13. 柳生一族の陰毛
幸ちゃん宛に一通の封書が送られて来た。中には便箋が一枚あるだけで、その中央には陰毛が一本貼り付けてあった。
「なに、これ!あたしに毛がないことを馬鹿にしてんの?もーっ!」と幸ちゃんが怒った。
白紙と見えた便箋だったが、よく見るとその隅に小さく菅笠のようなものが二つ並んだ紋が印刷されていた。
ある日曜日、下宿の茶の間におばさん一家、叔父さん一家が揃って頭をひねっていた。
「どういう意味やら、わけわからん。脅迫でもないやろし」と叔父さん。
「でも、気味が悪いわ。なぜ、幸にこんなものを?」とおばさん。
「幸の云う通り、もう毛が生えた同級生からの悪ふざけじゃないの?」と茂君。
「でも、その家紋が意味深長ね。子供がそんな便箋使うかしら?」と麗奈ちゃん。
「誤配じゃないの?」と浩二君。
「ちゃーんと幸子様てなってるねん」と叔母さん。
「待てよ、その家紋、どっかで見た記憶がある」と茂君。
「あんはんもか!わいもや。この近くで見たで」と叔父さん。
「分った!この先の剣道の道場の看板に、これあったよ!」
「あ、そっかーっ!あたしも覚えてる」と幸ちゃん。
「ちょっと、行って聞いて来てみる。みんな待ってて」茂君は手紙を片手に飛び出して行く。
数十分後、茂君は80歳は越えていると思われる痩身、山羊ひげ、鋭い目の袴姿の老人を伴って戻って来た。
「柳生道場総師範・柳生劣堂と申す。お見知りおき下され」と、柳生劣堂は深々と一礼した。みんなも慌てて、お辞儀した。
「こちらの茂君は最も正しい場所に来られた。この家紋は二つの陣笠をかたどった『柳生笠』と呼ばれるもので、柳生家代々のものじゃ。わしは柳生家の末裔で、現存する柳生の筆頭となっておる。ゆえに、この手紙の意味も当然承知しておる」
「では、御説明下さい。お願いします」とおばさん。
「説明すると柳生の秘密の一端を明かすこととなる。柳生の秘密はおまんこした相手の女性にしか話せぬ掟があるのじゃ」
「つ、つまり、例えば、あなたがあたしとおまんこしたら、あたしに話してくれるということですか?」とおばさんが聞いた。
「左様。しかし、御一同も襖の陰から話を聞くことはできる」
「失礼ですが、あなた様はおいくつでいらっしゃいます?」とおばさん。
「当年とって83になり申す。何故、歳を聞かれる?」
「実は、当家では最近腹上死で80歳の老人を亡くしました。またそんなことが起ると困りますので」
「はははは」と柳生劣堂は笑った。「わしは長年鍛えておる。心配御無用」
「では、あたしが御説明を承ります」とおばさん。
「待たれい。女性はわしが選ぶ。女性がわしを選ぶのではない」
「まあ!」
柳生劣堂は一同を眺め廻した。
「先ず、あなただが」とおばさんを指し、柳生劣堂が云った。「慎み深い外見じゃが奔放な乱れ方をされると見た。魅力的じゃな。そして、あんた」と叔母さんに「元芸者の持つ技で男を悦ばせるのが得意と見た。これまたそそられる」
「なんで、あたしが芸者って分るんです?」
「美しい年増だからじゃ」
「んまあ!」叔母さんは顔を赤くする。
「本当を云うと、あんたの着物の着付けですぐ分った。それは芸者の着方じゃ」
「なあんだ」
「あなた」と柳生劣堂は麗奈ちゃんを指した。「若く美しい。しかし、あなたは自分がリードしたがるタイプじゃろう」
「そんなこと、どうして?」と麗奈ちゃん。
「顔に書いてある。もし、わしがあなたを指名したら、やって頂けるのかな?」
「は、はい」
「最後に、キミだ。キミは何歳だ?」と柳生劣堂は幸ちゃんに聞いた。
「12歳。名前は幸子。あたしもやっていいからね」と幸ちゃん。
「ひひひひ。いいお嬢ちゃんじゃ。キミが手紙を受け取った本人だし、キミとやることにする」
柳生劣堂と幸ちゃんは次の間に消えた。
「どない思う、みんな?」と叔母さんが聞いた。
「あんなこと云って、ただセックスしたいだけじゃないの?」と茂君。「柳生家の秘密なんて、ほんとかな?」
「しっ!」
別室で柳生劣堂と幸ちゃんのセックスが始まった。おばさんは腹上死だけを心配している。
「おお、幸ちゃん、若い身体じゃのう。むひひ」と柳生劣堂。
「小父さんの、それ凄いね。とてもお年寄りのには見えない」
「若い時から鍛錬しとるでのう。じゃ、やるぞ、幸ちゃん」柳生劣堂は幸ちゃんを突き上げた。
「あうーん!」
襖の陰の一同も、思わずびくん!と身体を震わせた。
「では、むむむ、説明いたそう。一本の陰毛は、うぐぐ、うんっ!柳生家代々に伝わる呪いの印じゃ。あれを受け取った者は、うむむ、必ず非業の死を遂げる」
「えーっ!恐ーい!」幸ちゃんが叫ぶ。
おばさんは半狂乱になって、柳生劣堂の傍へ駆け寄ろうとして、叔父さん、叔母さんに止められる。
「そんな!幸を殺すんですって?どんな理由で、誰が?」
「わしの配下に、あうう、警視庁鑑識課に勤めておる者が、おおお、おる。その、手紙を渡し、陰毛の、いひひ、持ち主の性別、年齢、DNAを、むむむ、調べさせよう、あむむ」
「あはーん!うぐーんっ!あああああ!」幸ちゃんが恐怖感とともにイった。
「おおりゃーっ!やああっ!」柳生劣堂もイった。
翌週、また全員が集まり、柳生劣堂の報告を待った。柳生劣堂は今回はおばさんを指名した。大事なことは、全ておまんこしないと話さないのだ。
「お願いですから死なないで下さいね?」とおばさん。
「大丈夫。『死ぬー!』というのはあなたじゃよ」
「まあ!」
「いい身体じゃのう。惚れ惚れする。この乳、この尻」
「あふーん」とおばさんが呻く。
「鑑識課からの報告は、むっ!」柳生劣堂はおばさんを刺し貫く。
「あぐう!」おばさんが身体を弓なりにする。
「陰毛の持ち主は、うぐぐ、じょ、女性。推定年齢、むんっ!30歳プラスマイナス1」
「そんな女の人に怨まれる覚えないけどなあ」と幸ちゃん。
「柳生の一族だったら、そちらで分るんじゃありません?」と麗奈ちゃん。
「DNAの結果が出たら、むんぐ、こちらのデータと、あうう、付き合わせてみる」
「あはーん、ううう、むーん!」
「えーいっ!」
「ぎゃあああ!死ぬー!」おばさんは昇天した。
さらに翌週、柳生劣堂は麗奈ちゃんを指名した。
「こんな美人とやれるとは光栄じゃ。おうおう、美乳じゃのう!」
柳生劣堂は麗奈ちゃんのおっぱいに吸い付いた。
「上になりたいのではないかな?」
「ええ、できれば」と麗奈ちゃん。
「よろしい、やっておくれ」
麗奈ちゃんが83歳の老人の上にまたがる。老人とはいえ、立派な一物はそのまま麗奈ちゃんの子宮口に届く。麗奈ちゃんは髪を振り乱して、身体を上下させ始める。
「さて、DNA鑑定の結果、ぐぐぐ!あ、あの呪いの陰毛の、むんぬ、差出人が分った。かの者は柳生の最末端ゆえ、うぐぐ、わしはよく知らなんだが、むんはっ!幸ちゃんの担任教師の妻じゃった」
「えええっ!」幸ちゃんとおばさんは顔を見合わせた。
「むふーん!あふーん!あぐぐぐっ!」麗奈ちゃんがイった。
「りゃあああ!」柳生劣堂もイった。
しばらくして、衣服を正した柳生劣堂が一同の前に座った。
「間もなく、その女性がやって来る。わしが呼んでおいた」
「そんな!」とおばさんが云った。「幸を殺そうとする人を呼ぶなんて!あたし、110番します!」
「待たれい。わしが柳生家の総帥であることをお忘れか?わしがいる限り安全じゃ」
「ごめんください!」玄関で声がした。おばさんが迎えに出る。清楚な和服美人が立っていた。
先生の奥さんは茶の間に入って来ると、柳生劣堂の前にきちんと座り、
「御支配様、お懐かしゅう存じます」と挨拶した。
「うむ」と頷いた柳生劣堂だが、よく覚えていなかった彼女が凄い別嬪なのに驚いていた。
「この度はお騒がせいたしまして」と先生の奥さん。
「どういうことか、次の間で説明を聞こう」と柳生劣堂は先生の奥さんと消える。
一同は怪訝そうに顔を見合わせる。
柳生劣堂は先生の奥さんを裸にし、その身体を撫でさすっていた。
「ああん、御支配さまあ!」
「うーむ、いい味じゃ。今後は毎週一度わしの伽を命ずる。よいな」
「かしこまりました」
「それ!」絶倫の柳生家総帥は最末端の配下のおまんこを突いた。
「あうーん!」
「どういう、ことなのだ?むむ」
「この家の娘さんが私の、あうん、夫を誘惑し、真面目一方の教師だった、あがが、夫は、あおーん、娘さんとの情交で、あははん、完全にロリコンとなってしまい、あうーん、私には見向きもせず、あはん、学校で女生徒を、うぐ、追い廻すようになって、あうあん、しまったのです」
「それを怨んで、あの、むんはっ!呪いを送ったのか?」
「はい」
「お主は、あうん、最近の柳生封廻状No.3698877を、むひひ、読んでいないのか?」
「No.3698876は読みましたが、あうーん!それはまだです」
「そうか、お、お主は末端だから、まだ届いていないと見える。むむむん、それはこういうことだ。ごにょごにょ」
「えっ!まことでござりますか!あふーん!」
「いえーい!」と柳生劣堂が気合いを入れる。
「ぐうああああわあーっ!」先生の奥さんがイく。
茶の間に戻って来た柳生劣堂は、
「男性諸氏。彼女はまだ欲求不満のはずだ。可愛がってやってくれぬか?」と云った。
先生の奥さんの美貌に打たれていた叔父さん、浩二君、茂君は、返事もしないで次の間に殺到した。
「どういうことなんですの?」とおばさんが聞く。
「あたし、殺されないで済むの?」と幸ちゃん。
「安心しなさい、幸ちゃん」と柳生劣堂。「実は奥さん、柳生家も昨今の時流に鑑み、未成年を対象とする暗殺、謀略、呪いを禁ずるお触れを出した。いわば、柳生家流の児童虐待防止策じゃな。それが柳生封廻状No.3698877なのじゃ。彼女が掟を守る以上、幸ちゃんには手を出さぬ。わしやこの家の男性軍が彼女の面倒を見る限り、彼女も怒りを忘れるじゃろう」
「なんと御礼を云っていいか。ありがとうございました」とおばさん。
「いや、わしの配下がお騒がせして申しわけござらぬ。ゆるされよ」柳生劣堂が一礼。こうして、この事件は一件落着した。
「あのー、あたしはいつお呼びがかかるんかいな?待っとんのやけど」叔母さんが云った。
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