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18. 相姦は地球を救う

茶の間でおばさん、茂君、幸ちゃんが話していた。

「お母ちゃん、もう子供ほしくない?」と茂君。
「いきなり、何云うの?びっくりするわねえ」
「小父さんと麗奈さんのセックス見てて思ったんだけど、あそこは40年の年齢差でやってるんだよね。うちはたった20数年。てんで、スケール小さいの」
「あなた、お祖母ちゃんと70年近い年齢差でやったじゃない。立派なもんよ」
「でも、お祖母ちゃん、死んじゃったからご破算だよ」
「それでお母さんに子供を生めっていうわけ?」
「そう、早い方がいいと思うんだ。お母さんの体力も心配だし、少なくとも8年から10年は待たなきゃなんないんだから、一日でも早い方がいいよ」
「何よ、その8年から10年は待つって」
「あ、気にしないで」

「あたしに結婚しろって云うこと?」とおばさん。
「別に結婚する必要はないじゃん?」
「誰の子供生むのよ?」
「ぼくの」
おばさんも幸ちゃんも口をあんぐりさせた。
「そんなことしたら、一家の秘密がバレちゃうじゃない!」
「なにも、ぼくとの子供だって云い触らさなきゃいいでしょう。よそに愛人がいて妊娠させられたけど、わけあって結婚はできない。止むを得ずシングル・マザーって、世間に一杯転がってるでしょうが?」

「凄いこと考えるわねえ」とおばさん。
「もし、オーケーなら少なくとも二人は生まなきゃね。男の子と女の子と。男の子はお母ちゃんと幸がやって、女の子はぼく」
「男ばっかりだったらどうすんの?」
「生み分け法ってのあるんだ。知ってる?女がイく前に男がイっちゃうと女が生まれ、女が先にイくと男が生まれるんだって」

「あたしも子供生む。そいで、自分の息子とやりたい!」幸ちゃんが云った。
「ばーか」と茂君。「生理もないのに、妊娠できるかよ」
「そっか。じゃ、生理始まったらすぐ妊娠させて、お兄ちゃん」
「お前ね、少なくとも高校ぐらい卒業しろよ。赤ん坊連れて高校へ行くわけにいかないから、妊娠はその後だ」

「幸」とおばさん。「お母さんは茂にも幸にも大学へ行って貰いたいの。こんな風に他人様の学生さんお世話してるだけじゃなくて、我が子にも大学行って貰いたいのよ」
「あたし、この下宿の二代目になるつもりなの。下宿のおかみさんになるのに大学必要じゃないでしょ」
「まあ!」
「幸」と茂君。「お前、ずーっと下宿の大学生とやりたいからだろ」
「そんなこと、…あります、へへへ」

おばさんが云った。
「近親相姦で生まれる子供は、脳とかどっかに障害を持って生まれて来る確率が高いそうなのよ。それが『やっちゃいけない』って云われてる理由」
「ぼく、自分の子供にこだわらないよ。お母ちゃんの叔父さんだって、浩二さんだって構わない。あの二人ならかなり遠い血筋だから問題ないでしょ」
「浩二さんか」おばさんはまんざらでもない顔をする。
「お母さん!」と幸ちゃん。「お母さんと浩二兄ちゃんの子なら、美男・美女だよ。やりてえ!」
「こら!なんて云い方するの、幸!」

「お母ちゃん、自信ある?」茂君が聞く。
「年齢的にはまだ生めるし、いざという時叔母さんも手伝ってくれるから、条件は整ってるわ。ただ、茂の云うように近親相姦するために子供を作るというのが、ちょっと引っ掛かるわねえ」
「じゃあ、やるかやらないかは先の話として、ぼくらがただ妹や弟が欲しいということでは?」
「あなたたち、やるに決まってるでしょうが」
「あはは。そう決めつけないでよ」

「あたしも弟ほしい。健ちゃんとやってから、つくづくそう思う」と幸ちゃん。
「あなた、健ちゃんの筆下ろししたんだって?それ以来、健ちゃん発情しっぱなしで、ついにママともやっちゃったそうよ。責任重大よ、あなた」とおばさん。
「そうかなあ?いいことしたと思ってるんだけど」と幸ちゃん。
「お母ちゃん、ぼく5歳の女の子とやったよ」
「5歳って、あのアメリカ人の娘さん?」
「そ。8歳の女の子ともやった」
「まさか?」
「香織ちゃんと沙織ちゃん」
「あなたたちは、あたしの知らないところで随分破廉恥なことしてんのね、全く!」
「ね?ぼくらが弟や妹に飢えてることが分ったでしょ?」
「やっぱり、あなた方は弟や妹をおもちゃにする気なのよ」
「ぼくね、今の幸が好きなんだけど、幸もいずれおっぱいは出て来るわ、毛は生えるわで、お母ちゃんと同じ身体になっちゃうでしょ。やはり、一家に一人は胸の平らな毛のない少女にいてほしいんだな」
「その少女もいつか成長しちゃうわよ?」
「その頃にはぼくも幸も結婚して子供作れるじゃない。どっちかには少女がいると思うよ」
「“やれる”少女ね。狼だわよ、あなた」

「お母ちゃんだって叔父さん一家の近親相姦を羨ましがってたじゃない。興奮して、ぼくんとこへ『やって、むちゃくちゃ、やって!』って飛び込んで来たじゃない。叔父さん一家はよくて、この家族では駄目って理由ないと思うけどな」
「わかったわ。とにかく、生むのはあたしであってあなた方じゃないんだから、あたしが決めます。いいわね?」
「建設的に考えてね?」
「なにが建設的よ!」

数日後。
「お母ちゃん、結論出た?」と茂君。
「うん」とおばさん。
「ひゃっほー!」
「生むって云ったわけじゃないわよ。喜ぶのはまだ早いわ」
「早く聞かせてよ」

「トミーのことを思い出したの。アメリカには貧しい白人、黒人が一杯いるそうだわ。特に黒人は若い時からやりまくってどんどん生むから、家計を圧迫してますます貧しくなるって聞いたことがある。サリーに手紙を書いて、養子に来てくれそうな少年、少女がいないかどうか聞いたらどうかと思うの」
「養子かあ。近親じゃないわけね」
「だって、あなたがたの話聞いてると少年、少女なら誰でもいい感じじゃないの?」
「まあね」
「でね、白人でも黒人でもいいから、サリーに少なくとも男女5人ずつぐらい選んどいて貰って、あなた方二人で審査に行く」
「えーっ?」茂君と幸ちゃんが声を揃えた。
「純子先生のおかげで英語喋れるようになったから、大丈夫でしょう。サリーもいるし」
「養子のメリットって?」と茂君。
「先ず、あたしが数ヶ月大きなお腹をする必要がない。障害を持った子が生まれる恐れもない。もうある程度育った少年、少女を迎えられる」
「すぐやれる」
「こら!不謹慎よ、茂!」
「はーい!」

というわけで、茂君がサリーに手紙を書くことになった。茂君は母親が英語が読めないのをいいことに、『サリー、我々はなるべく性的に放埒な家庭で育った少年、少女を希望する』という一行を入れるつもりだった。




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