9. 薄情の湖
早苗ちゃんのお父さんの好意で、幸ちゃんは早苗ちゃんと一緒にバレー学校に通っていた。その学校が『白鳥の湖』の公演を行うことになった。公演と云ってもそんな有名な学校ではないから、まあ音楽教室の発表会のようなもので、小劇場を借りての公演には、生徒たちが親戚・知人・友人に切符を売り歩いて実現に漕ぎ着けるのである。
悪魔によって白鳥にされている王女オデットはバレー学校の校長先生が勤め、残りは全部生徒たちが踊る。男性の大役である王子には19歳の青年・米小路(こめのこうじ)君が抜擢された。名が示すように、華族の末裔で、長身と貴公子然とした顔だちによって女性の憧れの的だった。
幸ちゃんと早苗ちゃんはまだ駆け出しなので、その他大勢の群舞に登場するだけである。しかし、公演にはおばさん、茂君、ジミーとサブリナ、下宿の学生たち、叔父さん一家、純子先生などが詰めかけた。勿論、早苗ちゃんのお父さんも一緒だった。
この幸ちゃん関係のうち、女性たちの観劇法はちょっと変わっていた。幸ちゃんと早苗ちゃんが登場しない時は、ひたすら米小路君の姿を追うのである。その股間のセクシーな“もっこり”から目を離せないのだった。実は幸ちゃんと早苗ちゃんも最近まで、そのもっこりに気付かなかった。米小路君は稽古ではゆったりしたトレパンをはいていて、タイツは公演が近づいてから初めて着用したからだ。二人は出番がないと、青年の顔ともっこりを見ながら溜め息をついていた。
大成功の公演の後、幸ちゃんと早苗ちゃんは米小路君にアタックを開始した。米小路君は大人の女性にもモテモテだから、なかなか少女二人を相手にしなかったが、ついに手近な湖でのキャンプに同行することにオーケーした。
以下は、そのキャンプから帰った幸ちゃんの母親への報告である。
「あたしたち、一時間ぐらい歩いて湖畔のキャンプ地に着いたの。ちょっと季節外れだったせいか、テントを張ったのはあたしたち一組だけ。湖は独占出来るし、素っ裸で泳げるから、あたしたちは大喜び。ついに米小路さんのもっこりの実態も見られたってわけ」
「まあ!ど、どうだった?」とおばさん。
「むひひ。想像通り」と幸ちゃん。
「このーっ」とおばさん。
「で、三人でキャンプファイヤー起して、私と早苗で作ったお料理を食べ、三人で歌ったり踊ったり。闇が濃くなって、焚き火がメラメラしてロマンチックだったわあ!」幸ちゃんは思い出しながらお茶をすする。
「いよいよだね。早く続けなさい」とおばさん。
「三人でテントに入って、あたしと早苗で米小路さんを裸にした。米小路さんが『な、なにすんだ!』って云うから、『決まってるでしょ!』と云ってあたしたちも脱いだの。米小路さんたら、『君たちとやったら校長先生から破門される』っておどおどしてる。『誰も喋らないから大丈夫』とあたしが云って、米小路さんにキスした。早苗は早くも米小路さんのペニスにフェラチオ」
「大サービスだね」とおばさん。
「米小路さん、『君たち何歳なの?』って聞く。『二人とも12歳』と答えたら、『凄いマセてるね!』って驚いてた。あたしが『二人とも経験豊富なの。何も心配しないで』と云うと、やっと安心してその気になった」
「いよいよ、始まるのね?どんどん続けて!」とおばさん。
「米小路さんが『どっちが先?』って聞くので、あたしと早苗がじゃんけんしたの。あたし負けちゃった。で、米小路さんが早苗の身体にのしかかって、いよいよおまんこを始める。憧れの白鳥の王子とのおまんこに、早苗はうっとり。待ってるあたしはイライラ」
「可哀想に」とおばさん。
「そこへ、突如テントの入り口から鉄砲が突き出された!銃口は米小路さんの頭を狙ってる!」
「ほんとかい、お前?!」おばさんが総毛立つ。
「ほんとよ!早苗が『キャーッ』、あたしも『キャーッ』。外から中年の男の声で『みんな外へ出ろ』って云う。あたしがぶるぶる震えながら出て行くと、いやらしい顔をした中年男が迷彩服を来て銃を構えてた。ハンターなのね。男は裸のあたしを上から下まで見て『ほう、おっぱいも無けりゃ、毛も生えてねえのか。向こうもそうか?』って云ったの。あたし、どっちも毛が出かかってるって云いたかったけどやめた」
「そんなこと云わないでいいのよ」
「男は米小路さんと早苗が出て来ないので、『てめえら、聞こえねえのか?出て来いつっただろうが!』って怒鳴った。そしたら、米小路さんが情けない声で、『出て行けない。抜けないんだ』って云うの。あたしがテントに引っ返して『早苗!どうしたの?』と聞くと、『鉄砲にびっくりして、おまんこがきつく締まっちゃった』って云うの」
「犬がやってて離れなくなっちゃうけど、あれみたいなものね?」とおばさん。
「米小路さんも早苗も困り切ってる。あたしもどうしていいか分んない」
「犬には水をかけろって云うけどね」とおばさん。
「中年男も同じことを云ったわ。で、あたしリュックを空にして水を汲んで来て二人にぶっかけたけど、駄目。全然効かない。で、あたし、中年男にこう云ったの。『ショックで筋肉が緊張してるみたいだから、あたしがお友達をリラックスさせたい。いいかしら?』って。男は『あいつらは放っとけ。つながって病院行って恥さらしゃいいんだ』という返事。あたしが『ずいぶん薄情ね』って云うと、男は『おれは、おまえさんとやれりゃいい。こっち来い』ってズボンを脱ぎだす」
「まあ!」
「あたし、『小父さん、女の子二人にサービスされたくない?あの子もセックス上手なんだから』って云った。男は『じゃ、五分だけ待つ。それ以上は待てねえ』と云った。で、あたしはテントに戻った。あたしは米小路さんに屈むように云って、二人の耳に囁いた。『もし離れられても、そのまま動けないフリしてて。そうすれば早苗はやられないで済むから。やられるのはあたしだけで十分』って」
「お前!」おばさんは目に涙を浮かべる。
「あたし早苗にキスしながら早苗のクリトリスを刺激したの。早苗、次第に『あはーん』とか云うようになり、筋肉が緩んで来た。米小路さんもそれを感じ始める。でも、あたしの注意を覚えてるから何も云わない。しばらくすると、米小路さんが腰を動かし、あたしに大きく頷いた。大成功!」
「よかった、よかった!」
「外から中年男が『おう、ねえちゃん。時間だ』と声をかけて来た。あたしが出て行って、『駄目だった。小父さん、二人を病院に連れてくの手伝って』って云うと、男は『冗談じゃねえ。おれはおめえに一発お見舞いしてさっさと消えるんだ。さ、来い』って云う。あたしは『そこは砂利で背中が痛いからイヤ。こっちの草の上がいい』って、テントの入り口から遠い場所を指差した。男は『どこでもいいぜ』と草の上に移動した。テントの中の二人は動けないと思ってるから、あたしみたいな小娘一人どうにでも出来ると思って油断してるわけ」
「どうなるんだい、お前。心配だねえ」とおばさん。
「あたしが寝そべると、男は涎を垂らしながらかぶさって来て『ねえちゃん、いくつだ?』と聞くから、『12歳。でも、あたし性感発達してるから、おっぱいとかおまんことか舐めてくれると凄く興奮するの』と云った。男は『そうか。12歳の女の子の興奮状態見てみてえもんだ』って、おっぱい舐め始めた。あたしは大袈裟に『ああああ、あわーん!おおーん!』ってよがった。男は面白がって、今度はおまんこを舐め始めた。あたしは『うぐぐ!あごーん!うわあああ!』」
「ほんとによかったの?」とおばさん。
「嘘にきまってるでしょ」と幸ちゃん。
「どういうことなのさ?」とおばさん。
「実はね。早苗と離れることが出来た米小路さんが忍び足で男の背後に近寄って来てたの。あたしにはそれが見えてた。米小路さんが男の鉄砲を取り上げる。あたしが両膝で男の頭を挟む。その脳天を目がけて、米小路さんが鉄砲の台尻でゴーン!」
「やったわね!」とおばさん。
「やったのよ!早苗も出て来て、三人で男を逆エビ固めに縛っちゃった」
「警察に突き出すんだろうね」とおばさん。
「そう思ったんだけど、米小路さんがひそひそ声で『事件が公になると家名に傷がつく』って云うの。あたしが『じゃ、こいつどうしよう?』って云うと、早苗が『お珍々切っちゃいましょう』って凄いこと云うの。勿論冗談なんだけど、男は早苗がズベ公で本気で云ってると思って『それだけは止めてくれ!頼む!おれには嬶(かかあ)がいて、おまんこしてやんないと浮気されちゃう』と必死。米小路さんがテントに何か取りに行った。持って来たのはカミソリ」
「まさか!」とおばさん。
「男は『ギャアア!』と云って顔を引きつらせる。米小路さんが男のズボンを下ろすと、男は恐怖のあまりおしっこを漏らしちゃった」
「まあ」
「男は『止めてくれーっ!切らないでくれーっ!』と叫ぶ。米小路さんは黙って男の陰毛を剃り出した」
「え?」
「早苗が石鹸を渡し、あたしが水筒の水を上げて、米小路さんはカミソリで男の股間をつるつるにしたの。まるで子供のお珍々みたいになっちゃった。男が家で奥さんに何と説明するか、想像しても楽しいわ」
「悪い人たちねえ」とおばさん。
「ふと見ると、男が乗って来たボートがあったの。三人で男をボートまで運んだ。縛られたままの男を乗せてボートをすーっと沖に流したの。これで時間が稼げるから、あたしたちはゆっくり町へ帰れるってわけ」
「ボートが転覆したら大変ね」とおばさん。
「知らないわ。転覆したら天罰だわね」
「お前も薄情だね。まあ、みんな怪我がなくてよかった」とおばさん。
「あたし、早苗がセックス恐怖症になると困るなって思うの」
「そうだねえ」
そこへ電話のベル。おばさんが出ると、それは早苗ちゃんからだった。おばさんが幸ちゃんと代わる。
「早苗ちゃん、何て?」しばらくしておばさんが幸ちゃんに聞いた。
「早苗、試しにお父さんとやったんだって。ちゃんと外れたって」と幸ちゃんがニコニコして云った。
「そりゃ、よかった。外れなかったら、お父さんと繋がって病院に行くとこよ。随分、大胆だわねえ」とおばさんが云った。
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