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13. 柳生の秘宝を守れ

ある日、柳生劣堂から連絡があり、おばさん一家に至急の頼みがあるから、揃って待っていてくれとのことだった。

おばさん一家が待っていると、柳生劣堂は一人で何か小さい袱紗包みを抱えて現われた。
「実は拙宅が泥棒に狙われておる」と劣堂。「否、只の泥棒ではない。プロの忍者に間違いない。姿は見せず、気配を殺し、しかし、深夜に拙宅のあちこちを徘徊しておる様子。明らかに何か特別の物を狙っておるに違いない」
「御支配様にも気配を悟られないとなると、凄い忍者ですね」と幸ちゃん。一ヶ月の住み込み修業を終えた現在、幸ちゃんにとってはもう劣堂は“お爺ちゃん”ではなく、御支配様である。
「幸ちゃんとは月とスッポンじゃ」と劣堂。

「何を狙っているのでしょう?」とおばさん。
「柳生家には様々な分家がある」と劣堂。「わしは俗に裏柳生と呼ばれる忍者集団を束ねておる。その裏柳生の祖は柳生烈堂と申す。わしと一字違いじゃが、これまた月とスッポンで、烈堂は徳川家に終生仕えた大物であった。政治的に大物であったばかりでなく、その持ち物も大物であった」と劣堂。
「持ち物って、あれのこと?」と茂君。
「左様。烈堂は多くの妻妾を抱え、さらに多くのくノ一までをも相手にし、全てを満足させるほど絶倫であったそうだ」と劣堂。
「先生も似てますよ」と幸ちゃん。劣堂はにこにこして幸ちゃんの頭を撫でる。

「当家に伝わる家宝は数々あるが、これがその最たるものじゃ」劣堂が袱紗包みを一同の前に出し、包みを開ける。中には桐箱が入っていて、その上部には二つの陣笠を形どった柳生家の紋が入っている。劣堂は桐箱を恭しく頭の上にかざして拝礼すると、箱を閉じている紫の紐を解きながら、こう云った。
「これは畏れ多くも、その烈堂公の…」
「分った!」と幸ちゃん。「陰毛でしょ!」
「これ、幸!」とおばさんがたしなめる。
「近い。さすがは幸ちゃん。しかし、これが何か想像はつくまいて」と劣堂。
劣堂が桐箱の蓋を開ける。おばさんも茂君も幸ちゃんも、みんな身体を乗り出して中身を見ようとする。

「えーっ?」と幸ちゃん。
「まーっ!」とおばさん。
「ディルド?」と茂君。
「当時は張形(はりがた)と申しておった」と劣堂。「茂君の云う通り、今のディルドじゃ。しかし、これはただの張形ではない。裏柳生の祖・烈堂公の一物を形どったものである。烈堂公は壮年時代に自らの勃起した一物の型を取らせ、数々の張形を作って妻妾に分け与えたと云われておる。一時に大勢を相手にするわけには行かぬので、寂しい思いをする女性には自分の分身で欲望を宥めよとの配慮であったに違いない」
「大きいですね、これ」とおばさん。自分も欲しそうだ。
「既に、当時の鋳型は失われておるので、真のサイズであるかどうかは定かでない」と劣堂。「しかし、烈堂公も武士。一物のサイズを偽る如き虚飾の人ではなかったと信ずる」
「これって実際に使われたものですか?」とおばさん。
「これには“壱”という文字が刻まれておる。多分、正妻に与えられたものであろう。その後は、くノ一の入門時に、彼女らを破瓜する儀式に使うておった」と劣堂。
「あたしの入門の時は、それ使われなかったわ」と幸ちゃん。
「お前、処女じゃないじゃん。バーカ」と茂君。
「あ、そっか」幸ちゃんがペロッと舌を出す。
「現在のくノ一志望者は、一番にこのわしがテストすることになっておるため、どっちみちこの張形は要らんのじゃがな」と劣堂。

「で、狙われてるってのはこれなんですか?」と茂君。
「盗賊は、他の家宝の刀剣や鎧兜には目もくれていない。となると、やはり…」と劣堂。
「で、私たちにどうしろと…?」とおばさん。
「ご迷惑かも知れんが、これを暫く預かってほしいのじゃ」と劣堂。「ここなら気付かれまい」
「もし、盗賊が家へ来たらどうします?」とおばさん。
「柳生一門の中忍・三千代をお宅のどこかに配置しておくゆえ、安心召されい」と劣堂。「それに幸ちゃんも修業の成果を試すいい機会である。幸ちゃん、三千代とペアで頼むぞ」
「ハイ!」と幸ちゃんが元気よく応えた。
「ところで幸ちゃん。折角だから、一発やらして」と劣堂。
「ハイ!」

劣堂が幸ちゃんと消えると、おばさんは桐箱から張形を取り出し、しげしげと眺めた。鼈甲(べっこう)で作られた美術品のような逸品だ。烈堂の型から粘土の張形を作り、それとそっくりのサイズに仕上げたものらしい。
「お母ちゃん、まさか使ってみるつもりじゃないだろうね?」と茂君。
「お前、江戸時代のディルドなんて、そうお目にかかれるものじゃないよ」とおばさん。「折角の機会じゃないか」
「劣堂さんが『家宝を汚した!』って怒って、一刀両断にされちゃうよ」
「あたしも入門すると思えばいいじゃない」とおばさん。
「どうせなら、よく洗って使いなよ」と茂君。

おばさんは流しへ行き、ぬるま湯でじゃあじゃあ洗った。茶の間に戻り、茂君の見ている前で着物の裾をまくり、張形を突っ込もうとする。しかし、おばさんのおまんこは濡れていない。
「茂、お願い。あたしを濡らして」とおばさん。
「ディルドは前戯をしてくんないもんね。どれどれ」と茂君。
茂君は母親を抱き、キスした。着物の襟から手を差し入れおっぱいを揉む。
「あああ」おばさんが呻く。
茂君は母親の股ぐらに手を伸ばし、母親のクリトリスを愛撫する。指で穴の方に触ると、そこはいつしかじくじくと愛液が滲み出ていた。
「ありがと、茂」とおばさん。
「お母ちゃん、このままぼくとやろうよ。ぼくの本物のペニスがあるのに、何もわざわざディルドなんか…」と茂君。
「でもお前、江戸時代のディルドだからね。お前のはいつでも使えるけど、これはすぐ柳生家に帰っちゃうからね」とおばさん。
「ちぇっ!」と茂君。

おばさんはついに柳生家の家宝をおまんこに突っ込む。お湯で洗ったせいか、鼈甲が程よく温まっていて、気持がよい。
「あおおおお!」いまや、おばさんは200年だか300年昔の柳生家の総帥・柳生烈堂とおまんこしているのだ。あるいは、彼の妻妾の孤独を慰め、何百人ものくノ一の処女を奪った張形と交わっているのだ。その歴史がおばさんの心と身体をわななかせた。

しかし、歴史的興奮が納まると、おばさんは白けて来た。ディルドによるセルフサービスには男女の交わりの興奮がない。相手の動きによる意外性もない。相手の吐息や荒い呼吸も感じられない。男ならキスしたり、おっぱいを揉んでくれるが、ディルドはおまんこへの刺激一ヶ所に留まっている。おばさんは柳生家の家宝を放り出し、
「茂!やっぱりお前の方がいい。やって!」と茂君に手を差し出した。

夕刻、三千代さんがやって来た。三千代さんは幸ちゃんの案内で、家の中を隈なく見て歩いた。次に、幸ちゃんが住んでいるモービル・ホームも点検し、裏庭もざっと見た。三千代さんは柳生家の家宝はおばさんの寝室にある床の間に置くことにした。

おばさん一家は三千代さんと一緒に食事をした。食後、茂君は三千代さんをベッドに誘った。賊が来るとしても、かなり夜が更けてからの筈である。茂君とおまんこしている間に、三千代さんにあるアイデアが湧き、茂君に何ごとか頼んだ。

一家の就寝時刻、三千代さんは顔を黒く塗り、忍者の装束に着替えた。いつものしとやかさが鳴りを潜め、凛々しく頼もしい感じになる。幸ちゃんはまだ正式な装束を貰っていないので、黒いトレパン、トレシャツを着込んだ。顔だけは三千代さんのように黒く塗り、覆面で覆った。

しかし、その夜は何も起らなかった。

二日目の夜も何も起らなかった。三日目が明けて、三千代さんと幸ちゃんは家の内外を点検した。
「幸ちゃん、賊は来てるわ」と三千代さん。
「え?どうして分るの?」と幸ちゃん。
「私は色んなところに髪の毛を挟んだり、結びつけておいたの。最初の日は髪の毛は元通りだったけど、昨夜はそのほとんどが外れていた。夜中に、誰かが家の内外を動き回った証拠なのよ」
「へえ」幸ちゃんは新たなくノ一のテクニックを知ると同時に、敵が柳生家からこの下宿にターゲットを絞った判断力に感嘆した。また、そいつが勝手に人の家を徘徊することに怒りも覚えた。

三千代さんも幸ちゃんも連日の徹夜の張り込みは辛かった。幸ちゃんは学校から帰ると、すぐ高いびきで夕食まで寝てしまう。

三日目の夜。三千代さんは茂君の加勢を頼んだ。賊は一人かも知れないし、数人かも知れない。柳生家とすれば、こちらも大勢で防御することは可能だが、それでは「家宝はここにある」と宣言するようなものである。それは避けたかった。

草木も眠る丑三つ時(およそ午前二時〜二時半)。おばさんの寝室の一枚の畳が動いた。それは僅かに持ち上がり、音もなく横に滑った。そして、灰色の忍者装束に身を固めた侵入者が姿を現わした。その忍者は真っ直ぐ床の間に行き、柳生家の家宝の桐箱に手を伸ばした。忍者は震える手で中身の重さを量り、空っぽでないことを確認した。忍者はそのまま桐箱を盗んで立ち去ることも出来たのだろうが、傍らのおばさんがすやすやと寝ているのに安心し、箱を開けて中を点検することにしたようだ。紫の紐を解き、蓋を開ける。柳生烈堂の張形が絹のクッションの上に鎮座ましましている。忍者は安堵の吐息を洩らす。

その時、天井に張り付いて息を殺していた三千代さんがふわーっと落下しつつ、灰色忍者の顎を蹴った。
「グエッ」と灰色忍者が呻き、素早く数回転して床下に消えた。三千代さんは「ピーッ!」と指笛を吹き、外の幸ちゃんに合図する。

幸ちゃんの前に灰色忍者が出て来た。幸ちゃんはぴゅっぴゅっ!と手裏剣を投げる。それらは全て灰色忍者の鉄の手甲によって弾き飛ばされたが、三千代さんが来るまでの時間稼ぎにはなった。床下から出て来た三千代さんが灰色忍者にカンフーで挑む。二人の蹴り合いが始まる。灰色忍者はその背格好から、やはりくノ一のようだ。しかし、三千代さんの方が体格で優っており、灰色忍者は次第に劣勢になる。

灰色忍者はダダッと後退し、モービル・ホームの壁を走って上がり、その屋根に逃げた。三千代さんはクレーンで吊られた映画俳優のように宙を飛んで灰色忍者を追う。灰色忍者もクレーンで吊られているように宙を飛んで下宿の二階の屋根に移る。三千代さんもそれを追う。灰色忍者はムササビのように二階の屋根からダイブして、裏庭の桃の木へと飛ぶ。灰色忍者が桃の木に着地しようとした、まさにその時、赤いバットが忍者の頭めがけて振り下ろされた。これこそ、三千代さんが茂君に頼み、一晩中桃の木の上で待機して貰っていた作戦の成果だった。灰色忍者はドーン!と地面に落下した。

三人は灰色忍者を茂君の部屋に担ぎ込み、素っ裸にした。両手、両足を縛ってしまう。その忍者はおよそ、16〜17歳の女の子で、顔の黒い色を落すと、かなり可愛い顔をしていた。茂君は彼女の盛り上がったおっぱいと陰毛におおわれた股ぐらに魅せられ、人知れず勃起していた。
「この子の名は霞(かすみ)。瘋魔(ふうま)一族らしいわ」三千代さんが灰色の忍者装束を調べながら云った。
「どうして裏柳生の祖の張形を欲しがったのかしら?」と幸ちゃん。
「それを調べるのが、私の次の任務」と三千代さん。
三千代さんは得意の催眠術で聞き出そうとした。霞は落下のショックからは立ち直っていたが、抗催眠術の訓練を受けていたと見えて、全く効き目がなかった。次に、幸ちゃんがレス道の成果を試すべく、霞の性感帯をいじくり廻した。これも効果がなかった。

「茂さん。あなた、この子とやりたいでしょ?」と三千代さん。
「いえ、別に」と茂君が嘘を云った。茂君は三千代さんが好きなので、いいかっこしたのだ。
「うそ!こんなに立ってるじゃない!」と幸ちゃんが兄の股ぐらに触って云った。
「茂さん。この子とやりなさい。ただし、焦らして長引かせること。いいわね?」と三千代さん。
「でも、レイプになりません?」と茂君。
「あなた、一度もレイプしたことないの?」
「さあ?よく覚えてない」
「じゃ、初体験しなさい。忍者は敵方に捕らえられたら自害するものなの。死ぬことに較べれば、レイプなんて屁でもないわ。何かあれば私が責任を持つ」
茂君は闇のプロ集団の掟に驚いた。三千代さんの毅然とした態度には、大人しく従わねばならなかった。

三千代さんは少女忍者・霞をベッドの上に大の字に縛った。霞は身をよじることさえ出来ない。茂君は霞の両脚の間に身を置き、コンドームを着けた。
「そんなもの要らないわよ」と三千代さん。
「でも…」と茂君。自分より僅か数歳年上の霞を妊娠させたりしたくなかった。茂君が屈みこんで霞のおまんこを舐める。幸ちゃんが霞のまだ丸くなくとんがり気味のおっぱいを揉む。霞は鍛錬の賜物か、よがる様子も見せず、身動きもせず耐えている。しかし、霞のおまんこからは否応なく愛液が滲み出て来る。茂君は起き上がっておまんこの体勢に移る。ずぶりんこん!とペニスをぶち込む。

「むむむむ」霞が呻く。それは異物の侵入に対する呻きであって、快楽の呻きではない。茂君は無抵抗の女体にピストン運動を始める。三千代さんは霞の耳に口を寄せて数々の質問を投げかける。茂君がイくまでに尋問を終えなければならない。しかし、霞は頑として口を割らない。

茂君に悪寒が走った。霞のおまんこが茂君のペニスを締め付け、緩めては締め付けて、茂君に早期射精を促しているのだ。黒人のサリーと妹の幸ちゃんに備わっている技として経験済みだったが、第三の女性がいたのだ。
「あーっ!サリーだ、サリーだ!」茂君が叫ぶ。
幸ちゃんにはそれがどういう意味か瞬時に分った。兄がそれに抗し切れないことも。
「おおお、ううう。駄目ーっ!」茂君はイってしまった。

三千代さんはがっかりした。
「三千代さん、ご免」と茂君が謝った。
「仕方ないわ」と事情を聞いた三千代さんが応える。「もう、テがないわ。困ったわね」
「三千代さん、あたしもう一度試してみる」と幸ちゃん。
「え?何を?」
幸ちゃんの手段はエロティックなものではなかった。大の字に縛られている霞の脇の下をくすぐることだった。霞の修練にはそんなへんてこな拷問に耐える方法は含まれていなかった。
「キャーッ!止めて!うははは、あははは!苦しい!グルジイ!止めてーっ!」霞は苦悶した。
「喋れば止める。喋らなければ、あんたを狂い死にさせる」と三千代さん。
「喋る。喋るから止めて!ぐはははは、ゲホゲホ」霞は降伏した。三千代さんも驚く幸ちゃんの機転だった。

三千代さんの連絡を受けた柳生劣堂がやって来た。三千代さんが知り得たことを報告する間に、劣堂は霞におまんこした。
「瘋魔一族は財政的危機を迎えており、各地で国宝や重要文化財を盗んで好事家に売り捌き、それで生き残りを図っている模様です」と三千代さん。
「忍者が泥棒に成り下がるとは痛ましいのう。しかし、この下忍、おまんこの使い方を心得ておる。泥棒をさせておくには惜しい」劣堂は腰を使いながら霞のまん術を査定している。
「どうだ。お主、わしの門に入らぬか?悪いようにはせん。泥棒などさせんぞ」と劣堂。
霞の目に涙が浮かんでいる。泥棒のために苦しい修業をして来たのではなかった。霞だって口惜しかったのだ。劣堂の優しい言葉が嬉しかった。
「どうだ。ん?」と劣堂。
霞は黙って頷いた。

劣堂が三千代さんと霞を伴って去りかけた。おばさんが飛んで来て、桐の箱を差し出す。
「奥さん、それは真っ赤な偽物じゃ。ただの囮じゃよ。本当の家宝は絶対安全な場所においてある」と劣堂。おばさんは呆気に取られてくたくたと座り込んでしまった。
「騙して済まなんだ、奥さん。その代りと云ってはなんだが、その張形は進呈いたそう。では御無礼つかまつる。わははは」劣堂は歩み去った。




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