10. 坊主まる儲け「ごめんなさいよ」と玄関で男の声がした。 幸ちゃんは思い当たった。今日はお祖母さん(幸ちゃんの母親のお母さん)の命日なのだ。貧乏寺の住職としては、まめに壇家廻りをしてお布施を得ないと生活が成り立たないので、それでこうして出張してやって来るのである。幸ちゃんは困った。母親はお坊さんが来ることは知っていたが、すっかり忘れてお芝居を観に行ってしまったのだ。あと数時間は帰って来ない。しかし、お坊さんに真実を云うことはためらわれた。 「あの、母は外出しているんですけど」と幸ちゃんが云った。 幸ちゃんは世間話が出来る歳ではないし、お坊さんも小娘と喋る材料を持たない。茶の間の時計が刻むチクタクという音がやけに大きく響く。お坊さんは時折、袖をまくって腕時計を見る。 また、しばらく沈黙が続いた。 「仏説摩訶般若心経観自在菩薩行深般若波羅密多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意無色声香味触法無限界乃至無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道…」 そのうち幸ちゃんの足が痺れて来た。慣れない正座のためである。よく考えると、お坊さんは前を向いているわけだし、親戚もなにも、誰一人幸ちゃんを見ている人間はいないのだ。だったら、足を崩そうがあぐらをかこうが寝そべろうが問題ではなかった。幸ちゃんはぺろっと舌を出しながら、脚を投げ出した。(あー、楽だ!) 「奥さんはまだかな?」とお坊さんが突然尋ねた。 「遠離一切顛倒夢想究竟涅三世諸仏依般若波羅蜜多故得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多是大神咒是大明咒是無上咒是無等等咒能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多咒即説咒曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆呵般若心経」 お坊さんは最後の部分を「これで終わりだよー」という感じで長く伸ばし、読経を終えた。 お坊さんは袈裟を脱いで畳み、スーツケースにしまった。二人は茶の間に戻り、幸ちゃんはお茶を入れ換え、今度はお茶菓子を添えて出した。お坊さんは一仕事終えてくつろいでいる。しかし、幸ちゃんはくつろぐどころではない。誰も助けに来てくれない。 「あのー」と幸ちゃん。 母親も兄もあと数時間は戻らない。仕方なく、幸ちゃんは叔父さん一家に電話した。留守である。早苗ちゃんの家も留守。八方塞がりだ。幸ちゃんは決断した。 「お坊さん、あたしが身体で払います」 二人は奥の間に戻った。幸ちゃんが敷布団をのべる。お坊さんは僧衣を脱ぎ、ふんどしも取って丸裸になった。幸ちゃんも服を脱いで布団に横たわる。お坊さんは幸ちゃんの股ぐらに向かって手を合せ、まだ数珠があるかのように両手をすり合わせ、念仏を一気に唱えた後のような吐息を漏らした。 「おー、この平らな胸。12歳の胸。たまらん」お坊さんは涎を垂らしながら幸ちゃんの乳首をぺろぺろ舐める。 「お嬢ちゃん、じゃあ頂きますよ。ほれーっ」お坊さんが幸ちゃんの身体に侵入した。 「あ、なにこれーっ」純子先生が乱入して来た。純子先生はツルツル頭を見ると興奮してしまうたちだった。最近では近所にいるツルツル頭の存在を察知する超能力も身につけたようだ。 純子先生はババッと服を脱ぎ、その巨乳を露出させた。お坊さんはロリータの御馳走に預かったばかりなのに、今度は妙齢の美人で巨乳の女性を味わえることになった。お坊さんは巨乳を見上げながら純子先生のおまんこをしゃぶり、純子先生はお坊さんの頭を両手で撫でて恍惚となっていた。 坊主ほどいい商売はない、と作者は思う。 |
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