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14. くノ一忍法・乱れ舞い

楚々とした和服美人が茂君を訪ねて来た。幸ちゃんの担任教師の奥さんだが、旦那も知らない真実の姿は柳生劣堂配下の末端忍者というものであった。劣堂は日本全国にこうした部下を無数に配置し、日々諜報活動に当たっていた。

「三千代でございます。御無沙汰いたしております」茂君の勉強部屋で和服美人が深々とお辞儀した。
「こちらこそ」と茂君。「まだ柳生劣堂氏の夜伽を勤めてるんですか?」
「いえ。一人の任期はせいぜい二週間です」と三千代さん。
「へえ。二週間でとっかえひっかえ別の女性?いいなあ!」と茂君。
「全国のくノ一が、我こそは御支配様の御胤を頂戴仕ろうとひしめいております」
「くノ一って女忍者のことですよね?“女”って字を分解すると“くノ一”になるんで」と茂君。
「よく御存知で」

「ところで、ロリコンになっちゃった御主人はどうしてます?まだ馘になってませんか?」と茂君。
「お蔭様で、まだ教員免状は取り上げられておりません」と三千代さん。
「でも、まだ教え子の少女たちを追い回してるんですか?」
「私、一計を案じました。二人で寝室に入りますと、夫に催眠術をかけます。私があたかも幸子さんのような12歳の少女であると思わせるのです。夫は少女を抱いていると思い込みつつ、私と交わって満足します。これが役に立って、学校でもいまのところ問題を起しておりません」と三千代さん。
「うまいなあ。そのテが使えるのなら、じゃあ三千代さんは人気タレントにでも映画スターにでもなれるわけ?」と茂君。
「まだ試していませんが、多分…」と三千代さん。

「で、今日はどういう?」と茂君が聞く。
「茂さんに私とやって頂きたいのです」と三千代さん。
「や、やってって、あれのことですか?」
「そうです。出来れば茂さんだけでなく、大勢の方がいいのですが」
茂君はぶったまげた。確かに、茂君は三千代さんと過去にやったことがある。又やるのは不思議ではない。しかし「大勢の方がいい」というのはどういうことか?

「何か訳がありそうですね」と茂君。
「ハイ。私は柳生忍群では最下級の下忍(げにん)なのです。間もなく昇進試験があり、それにパスしますと中忍になれます。責任も待遇も変わりますし、新たな術を授けて頂くことが出来ます」
「管理職試験みたいですね」と茂君。
「全く同じです。問題は私の性感が良すぎて、くノ一忍法の妨げとなり、このままでは試験をパスすることは出来そうもないのです」と三千代さん。
茂君は話の飛躍についていけない。
「セックスしながら情報を集めるのはくノ一忍法の基本ですが、私の身体はすぐ感じて恍惚となってしまい、諜報活動が十分に行えないのです。御支配様はそれを見抜き、『茂君のところで修業して参れ』と仰せられたのです」と三千代さん。
やっと茂君にも飲み込めた。(三千代さんはセックスしてもイかないようにしたいのだ!)

「なんやて?」話を聞いた叔父さんが目を剥いた。「セックスしてもイかない方法?けったいなリクエストやな」
茂君が電話で呼び寄せたのは、叔父さんと浩二君、早苗ちゃんのお父さんの三人である。一同は茂君の部屋で三千代さんを囲んでいた。
「早くイきたいのが普通の女性の望みなんですけどね」と浩二君。
「男性の遅漏みたいになればいいわけですかな?」と早苗ちゃんのお父さん。
「いや」と浩二君。「あれは一つの障害です。何か精神的に原因があって、イきたくてもイけないのです。三千代さんにそういう要因を与えたら、今度はイきたい時にもイけなくなってしまう」
「そら悲劇や」と叔父さん。
「困ります」と三千代さんが恥ずかしそうに云う。

「セックスしてる時に何か別のこと考えればいいんじゃない?」と茂君。
「お題目唱えるとか」と叔父さん。
「頭の中で九九を全部おさらいするとか」と茂君。
「円周率はどうかな?」と浩二君。「3.14159265358979323846264338327950288419716939937510 58209749445923078164とか」
「ひえーっ!」と茂君。「どうしてそんなに沢山云えるの?」
「簡単さ」と浩二君。「『産医師 異国に向こう 産後厄なく 産婦宮代に 虫散々 闇に鳴く これに母酔い ここの菜 広く咲く草 菜ごと 小屋に置くな 良くし 四国に去れ名はヒロシ』って文句があるんだ」
「平方根ってのもありますよ」と早苗ちゃんのお父さん。「√2は1.41421356で『一夜一夜に人見ごろ』」
「それ、『いよいよ兄さんゴム着ける』とも云うそうです」と浩二君。
「ぼく、その方が好きだな」と茂君。
「√3は『人並みにおごれや』」と早苗ちゃんのお父さんが続ける。「√5は『富士山麓でオウム泣く』。懐かしいねえ」

「でも、ただイかないだけじゃなくて、何か聞き出さなくちゃいけないんでしょ?」と茂君。
「それが目的ですから」と三千代さん。
「本末転倒しちゃうのが悩みなんや」と叔父さん。
「ハイ」と三千代さん。
「じゃ、ぼくら一人一人とやって、何か秘密を聞き出すってのは?」と茂君。
「へそくりの場所かいな?」と叔父さん。
「いや」と茂君。「三千代さん。ぼくらには共通したセックスの秘密があります。これはトップ・シークレットで誰にも話せないものです。それを聞き出すのがあなたの指命。ただし、秘密は口外しないと約束して下さい」
「うん。そらええな」と叔父さん。
「約束します。私、頑張ります」と三千代さん。

というわけで、三千代さんの特訓が始まった。先ず、部屋の主ということもあって茂君がお相手し、残りの男性は茶の間で待機した。

三千代さんが帯を解く。久し振りに三千代さんの綺麗な裸体が拝めるので、茂君はわくわくする。それにしても、なんてツいているのだ。口説く必要もなく、何か奉仕する必要もなく、美女が向こうから「やって下さい」と勝手に飛び込んで来たのだ。別に惚れられたわけではないが、それでも男としたら天にも昇る気持である。

茂君がベッドの上で待っていると、三千代さんは全ての衣類を取り去り、素っ裸となった。均整の取れたプロポーションに、ぷくりと突き出た二つの乳房とふくよかな臀部が悩ましい。そのままベッドに上がって来るのかと思いきや、三千代さんは床に正座し、きちんと指をついて茂君に向かって深く礼をした。
「よろしくお願いいたします」
茂君も慌ててベッドの上で正座し、お辞儀をした。茂君は、これは単なるセックスではなく、剣道か柔道の試合のような真剣なものらしいと悟った。

茂君は三千代さんの手を取ってベッドに誘い、そのまま三千代さんを抱き抱えてベッドに倒れ込んだ。三千代さんの鼻に接するように顔を近づける。三千代さんの目や睫毛、眉などの美しさが際立つ。
「では、行きます」と茂君。柄にもなく、いささか声が震える。
「どうぞ」と三千代さん。こちらの声は毅然としている。
茂君は持てる技を総動員して三千代さんを攻める。三千代さんは茂君が提案した「九九」を念じることで自分をコントロールすることにした。
「あうう。2×9…、あはん」と三千代さん。
「え?肉が食べたいの?」と茂君。
「いえ、あはーん!3×5…、ううう」
「え?産後間もないんですか?」
「いえいえ。おおお、3×8…」
「産婆さんが必要なんですか?」
「違います。あおーん!5×3…、ああん!」
「え?誤算だった?」
「いえ。うう!6×9…、あぐあぐ!」
「ロック音楽がお好きなんですか」
「いえいえ。9×9、く、く、く、駄目、死ぬー!」

次は叔父さんの番だった。三千代さんは叔父さんの提案のお題目を念じる作戦に出た。
「三千代はん、めんこい顔にごっつええ身体して、幸せもんや。お相手出来るわいも幸せや。ほんなら、いこか?」
「お願いします」
叔父さんはベテランらしく、時に優しく、時に乱暴に、テンポの緩急、攻撃の深浅などにも変化をつけて、三千代さんを思う存分いたぶる。
「ああはん!南無、むむむ、法蓮華経、あなな無、おほほー連、ぐぐぐ華経」と三千代さん。
「なんや、尼さんを犯してるみたいな具合やな」と叔父さん。

早苗ちゃんのお父さんの案は平方根だった。
「入ります!」と早苗ちゃんのお父さん。
「勝負!」と三千代さん。
早苗ちゃんのお父さんは三千代さんと69の体位となり、素晴らしい舌技で三千代さんを悶えさせた。
「おお!1356、うぐ、1.73205…、おおーん!2.44949、ああん!2.828427」
「コンピュータとおまんこしてる感じだな、こりゃ」

浩二君は三千代さんに聞いた。
「何をしてもいいんですか?」
「ハイ」と三千代さん。
浩二君はくるっと三千代さんを引っ繰り返し、お尻を突き出させると、持参のクリームを三千代さんの肛門に塗った。浩二君はじわじわとペニスを三千代さんのお尻の穴に挿入した。
「あわわ!」と三千代さん。これまで何度もイかされていたので、おまんこへの攻撃なら何とか長引かせることが出来ると楽観していた。ところが思いがけないところを攻められ、新鮮な刺激にまたもや燃え上がってしまう。
浩二君の助言は円周率であった。三千代さんは必死で脳内で円周率を読み上げる。
「むぐ、3.1415926535、ぐぐぐ、897932、むごー!あわわーん!死ぬー!」
また死んでしまった。

きちんと和服を着た三千代さんを囲んで、一同は反省会を催した。
「申し訳ありません」と三千代さん。自分のだらしなさに涙ぐんでいる。
「三千代さんは、この方法には素直過ぎると思う」と早苗ちゃんのお父さん。
「そう。円周率だのお題目だのがつい口に出ちゃうんだ」と浩二君。
「艶消しやな」と叔父さん。
「済みません」と三千代さんがしくしくする。
「じゃあ、次回は何か別の手を考えましょう」と茂君が云った。

数日後、同じメンバーが集まって第二回目の特訓となった。
「三千代さん」と茂君が口を切った。「三千代さんは御主人に催眠術をかけられると云いましたね?」
「ハイ」と三千代さん。
「だったら、情報を持っている人間と密室で二人切りになったら、そこでも催眠術が使えるのではありませんか?」と茂君。
「使えます」と三千代さん。
「じゃあ、三千代さんが興奮する前に相手をイかせちゃって、ゆっくり情報を聞けばいい」と茂君。
「けど、催眠術をかけたことを知られたらまずいやろ」と叔父さん。
「その記憶は消すことが出来ます」と三千代さん。
「相手に気付かれずに催眠術かけられるもんかな?」と浩二君。
「遊びのようなふりをして始めることは可能でしょう」と三千代さん。「どうせ、その記憶は消し去れますから、どんな口実でもいいと思います」
「それや。やってみよやないか!」と叔父さん。今度は前回の逆の順番で特訓が開始された。

数時間後、また三千代さんを一同が囲んだ。
「私が得た情報は、茂さんがおっしゃったように、この家のトップ・シークレットでした。恐ろしくて、とても事実は口に出せません。お名前の組み合わせだけ申し上げます。茂さんとお母さん、妹の幸ちゃん。浩二さんと従姉の麗奈さん、そしてお祖母さん。浩二さんのお祖父さんと姪である茂さんのお母さん、そして孫娘の麗奈さん。早苗さんのお父さんと娘の早苗さん。以上です」
「でけた!三千代はん、あんはん、やったがな!」と叔父さん。
男性一同は感動し、三千代さんを代わる代わる抱擁した。
「皆さんの秘密は、自分自身で消し去りますので、ご安心下さい。本当にありがとうございました」三千代さんは深々と頭を下げた。

数ヶ月後、茂君に三千代さんから電話があった。
「合格です!合格しました!」三千代さんは泣き声だった。
「わあ、凄い。ぼくらの協力が役立ったわけですか?」と茂君。
「それどころではありません。御支配様からお褒めの言葉まで頂きました」
「よかったねえ!」
「茂さん!出来るだけ早く皆さんにお会いして御礼を述べたいと思います」
「アレンジします。まかせて下さい」と茂君。
「あの、今度は遠慮なくイかせて頂きますので…」と三千代さんが云った。




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