。幸ちゃんの股ぐらに勃起したペニスが当たる。しばらくは押し殺したような沈黙が支配した。しかし、少女の好奇的な指がもぞもぞと背後に伸び、ペニスを触り始めた。

「お兄ちゃん、これなあに？」
「あ、ご免ご免。失礼」山本君は少し腰を引く。
「それ、お珍々なの？お兄ちゃんの」

「うん。可愛い女性が傍にいるんで、つい固くなっちゃったの。ご免ね」ここで山本君が“可愛い女性”という表現を使ったのは特記すべきポイントである。普通、11歳の子供を“女性”とは云わない。しかし、云われた当人は喜ぶ。子供は誰だって子供に見られたがらず、大人として扱われたがる。この効果はてきめんで、山本君に対する幸ちゃんの評価はぐーんと上がった。

「固くなるとどうなるの？」まだ後ろ向きのまま、幸ちゃんが聞く。
ここが山本君の正念場だった。ここでジャンプすると安全圏外に飛び出す。もう後戻りできない。

山本君は「固くなると好きな女性にこんな風にするか」と云いつつ、着衣のまま幸ちゃんの股ぐらに勃起したものを押しつけ、何度か“へこへこ”と腰を動かした。「あるいは、こうするか」と云いながら、幸ちゃんの手を取り勃起したものにパジャマ越しにあてがってこする動作を示した。「いずれにしても、そのまま放っておくと苦しくて、苦しくてたまらないの」
「ふーん」と云いつつ、幸ちゃんは（このお兄ちゃん、やるわねえ。相当きわどいとこまで来ちゃったわ）と思っている。幸ちゃんは山本君に努力賞をあげようと決意した。

「お兄ちゃん幸のこと、好き？」
「大好き！」
「じゃ、やっていいよ」
「や、や、やっていいって、何を？」
「幸、お兄ちゃんが苦しんでるの、見てらんない。早くどうにかしなくちゃ」
「あ、ありがとう、幸ちゃん。で、どっちの方法？」
「お兄ちゃんが好きな方」

山本君は天にも昇る気持ちだった。（何だ、最初から幸ちゃん大好き、やらせて！って云えばよかったみたい）もうこの際遠慮は抜きにして、山本君は幸ちゃんに大攻勢をかけた。後ろ向きの幸ちゃんの首を舐め、パジャマに手を入れて胸をさすり、お腹を撫でて、そのままパンティの中のおまんこに指を入れる。「あああーん！あうーん」幸ちゃんを十分興奮させ、やおら幸ちゃんのパンティを引き下ろす。そのまま、幸ちゃんを抱き寄せて背後から迫る。すぽんと入ってしまう。

（やった！さすが11歳のおまんこは締まってる。うーん、いいなあ）山本君はしばし密着感を味わう。

幸ちゃんもこの新鮮な体位に興奮していたが、（しまった。あたし、“処女”のはずだったのに、痛がって見せるの忘れちゃった。もう遅いかしら？）と焦る。

山本君は幸ちゃんの幼い身体を後ろから抱き締め、力をこめて幸ちゃんの体内をえぐる。幸ちゃんは（最後のチャンス！）とばかり、「あ、痛！」と叫ぶ。山本君は愕然として、動きを止める。（処女膜か！長く痛むのだろうか？しかし、随分奥にあるものなんだな）などと考えている。幸ちゃんが「もう、だいじょぶ」と云う。山本君はピストン運動を再開する。

山本君は快調に腰を使う。おばさんの豊かなお尻の感触はない代り、おまんこにずっぷり入っている満足感がある。幸ちゃんは歓喜に悶え始める。足の爪先が突っ張る。

山本君は幼い肉体との初めてのセックスという事実に興奮し、11歳のタイトなおまんこに締め上げられ、ゴムなしの生の接触もこたえられず、もう限界が見えて来る。（幸ちゃん、早くイってくれー！）山本君は少女の身体を突き刺し、突き上げながら断末魔の予感。ついに「あああーん！」幸ちゃんがイった。待ちかねた山本君は「んぐう！」と一声発してどぴゅどぴゅどぴゅと幸ちゃんの体内に精液を放った。

二人はしばらく前の緊張状態が嘘のように、いまは解放され弛緩して横たわっていた。

幸ちゃんが云った。「もうぐっすり眠れそう。幸、お部屋に帰る。恐い夢見たら、また来ていい？」
「いつでもおいで、幸ちゃん。ぐっすりお休み」

幸ちゃんは山本君にチョンとキスして、部屋を出て行った。山本君は“処女”との一夜を堪能し、自分の幸運を祝福した。電気を点けて、布団の上に幸ちゃんが残したしるしを探そうとする。ない。布団の上を這い回ってあちこち点検する。何もない。あるのは自分の精液のしみだけである。

翌日、山本君は大学の図書館へ行き、《医学》の棚を目指す。ほどなくして、「処女膜は膣口付近にあり…」という記述を見つけ、一切を悟った。

その夜、山本君は幸ちゃんが寝静まっている部屋に行き、幸ちゃんを揺り起こす。
「幸ちゃん、幸ちゃん！」
「誰？山本のお兄ちゃん？どうしたの？」
「ぼくね、恐い夢見て眠れなくなったの。一緒に寝せて？」
「お兄ちゃん、幸をからかってる！」
「からかってないよ。どういう夢か聞かせようか？」
「どういう夢？」

「お兄ちゃんがある女の人とおまんこした夢。その女の人の処女膜は身体のずーっと奥深くにあって、普通の人間じゃないことが分るの。女はエイリアンだったんだ」
「なあんだ。ちっとも恐くないじゃん」（どうしよう、バレたみたい）
「じゃ、可笑しい？」
「可笑しくも何ともない」
「じゃ、これでは？」と云って、山本君は幸ちゃんの両脇に手を入れてくすぐる。「この嘘つき！このペテン師め！こちょこちょこちょこちょ！」
「止めて！あはははうははは。きゃーっ！ひーいひーい！お兄ちゃん、幸、謝る。ごめん。お詫びに何でもするから許して！」
「ほんとに何でもする？」
「うん！」

山本君は仰向けで寝ている幸ちゃんの身体の上を通過し、幸ちゃんの顔の前にペニスを持って行く。幸ちゃんは（舐めろっていうことね？）と思ったが違っていた。山本君は幸ちゃんのすぼめた口をおまんこに見立て、へこへこ運動を開始したのだ。

これは男性にとっては、女性をセックスの道具にしているような異常な快感があるが、女性には何の快感もなく、ひたすら男性に奉仕するだけという屈辱的な体位である。ウーマン・リブの女性なら男性のペニスに噛みつくかも知れない。しかし、この夜、幸ちゃんは「何でもする」と云ったことと、騙したことで罪の意識もあったので山本君のなすがままに任せた。

山本君は（幸ちゃんに悪いな）とは思いつつも、その行為のもたらす快感に酔っていた。おまんこには舌はないが、これだと幸ちゃんがぺろぺろやってくれるので、まるでおまんこに舌が生えたような具合だ。気持ち良くないわけがない。山本君は破局が近いことを感じた。抜いて顔射にすべきか？このままか？どうしよ、どうしよ。結局、その快楽を中断することなどできず、幸ちゃんの口中に射精するという誘惑にも勝てなかった。山本君は「幸ちゃん、ごめん！」と云いながら、そのまま、だばどびだばどびと多量の精液を幸ちゃんの口中に発射してしまった。幸ちゃんは、「アガガ」とむせたが健気に耐え、“処女”とは思えぬ手際で山本君のペニスをしごいて最後の一滴まで舐め取った。

「幸ちゃん、ごめんね。でも、とっても良かっ…」と云いかけた山本君は、幸ちゃんが大きく口を開けているのに気付いた。（全部呑んだよ）と見せているのだ。山本君は感動して幸ちゃんを抱き締め、その可愛い口に接吻した。そして、静かに身体を沈めて行き、幸ちゃんの股ぐらに顔を置いた。

今度は山本君が奉仕する番だった。