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10. 坊主まる儲け

「ごめんなさいよ」と玄関で男の声がした。
お留守番の幸ちゃんが出て行くと、それは一家の菩提寺の住職だった。僧衣を着て、手にはスーツケースを提げている。50歳ぐらいで、面長、痩身のお坊さんである。

幸ちゃんは思い当たった。今日はお祖母さん(幸ちゃんの母親のお母さん)の命日なのだ。貧乏寺の住職としては、まめに壇家廻りをしてお布施を得ないと生活が成り立たないので、それでこうして出張してやって来るのである。幸ちゃんは困った。母親はお坊さんが来ることは知っていたが、すっかり忘れてお芝居を観に行ってしまったのだ。あと数時間は帰って来ない。しかし、お坊さんに真実を云うことはためらわれた。

「あの、母は外出しているんですけど」と幸ちゃんが云った。
「奥さんは私が今日来ることは御存知のはずじゃな?」とお坊さん。
「はい、もちろん」と幸ちゃんは取り繕う。
「じゃあ、上がらせて頂いて待たせて貰いましょう」お坊さんは勝手にずんずん茶の間に入ってしまう。仕方なく、幸ちゃんはお茶をいれる。 「ご造作を…」と云いつつ、坊さんはお茶を啜る。

幸ちゃんは世間話が出来る歳ではないし、お坊さんも小娘と喋る材料を持たない。茶の間の時計が刻むチクタクという音がやけに大きく響く。お坊さんは時折、袖をまくって腕時計を見る。
「あの、どこか他所の家に先に行って頂くというわけには?」と幸ちゃん。
「そうしたいのは山々じゃが、それぞれお約束の時間がある。方向的に、またここへ戻るわけにもいかん」

また、しばらく沈黙が続いた。
「始めようかの。奥さんもおっつけ戻られるじゃろう」そう云ってお坊さんは立ち上がった。お坊さんは奥の部屋の仏壇の前に移動し、お線香を上げ、スーツケースから小さい木魚と鉦(かね)を取り出して並べた。幸ちゃんが座布団を用意している間に、お坊さんは袈裟をまとった。

「仏説摩訶般若心経観自在菩薩行深般若波羅密多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意無色声香味触法無限界乃至無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道…」
ぽくぽくと木魚の音が響く。普通なら、それは眠気を催す音だったが、今日は違う。一家の代表としてたった一人お坊さんの後に座っている幸ちゃんは、これからどうしたらいいのか困惑し切っていた。今日は頼りの兄・茂君もプロ野球を見に出掛けているし、二階の学生たちも全員出払っていた。幸ちゃんが心配しているのはお布施のことだった。このことをすっかり忘れて出掛けてしまった母親は、当然のことながらお布施など用意してくれていなかった。幸ちゃんもまとまったお金など持っていない。

そのうち幸ちゃんの足が痺れて来た。慣れない正座のためである。よく考えると、お坊さんは前を向いているわけだし、親戚もなにも、誰一人幸ちゃんを見ている人間はいないのだ。だったら、足を崩そうがあぐらをかこうが寝そべろうが問題ではなかった。幸ちゃんはぺろっと舌を出しながら、脚を投げ出した。(あー、楽だ!)

「奥さんはまだかな?」とお坊さんが突然尋ねた。
幸ちゃんはバッと正座に戻り、「ま、まだです」と答えた。

「遠離一切顛倒夢想究竟涅三世諸仏依般若波羅蜜多故得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多是大神咒是大明咒是無上咒是無等等咒能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多咒即説咒曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆呵般若心経」

お坊さんは最後の部分を「これで終わりだよー」という感じで長く伸ばし、読経を終えた。

お坊さんは袈裟を脱いで畳み、スーツケースにしまった。二人は茶の間に戻り、幸ちゃんはお茶を入れ換え、今度はお茶菓子を添えて出した。お坊さんは一仕事終えてくつろいでいる。しかし、幸ちゃんはくつろぐどころではない。誰も助けに来てくれない。

「あのー」と幸ちゃん。
「ふむ。なんじゃな?」とお坊さん。
「お布施ですが、おいくらぐらいなんですか?」
「それはご当家のお心づもりじゃ。こちらからいくら下さいと云う筋のものではない。ただ、寺から電車で一時間半かけて参っていることは考慮して頂きたいものじゃ」とお坊さん。
「明日にでも現金書留でお送りするというのでは駄目ですか?」
「奥さんは忘れっぽいようじゃ。ひょっとすると、現金書留も忘れるかも知れん」
「あたしがちゃんと約束します。それでも駄目?」
「お嬢ちゃんの約束か。ちょっと心細い。やはり、この場で頂くのが一番じゃろう」

母親も兄もあと数時間は戻らない。仕方なく、幸ちゃんは叔父さん一家に電話した。留守である。早苗ちゃんの家も留守。八方塞がりだ。幸ちゃんは決断した。

「お坊さん、あたしが身体で払います」
「な、なんと!」お坊さんは飛び上がった。
「駄目ですか?」
「お嬢ちゃん、あんたいくつになんなさる?」
「12歳」
「むむ。あんたに手を出したら刑務所行きじゃよ」
「お坊さんが言い触らせば別ですけど、あたしが黙ってりゃ問題ないでしょう」
「本当かな、お嬢ちゃん!実はあんたぐらいの少女とやるのは、わしの長い間の夢じゃった。やらして貰えれば、もう迷わず成仏出来る。ありがたやありがたや。なまんだぶ」

二人は奥の間に戻った。幸ちゃんが敷布団をのべる。お坊さんは僧衣を脱ぎ、ふんどしも取って丸裸になった。幸ちゃんも服を脱いで布団に横たわる。お坊さんは幸ちゃんの股ぐらに向かって手を合せ、まだ数珠があるかのように両手をすり合わせ、念仏を一気に唱えた後のような吐息を漏らした。

「おー、この平らな胸。12歳の胸。たまらん」お坊さんは涎を垂らしながら幸ちゃんの乳首をぺろぺろ舐める。
「少し出て来てるんですけど、分りません?」と幸ちゃん。
「そうかね。わしには平らな方がいいんじゃ」
お坊さんは幸ちゃんの股ぐらに顔を寄せた。
「おお、12歳のおまんこ。無毛のおまんこ。最高!」もうそこは濡れて準備完了である。
「毛が生えて来てるんですけど、分りません?」と幸ちゃん。
「うるさいね。わしゃ、無毛の方がいいんじゃよ」とお坊さん。
幸ちゃんは傍らのコンドームの大箱に手を伸ばし、中の一つをお坊さんに手渡す。

「お嬢ちゃん、じゃあ頂きますよ。ほれーっ」お坊さんが幸ちゃんの身体に侵入した。
「あーん!」と幸ちゃん。
「むひひひひ。12歳の女の子とのおまんこや。極楽極楽。なまんだぶ。それ、それーっ!」
「あおーん!あぐあぐ、おおーっ!」幸ちゃんがよがる。
「おお、お嬢ちゃん、締め付けてくるねえ、いいねえ。ほれ、ほれーっ!」タフなお坊さんである。
「あわわわ、うぐーっ!あはーん!」
「いひひひひ!まだかな?これではどう?ぐりぐりぐりぐり」
「うぐぐぐぐ、うごご。むひーん!」幸ちゃんがイった。
「わしもだ。それ、どどーん!南無阿弥陀仏」お坊さんもイった。

「あ、なにこれーっ」純子先生が乱入して来た。純子先生はツルツル頭を見ると興奮してしまうたちだった。最近では近所にいるツルツル頭の存在を察知する超能力も身につけたようだ。

純子先生はババッと服を脱ぎ、その巨乳を露出させた。お坊さんはロリータの御馳走に預かったばかりなのに、今度は妙齢の美人で巨乳の女性を味わえることになった。お坊さんは巨乳を見上げながら純子先生のおまんこをしゃぶり、純子先生はお坊さんの頭を両手で撫でて恍惚となっていた。

坊主ほどいい商売はない、と作者は思う。




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