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7. 新宿鰐

おばさん一家が、茶の間に二人の中年男を迎えていた。
「私は新宿警察署性生活安全課の警部で、通称“新宿鰐”と呼ばれてるもんです」と一人が云った。大柄、四角い顔、エラが張って下顎が出ている。
「鮫じゃないんですか?」とおばさん。
「鮫は退職してロック歌手のマネージャーになっちゃいました。はっきり云やヒモだね。はは」
「で、こちらは?」とおばさんがもう一人に聞く。
「どうも。鑑識の薮蛇ちゅうもんだわ」ちんちくりんで丸顔の男が名古屋弁で名乗った。
「それも通称なんでしょ?」とおばさん。
「いや、本名だがや」と薮蛇。

「で、ここは新宿署の管轄区域ではありませんけど、どういう御用件で?」とおばさん。
「実はですな、奥さん」と新宿鰐が話し出した。「最近、新宿署管内で売春婦のクリトリスが腫れ上がって病院に駆け込むというケースが激増しております。産婦人科も対象にして調べてみると、売春婦ばかりでなく一般女性のクリトリス障害も飛躍的に増えておることが判明しました。これらの女性全ては、コンドームを着用した男性と交接したと証言しておりまして、新種の病気とかいうものではないのは確かでした」
「では、一体何が原因で?」とおばさん。他人事ではない。
「女性たちの局部を調べるとさいが」と薮蛇。「何やら虫に噛まれた痕があったぎゃあ」
「まあ!」

「そこに、一つの殺人事件が起りましてね」と新宿鰐。「被害者は外国人女性でしたが、その居室で昆虫が繁殖しており、それが女性のクリトリスを齧っていた張本人だったのです」
「何て名前の昆虫?」と茂君。
「被害者は死ぬ前に『カラマーレス・フリトス』と口走ったそうなので、それが昆虫の名前と考えられる」
「“クリトリス”じゃないのね?」と茂君。
「ちょっと違うね」と新宿鰐。

「それがあたしの家とどう関わって来るんでしょうか?」とおばさん。
「奥さん。その殺された外国人女性はボリビア人だったのですよ」と新宿鰐。
「何ですって!」おばさんは驚く。
「ここまで話せば、なぜ我々がお宅にお邪魔したか分るでしょう」と新宿鰐。「奥さんのお兄さんはボリビアに住み、先頃お宅に滞在されたことが確認されている。もしお兄さんが『カラマーレス・フリトス』をこちらにも持ち込まれていたら、『カラマーレス・フリトス』の繁殖・大発生によって日本の女性はみなクリトリスを腫れ上がらせ、痛くて性交不能になってしまうのです。我々はそのようなパニックを防がなくてはなりません。是非、御協力をお願いします」
「きょ、協力ってどうすれば?」とおばさん。
「奥さん」と薮蛇が云った。「先ず、お兄さんがお土産に持って来(こ)りゃあたもの、置いて行かれたもんを全部調べさせてほしいんだわ。そして、ご家族みんなのクリトリスも検査させてちょー」
おばさんと幸ちゃんは顔を見合わせた。

「薮蛇さん」とおばさん。「鑑識って犯罪現場を調べる係でしょ。あたしたちの身体を調べるのはお医者さんの仕事だと思いますが」
「そうだなも。けど奥さん。私もドクターの資格は持っとるぎゃあ。私の検査は第一次ということで、異常が認められれば警察病院へ行って貰うんだがや」
「はあ…」おばさんは釈然としないが、とにかく協力することにした。幸ちゃんが伯父さんの部屋に新宿鰐を案内し、おばさんが薮蛇を二階の下宿人の部屋に案内した。

新宿鰐と薮蛇が調査に追われている時、叔父さん一家が下宿にやって来た。茂君が事情を説明すると、浩二君が呆れたように云った。
「『カラマーレス・フリトス』?そりゃ、昆虫の名前じゃないよ。英語の"fried calamari"と同じで、スペイン語で『イカのフライ』っていう意味だ」
「ボリビア人は、死ぬ前にイカ・フライを食いたかったちゅうことか?」と叔父さん。
「なんでえ」と茂君。「頼りない刑事だなあ」

伯父さんの部屋には家具やTVが配置されているだけで、伯父さんの所持品と云えるものはほとんど無かった。新宿鰐はTVキャビネットの下を掻き廻して、いくつかのデジタル・ビデオ・テープを発見した。
「ふむ。これに何か手掛かりがあるかも知れん」と新宿鰐がカメラを結線し、テープを再生する。
「あらっ!」幸ちゃんが叫ぶ。
「おーっ!」新宿鰐が唸る。
TVには当家の7歳の白人の養女サブリナとおまんこしている伯父さんの姿が映し出された。幸ちゃんが、亡きお父さんのイメージをダブらせている大好きな伯父さんが、裸でサブリナにピストン運動をしている。幸ちゃんは思わず興奮した。
「こりゃ幼女虐待だ。立派な犯罪だ!」新宿鰐が叫んだ。しかし、新宿鰐も画面の異常なセックスに目を奪われ、興奮していた。なにしろ、40代の立派な体格の伯父さんと7歳の少女の組み合わせだ。女の子は人形のように見えた。中年の新宿鰐にとって、それは夢のようなセックスであった。

新宿鰐は、傍らで幸ちゃんも食い入るように画面を見ているのに気付いた。
「お嬢ちゃん。こんなもん、目の毒だ。キミは見ちゃいかん」と新宿鰐。
「刑事さん見てるじゃない!」と幸ちゃん。
「私は犯罪の証拠をチェックしてるんだ。興味本位じゃない」
「でも、刑事さん。これはどういうこと?」幸ちゃんは新宿鰐の膨れ上がった股間に触る。
「ああ、キミっ!刑事だって人間だ。こんなものを見れば興奮する」と新宿鰐。
「刑事さん、ロリコンなのね?あたしとやりたい?」と幸ちゃん。
「冗談じゃない!未成年とやったら馘だよ。その上、刑務所行きだ」
「二人だけの秘密なら、どう?」
「キ、キミ!」新宿鰐は思いがけず降って湧いた幸運と興奮で武者震いする。

「ただし、条件が一つ」と幸ちゃん。「このテープは見なかったことにしてほしいの。勿論、持って行かないでほしいし、口外無用。どう、刑事さん?」
「わ、分った。テープは見なかった。わしゃ、何も知らん」新宿鰐は幸ちゃんに躍りかかって、12歳の少女の身体を抱きかかえた。

その頃、二階では薮蛇が各部屋を点検していた。丁度授業の真っ最中の時間帯だったため、学生は誰もいなかった。
「兄は二階にはほとんど来ませんでしたよ」とおばさん。
「確かに若者の持ち物ばっかだわ。ほんじゃ、奥さん。奥さんのクリトリス点検しよみゃあか」と薮蛇。
「今ですか?」おばさんは気乗りがしない。しかし、仕方なく着物を広げておまんこを曝け出す。
薮蛇はポケットから天眼鏡を取り出し、しゃがみ込んでじっくりとおばさんのおまんこを点検した。
「奥さん、ちょっと触りますが許してなも」と薮蛇。彼はおばさんのクリトリスを押し上げ、静かに撫でた。
「あはん!」おばさんが反応する。
薮蛇はぺちゃぺちゃと湿らせた舌でクリトリスを舐める。
「あうーん!ま、まだですか?」とおばさん。
「もうちょっとだがね」と薮蛇。
薮蛇はクリトリスを舐めながら、おばさんの割れ目に指を差し込み、入れたり出したりする。
「あああおおーん!ああ、あたし、あたし!」おばさんが悶える。
「奥さん、どうしました?」と薮蛇。
「入れて!入れて下さい!」

薮蛇はズボンとパンツを脱ぎ、おばさんに覆いかぶさる。おばさんはサッとコンドームの大箱を掴み、薮蛇に渡す。薮蛇は盲目的に一個をひっちゃぶき、勃起したペニスに装着する。燃え上がっているおばさんを待たせないように、薮蛇はおばさんにペニスを突っ込み、激しくおばさんの身体を突き上げた。

「ご免下さい!」と玄関で声がした。叔父さんが出て行く。私服刑事が二名と、後に警官隊が控えていた。
「な、なんでっしゃろ?」と叔父さん。
「“鰐”と“蛇”の旦那がお邪魔しているはずです。恐縮ですが、呼んで頂けませんか?」と若い刑事が云った。

“鰐”と“蛇”が出て来た。
「刑事さん!」と茂君が“鰐”に呼びかける。「『カラマーレス・フリトス』って『イカのフライ』のことだってよ!」
「なに、いか・ふりゃー?こんの、くそたわけえ!」薮蛇は新宿鰐を蹴飛ばす。
「なにを、この蛇野郎!」二人は取っ組み合った。

「この両名は警察病院から抜け出した患者たちであります。お騒がせいたしました」若い刑事が軽く敬礼して、“鰐”と“蛇”を引き立てて行った。

「いか・ふりゃー?」とおばさんが呟いた。




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