6. ペニスの商人
「奥さん、このスポンジ・タワシは十も特許出願中のアイデア商品。この耳かきもハイテクの成果ですぜ。この歯ブラシもグット・デザイン。まだまだあります。どうです?どれか一つ」押し売りの男が玄関に店を広げている。渋い顔の、憎めない人相風体の中年男である。
「押し売りお断りの札が見えませんでした?」とおばさん。
「奥さん。あたしゃ押し売りじゃありませんよ。押し売りってのは『おれは網走を出たばかりなんだ』とか云ってお客さんを恐がらせて買わせるんでしょ?あたしは違います」と押し売り。
「網走帰りじゃないんですか?」とおばさん。
「あたしゃ千葉の刑…、おっとっと、余計なこと云わせないでよ、奥さん。これは押し売りじゃなくて、訪問販売って云うの」
「でも欲しいもの無いんですもん」とおばさん。
「このカミソリなんかどうです?御主人が喜びまっせ」と押し売り。
「あたし、主人亡くしてるんです」とおばさん。
「えーっ?その若さでお一人?そりゃ大変だ」男は行李の二段目を開けた。「じゃあ、これなんかどうです?これもいいし、こんなのもありまっせ」男は数点のディルドを取り出した。
「まあ!」おばさんは目を見開く。最新型のディルドばかり並んだ。穴に入れて振動させるうずらの卵大のバイブレーター、おまんことクリトリスを同時に刺激するディルド、おまんこと肛門を同時に刺激するもの、ペニスが電動でぐりぐり回転する真っ黒いものなど、おばさんが想像もしなかったものばかり。
「凄いんですねえ」おばさんが目を輝かす。
「凄いでしょう。これぞハイテクってもんでさあ」男はどれかは買って貰えると皮算用してにんまり。
「試してみていいかしら?」とおばさん。
「えっ?実際に使うんですか?」と押し売り。
「だって、本当にいいかどうか、使ってみなけりゃ分らないでしょ?」とおばさん。
「けどねえ。使う場所が場所ですからねえ」と押し売り。「洋服の試着は出来てもパンティの試着ってないでしょう」
「そうね。じゃ買わない。お帰り下さい」とおばさん。
「奥さん、そんな冷たいこと云わないで」
「あたし、ほんと云うと男に困ってないの。本物でやって貰えるから」
「奥さん、あっしも男ですがね、(うずらの卵を手に取り)これみたいに激しく珍々を振動させることは出来ません。また、(ぐりぐり回転ペニスを手にして)こんな具合に絶妙の角度で回転させることも不可能でさあ。こいつらは男の一物には出来ない技で、女性に特別のエクスタシーって奴を感じさせてくれるもんなんです。男に不自由してる、してないは関係ないんでさあ」
「でも、どれ一つ取っても数千円から数万円はするんでしょ?買ってから、自分に合わなかったってことになったら大損です。試せないんなら買いません」
「奥さん」と押し売り。「普通はうつむいてパッとどれかを引っ掴み、パッとお金を払う女性が多いんです。奥さんみたいな人は初めてだ」
「どうなんです?試せるんですか?」とおばさん。
「エイッ!しゃあない。試して下さい。ただし、使ったものは綺麗に熱湯消毒して返して下さいよ」
「もちろん」とおばさん。
おばさんは奥の部屋へ移動した。いくらなんでも玄関先でディルドを試すわけにはいかない。押し売りはいくつものディルドを両手に抱えておばさんについて行く。
おばさんは先ず、うずらの卵型バイブレーターを試した。これが一番安そうだったからだ。おばさんは裾を広げて卵をおまんこに挿入し、コントローラーのダイヤルを動かす。「ウィーン!」と音がし、卵がおまんこの中で振動を始める。
「あああ!」とおばさん。
「強さを変えてみて下さい」と押し売り。
「ええ」おばさんがコントローラーを強の方にする。卵がブウィーン!と唸っておまんこの中で暴れ始める。
「あうううっ!」
「ご免下さい!」玄関で声がする。
「何でしょ、こんな時に」おばさんはコントローラーを弱にし、着物の裾を合わせて出て行く。若いスーツ姿の男性が鞄を抱えて立っていた。
「お忙しいところを済みません。私、オレンジ生命から参りました」保険の勧誘である。
「保険でしたら間に合ってます」とおばさん。その時、おばさんは手にコントローラーを持っていることに気付いた。慌ててコントローラーを背中に隠そうとすると、ダイヤルに触ってしまい、うずらの卵が唸り出した。ブウィーン!
「な、なんですか、この音?」オレンジ生命の男が周囲を見廻す。どこで音がしているか分らないのだ。
「あ、蜂です。蜂!」おばさんはいもしない蜂を追うように手を振り回す。オレンジ生命の男の顔の周りで狂ったように手を振る。
「また来まーす!」男は恐れ戦いて飛び出して行った。
卵を摘出したおばさんは、今度は電動ぐりぐり回転型ディルドを手に取った。スイッチを入れると、角度のついたペニスが回転する。これなら膣内を隈なく掻き廻すようで、見るからに興奮させられる。一旦スイッチをオフにし、おばさんは再び裾を割ってディルドをおまんこに挿入する。これがこの中であんな風に動くのかと思うと、恐いようなわくわくするような思いで手が震える。先ず、弱で試す。ディルドがゆっくり回転する。悪くない。ディルドが長いので、Gスポットを通り越して奥の方を掻き廻している。おばさんは、ディルドを少し引き抜く。
「おおおっ!」Gスポットに当たった。おばさんはダイヤルを中ぐらいにする。
「わああっ!」ディルドがグウィーン!と唸り、かなり早い回転となる。おばさんはディルドを突っ込む。ディルドは膣の奥深くを掻き廻す。
「あぐぐぐうっ!」
「どうです?なかなかのもんでしょ?」と押し売り。
おばさんは声を出して返事出来ず、大きく頷く。
「ご免下さーい!」玄関で声がする。
「やあねえ、いいとこなのに」おばさんはスイッチをオフにして、コントローラーを押し売りに預け、玄関へ向かう。
「ちょ、ちょっと!」押し売りが慌てる。コントローラーはおばさんのおまんこに納まっているディルドとコードで繋がっているわけだから、コントローラーだけ預けられても困るのだ。仕方なく、コントローラーを持って押し売りもおばさんについて玄関へ出る。
「あら、町内会長さん」50代の丸顔で太り肉(じし)の御婦人が回覧板を持って立っていた。
「奥さん、こんにちは。あら、誰ですか、この方?」町内会長が不審な顔をする。
「あ、この方は押し売りです」
「訪問販売と云って下さいよ。聞こえが悪い」と押し売り。
「奥さん、ちょっと内々で相談があるんですの。今、いいかしら?」
「ええ、どうぞ」とおばさん。
「あなた、ちょっと外してくれません?」町内会長が押し売りに云う。
内密の相談を聞くわけにもいかないので、押し売りはコントローラーをおばさんに渡して家の中に戻る。
「あら、なんですの、それ?」と町内会長。
「いえ、何でもありません」おばさんはコントローラーを懐に入れる。その瞬間、襟口でダイヤルがすれて設定が強になってしまった。グウィーン!
「あはっ、あう」おばさんが思わず声を洩らす。
「奥さん、どうなすったの?」と町内会長。
「いえ、何でも…、うぐ、で、お話って…」おばさんが身体をよじる。
「実はね」町内会長が話し始めるが、おばさんは目を閉じて苦悶の表情。「奥さん、大丈夫?」
「あたし、死ぬ。あわわっ!」おばさんは白目を剥いて失神した。
「あなたっ!ちょっと来て!」と町内会長が押し売りを呼ぶ。押し売りが飛んで来る。「この方、具合が悪いみたい。寝かせましょう」
押し売りがおばさんを抱き抱えて茶の間に運び込む。
「救急車呼ばなくちゃ。電話はどこかしら」と町内会長。
「救急車なんか呼ばないで下さいよ」と押し売り。彼は横たわっているおばさんの着物の裾をまくる。
「あなた!何するのっ!失礼よ!」と町内会長。
押し売りはずんずんおばさんの下半身を曝け出す。真っ黒いディルドがおばさんのおまんこに突き刺さってグウィーンと唸っている。町内会長は、その光景にたまげる。押し売りはおばさんの懐からコントローラーを探し出し、スイッチを切りにする。そして、おまんこから湯気の立つディルドを引っ張り出して、町内会長に見せる。
「これが犯人でさあ」と押し売り。
「失神するほど凄いもんなの?」と町内会長。
「何なら試してみて下さい」と押し売り。
町内会長は押し売りに背を向けてパンティを脱ぎ、スカートで隠すようにしてディルドをおまんこに挿入する。押し売りがコントローラーを取り、弱にしたり強にしたりする。
「あわわっ!す、凄い!そ、そのスピードがいいわ。おおお!」
押し売りは下半身をはだけて失神しているおばさんを見た。年増の色っぽい女のあられもない姿に、押し売りのペニスはむくむくと起き上がる。ズボンとパンツを脱ぐ。押し売りは商売物の中からアナル用のバイブレーターを取り出し、おばさんの肛門に差し込んだ。押し売りはおばさんの両脚を広げ、おばさんに覆いかぶさって、まだびとびとに濡れているおまんこにペニスを挿入する。バイブレーターのスイッチをオンにする。押し売りはゆっくり腰を使う。
「えっ!」おばさんが正気に返る。「なに、あなた何してんの?何か変!なに、これ?」おばさんは得体の知れない振動に気味の悪い思いをする。
「アナル用のバイブレーターでさ」と押し売り。
「そうか。そうと分ると気持がいいわ。それはそうと…」
おばさんが傍らからコンドームの大箱を取り、一個を押し売りに渡す。押し売りはおまんこを中断してコンドームを装着する。
「あぐぐぐっ!」隣りで町内会長がよがっている。いまや、胸をはだけ、自分で自分のおっぱいを揉んでいる。そこへ茂君が帰って来た。茂君は町内会長が大股を広げて、自分のおっぱいを揉んでいる姿にびっくりした。茂君はズボンとブリーフをかなぐり捨て、町内会長のおまんこからディルドを引き抜くと、挨拶もしないで町内会長にのしかかってずぶずぶとおまんこを始めた。町内会長は最初押し売りがのしかかって来たのかと思い、抗議しようとした。ところが、それは顔馴染みの15歳の少年である。50代の町内会長は、実はこんな年代のほっそりした少年とやるのが夢だったが、法を冒して糾弾されるのが恐かった。しかし、こんな風にやられてしまうのなら問題無い。町内会長は口を尖らせた。キスを催促しているのだ。茂君は町内会長に顔を寄せてキスした。町内会長は茂君の腰に両足を掛け、ぐいっと茂君を自分に引き寄せた。茂君はディルドに負けないように激しい動きで町内会長の身体の奥を攻め始めた。
「あの黒いのおいくら?」とおばさん。
「買ってくれやすかい?」と押し売り。アナル・バイブレーターを強にする。「これとセットならお安くしまっせ」
「まあ、商売うまいわね、あなた」とおばさん。
「商人(あきんど)ですからね。おまんこもいいが、おまんまが第一でさあ」
「あなたのお珍々も見事。これもおまけにつけて」
「申し訳ない。これは売約済み」
「奥さんね?」
「へえ」
「奥さんに悪いけど、今日は使わせて貰うわ。やって!」
「顧客サービスなら女房も文句云えませんや。じゃ、失礼して」
押し売りはペニスをずぶりとおばさんのおまんこにぶち込む。
「あううう!」
おばさんの呻きと町内会長のよがり声が高まって行く。スイッチを切られずに放置された黒いディルドが、ウィーンウィーンと回転して女性二人の合唱に加わっていた。
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