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1. 兄あり遠方より来たる

未亡人下宿の玄関に男が一人立った。顔じゅう髭ぼうぼうでまるで浮浪者みたいだが、薄汚い感じはなく、身なりも上等だった。両手には大型のトランクを一個ずつ下げている。

「こんにちは」男が云った。
その声におばさんが出て来て、押し売り撃退の台詞を発射しかけたが、男の顔をまじまじと見た後、おばさんは身体を急に硬直させた。「兄さん!」

その男は15年も前に南米で行方不明になった、おばさんの実の兄だった。家族は彼の捜索を諦め、お骨もないまますでにお墓が建っていた。

「許してくれ」茶の間に落ち着いたあと、おばさんの兄さんが云った。「連絡しようと思えば出来たんだが、いっそ死んだつもりで頑張ろうと思ってね。おかげでまあまあ成功したよ」
「御家族は?向こうで結婚したんでしょ?」とおばさん。
「いや、まだ一人だ。何も不自由はないんでね」兄さんは意味ありげに笑った。

「ただいま!」と茂君が帰ってきた。「あ、お客さん?」
「茂、ここへお座んなさい。あたしの兄さんなのよ!」
「え?お母ちゃんにお兄さんがいたなんて聞いてないよ。かついでんでしょ!」
「本当よ。お前たちが生まれる前に死んだことになってたの。それが実は生きてたのよ!」
「ふ〜ん?あんな髭ぼうぼうでお兄さんかどうか判るの?また、『おれだよ、おれ』って騙されてるんじゃないの?」

「あははは。茂君、君もはっきり云うね。気に入ったよ」
「ほんとにぼくの伯父さんなんですか?信じていいのかな?」
「別に信じてくれと頼みはしないが、ぼくの妹が『兄だ』と断言してるんだから、それでいいじゃないか」
「そうか、兄妹で間違えるってことないもんね。じゃ、伯父さん、よろしくお願いします」

「ただいま!」幸ちゃんも帰って来た。
幸ちゃんは髭もじゃの男にぎょっとして、後ずさりした。ほとんど顔が見えないくらいに髭で覆われているのだから、まるで熊に見えたのだ。
「幸、あなたの伯父さんよ。ご挨拶なさい」とおばさんが云った。
「あ、こんにちは、じゃない、初めまして。失礼しま〜す!」幸ちゃんは一礼すると飛ぶように二階の自室へ駆け上がって行ってしまった。
「まあ、あの子ったら何でしょう。普段はもう少しお行儀がいいんですけど」
兄さんは髭をなでて考え込んでいたが、「どうも、この髭がいけないようだ。床屋へ行くかな?」と立ち上がった。
「兄さん、ところでもうずーっと日本にいてくれるんでしょ?南米には帰らずに?」とおばさん。
「そうはいかん。事業は人任せには出来んからね。今回は数ヶ月は滞在するつもりだが」
「そうなの。またいなくなっちゃうの…」とおばさんはがっかりする。
「じゃ、行ってくる」おばさんの兄さんは出掛けて行った。

伯父さんの声がしなくなると、幸ちゃんが二階から下りて来た。
「お母さん、熊さん、帰った?」
「悪い子ね、熊さんだなんて。お前が怖がるから、床屋へ髭剃りに行ったわ」
「おい、幸。お前、おしっこ漏らしただろ、さっき」と茂君。
「嘘よ!漏らしてないわ。変なこと云わないでよ」(本当はちょびっと漏れたのでパンティを替えたのだった)

おばさんが子供たちに15年前のいきさつを話していると、
「ただいま」とおばさんの兄さんが帰って来た。
「ま、随分早いのね」とおばさん。
「う、うっそーっ!」幸ちゃんが口をあんぐりする。
髭を剃った伯父さんは、やや苦み走った端整で理知的な顔に、包容力がありそうな柔和な笑みをたたえている。それは幸ちゃんのお父さんが生きていればこうあってほしいと願うような、まさにそんな人物像だった。

「お、伯父さん、初めまして!」と幸ちゃん。
「あはは。幸ちゃん、初めましてはさっき聞いたよ」と伯父さん。
「だって、まるきり違う人なんだもん」
「幸ちゃん、さっきは挨拶するひまもなかったけど、よろしく!」と伯父さん。
「お母さん、伯父さんってあたしのお父さんに似てる?」
「さあ?」とおばさん。
「似てるんでしょ、似てるって云って!」
「似てるよ。似てるとも」おばさんは苦笑した。

茂君が御馳走の材料を買い出しに行き、おばさんがお料理を始め、幸ちゃんが伯父さんに家の中を案内した。離れで養子のジミーとサブリナを紹介すると、伯父さんは「なんでまた養子なんか!」とびっくりした。ジミーは9歳の黒人の男の子、サブリナは7歳の金髪で青い目の女の子。二人ともアメリカから当家に貰われて来て、離れにそれぞれ部屋を貰って住んでいるのだ。

夕食を食べながら、伯父さんは根拠地であるボリビアの話をした。伯父さんは非常に稀な鉱石をボリビアで発掘することに成功し、いまや世界を相手に商売しているのだそうだ。
「ボリビアの高地には泥棒はいないんだ。どうしてか?そもそもあの国では物凄いインフレで貨幣価値が下がり、一寸した買い物をするにも風呂敷包み一杯の紙幣がいる。泥棒をしてリュック一杯の金をかついで逃げようとすると、高地では空気が薄いので息切れがしちゃってすぐ捕まってしまう。だから泥棒がいないのさ」
一同は冗談のようなそんな話に笑い転げた。

おばさんは自分の寝室だった奥の部屋を兄さんに明け渡し、自分は茶の間に布団を敷いた。

幸ちゃんは茂君の部屋を訪れていた。
「お兄ちゃん、あたし伯父さんとやりたい」
「なんだ、いきなり」茂君は思わず引いてしまう。
「あたし、ずっとお父さんとやりたかった。伯父さんってお父さんに似てるんだって。ねえ、お兄ちゃん、どうやったら伯父さんとやれるかしら?」
茂君は他の男、それも突然現れた伯父さんに欲情して悶える妹にむらむらとなった。「幸、やろう!」
「やめてよ、あたし伯父さんのことで胸が一杯なんだから」幸ちゃんは拒絶する。
茂君は幸ちゃんを抱き、胸やお尻を撫で、膝で幸ちゃんの股ぐらを撫で上げた。
「お兄ちゃん、あたし、その気になれないの。やめて!」
茂君は幸ちゃんの首筋を舐め、耳を舐めた。右手を幸ちゃんのパンティの中に差し入れ、おまんこを刺激した。
「お兄ちゃん、ひどい。駄目ったら駄目!」
茂君は幸ちゃんの意志を無視し、パンティをむしり取ると、幸ちゃんの両脚を膝で押し広げたまま、慣れた手つきでペニスにゴムをはめ、すでに潤っているおまんこにずぶりと入れた。
「あたしは伯父さんとやりたいの。伯父さんにやって貰いたいの!」
茂君は妹の身体を抱き締め、狂ったように腰を使った。幸ちゃんの身体は持ち主の意志を裏切り、勝手に快感を貪りだした。
「あう、あん、おじ、おじ!うぐぐ、あうーん!」
茂君は持てるテクニックを総動員して妹を攻めた。腰を使いながら、茂君は妹のあえぐ口に吸い付き、舌を絡めあった。二人の動物的セックスはいやおうなく昂まり、もう爆発寸前だった。
「ふぐう、むぐう、うごごご、うぐっうぐっ、むぐーん!」幸ちゃんがイった。茂君は内心満足の笑みを浮かべ、余裕でさらに何度か妹のおまんこを突き上げ、ついに自分も妹の後を追った。

「あたしたち、兄と妹よね。伯父さんとお母さんも兄と妹。二人もやってるかしら?」二人の呼吸が納まった時に、幸ちゃんが云った。
二人は自分たちの母親と絡み合っている伯父さんの姿を想像した。いや、想像しようと努めた。しかし、それはリアルなイメージにならなかった。
「まさか。あの伯父さん、そんな風には見えなかったぜ」と茂君。
「伯父さん、スケベに見えないもんね。あたし、どうやったら伯父さんにやって貰えるかしら。難問だわ」




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