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07. 卓二の純情

この日以後、おまんは毎夜父と兄に犯された。「やめてくれ」とおまんが頼んでも聞き入れられなかった。萬造は久し振りに復活した性生活に酔っていた。それも庄屋が多額の金と引き換えにやりたがった子供とのまんこである。自分は只でやれるのだ。やり出したらやめられなくなった。宗治にとっては精液の排泄に等しかった。妹を気持良くしてやろうなどとは思わない。妹の穴に突っ込んで射精する。それだけである。

貧しさゆえにろくな食事をしていないのだから、二人の男がこうも頻繁に発情するのは不思議であった。宗治などは昼食時に父親の見ている前でも妹を押し倒しておまんこした。おまんが12歳で、まだ初潮には間がある時期だったからよかった。生理がある身だったら、父子どちらの種とも知れぬ子供を身籠ってしまったろう。

父と兄に犯されている時、おまんは何も感じなかった。父はおまんに快感を与えようと努力してくれていたが、おまんの父への不信感が快感への扉を閉ざしていた。近親の性の道具にされているおまんの心は冷え込み、自閉的になって行った。おまんは愛に飢えていた。

ある日、おまんは井戸端で山羊の乳を搾っていた。兄がこの山羊とおまんこしていたとは驚きだった。男というものは人間だろうと動物だろうと何にでも摩羅を突っ込むものなのだろうか?たとえ嫌がるものであっても?おまんは、(いや、庄屋や父や兄が特別なのだ)と思おうとした。あの優しい卓二あんつぁは違うだろうと思った。卓二あんつぁは自分の嫌がることはしないと信じたかった。

そこへ当の卓二が現われた。おまんはぎょっとした。卓二のことを考えていたせいでもあり、この前卓二に会った時からすると、自分の身体が汚れてしまったようで恥ずかしいからでもあった。
「おまんちゃん!」卓二が明るく呼びかけた。
「ああ、卓二あんつぁ!」とおまん。
「何か元気ねえでねが?病気が?」卓二が心配する。
「ううん。何でもね」
「そっか。ええもの持って来たんだ。ほれ!」卓二が両手を突き出す。石板だった。「庄屋さあが千恵ちゃんに新しいの買って、こいづ(これ)ば投げた(捨てた)んだ。おめ(お前)にやる」
おまんの目に涙が浮かんだ。町の学校に通う子供が持っていた石板は憧れだった。使い古しであろうと自分の石板が出来たのは嬉しかった。それにもましておまんのことを気遣ってくれる卓二の優しさが嬉しかった。おまんは卓二に何のお返しも出来ないことが口惜しかった。

おまんは山羊の乳を離し、すっと立ち上がった。
「卓二あんつぁ。来てけろ」おまんは納屋の方へ歩いて行く。卓二はわけがわからず、ぽかんとしていたが、石板を地面に置いておまんの後を追った。
おまんは納屋の藁束置き場の前に立っていた。
「なして、こっだどごへ?」卓二が追いついて聞いた。
「卓二あんつぁ、お願(ねげ)えだ。おれば抱いてけろ」おまんが卓二の目を見据えて云う。
「?」卓二が驚く。
「あんつぁに優しぐ抱いて貰いでえだ。駄目が?」
「駄目ではねえ。駄目ではねえけんと…」卓二がもぞもぞする。
「おれのごど、嫌(きれ)えが?」おまんは悲しそうな顔をする。
「おまんちゃん、ほだな顔ばすんな。おれ、おまんちゃん好きだ。んでも、抱ぐなんて、テレ臭え」
「なあんだ」おまんは自ら卓二の胸に飛び込んだ。「抱いでけろ」
卓二はおまんの背に両手を廻し、そっと抱いた。
「いまっと(もっと)きづぐ」おまんが云う。
卓二は両手の輪を締め、おまんの身体を引寄せる。おまんの髪の甘い匂いが鼻を打つ。卓二はやや前傾しておまんの頬に自分の頬を寄せた。肌を擦り合わせる。おまんのすべすべの肌が心地よかった。

おまんはゆっくり顔を廻した。二人の唇が触れ合った。卓二はびっくりした。(そんなことしていいのか?)おまんは卓二の目をみつめ、無言で頷いた。(いいんだ)という合図であった。安心した卓二も微かに頷き、ゆっくりゆっくりと唇をおまんの顔に寄せた。卓二はおまんの鼻の先にちょんと口づけをした。それから頬。おまんは目を閉じた。卓二は静かにおまんの唇に自分の唇を押し当てた。そして、ぐっとおまんを抱き締めた。おまんは幸わせだった。

それ以来卓二は以前より頻繁におまんに会いに来るようになった。二人は手に手を取って納屋に赴いて抱き合った。おまんは優しく親切な卓二が好きだったし、彼に抱かれるのは嬉しかった。庄屋や父親、兄などに汚されている身体が綺麗になるような気がした。

卓二は相変わらず唇を押し当てる口づけしかしなかった。接吻というのはそういうものだと思っていた。異性と口を押し付け合うだけでも相当どきどきした。しかし、おまんには物足りなかった。おまんは、庄屋が自分にしたように舌を突き出し、卓二の唇を舐めた。卓二は驚いた。もっと卓二が驚いたことには、おまんの舌が自分の口の中に入って来たことだ。おまんの舌は卓二の舌を舐め廻した。卓二の脳味噌は初めての官能に痺れてしまった。卓二も舌を動かしておまんの舌を迎える。二人は舌を絡め合い、もつれさせた。二人の唾液が混ざり合った。卓二の摩羅が勃起した。

卓二は遊び仲間の男の子の一番ませた奴から、男と女の交わりがどういうものか聞いていた。口ぶりでは実際に性交を経験した風であったが、相手が誰かは絶対に云わなかった。彼の家は寡婦となった母親と出戻りの姉の三人だったから、そのどちらか、あるいは両方とやっているのかも知れなかった。そいつは卓二に自慰行為を実演して見せた。激しく摩羅を擦ると、摩羅は充血して勃起し長く太くなった。なおも摩羅を擦り続けると、突如「ぴゅぴゅーん!」と白い液体が飛び出した。卓二は驚異の眼差しで一部始終を見守っていた。卓二は自分も自慰を覚えた。

卓二と舌を絡め合っていたおまんは、お腹に固いものが当たるのを感じた。嫌でも性の経験者となっていたおまんにはそれが何なのかすぐ分った。卓二の摩羅が立ったのだ。他の男たちはいずれも屹立した摩羅を振り立てておまんに迫り、襲いかかって押し倒した。おまんの身体にはその記憶が植え付けられていたから、おまんの膣はじわっと自衛のための愛液を滲み出させた。

摩羅を勃起させた卓二は、それをおまんに気づかれるのを恐れた。独りで自慰に耽ることがいいことではないと思っていたので、大好きなおまんに嫌われたくないと思ったのだ。卓二はバッと抱擁を解いた。
「おれ、帰(けえ)る。又な、おまんちゃん」そう云うと卓二は駆け去って行った。

おまんは複雑な思いで取り残された。先ず、卓二が他の男たちとは違うことが嬉しかった。他の男たちはみな、ぎらぎらした目で挑みかかって来ておまんの身体を蹂躙した。卓二はそうしなかった。(やっぱり、卓二あんつぁはええ人だ)おまんはそう思った。一方で、おまんは失望も感じていた。(おれは、卓二あんつぁがやりだぐなるほどの女でねえのが?乳も出てねえがら駄目なのが?)しかし、それなら庄屋はなぜ自分を選んだのか?と、おまんは思った。ふくよかな身体をした女房もいるのに、12歳の自分を選んだのは何なのか?と、とつおいつ考えながら、おまんは無為に濡れたおまんこを腰巻きの上から擦った。

走って来た卓二は、念仏堂の前で立ち止まった。堂の周囲を一周し、誰もいないことを確かめると、古い念仏堂の裏手の木の壁に面して立った。ズボンのボタンを外し、勃起して出しにくい摩羅を引っ張り出す。卓二はおまんの可愛い顔を思い出しながら摩羅を擦った。おまんと絡めた舌の感触を反芻する。卓二は激しく摩羅を擦った。勃起した男根は充血して桃色になる。切ない思いがこみ上げて来る。(おまんちゃーん!)ぴゅぴゅぴゅーん!卓二は木の壁に向って精液をほとばしらせた。




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