[banner]

19. 最上川下り

「おれだぢ、犬に噛まれてばっかりだな」歩きながらおまんが云った。
「そろそろ舟さ乗るべ。舟の上だごんたら(舟の上なら)犬もいねべ」卓二が応えた。

午後遅く次の町へ着いた二人は、最上川沿いの船着き場を探した。
「あのー、船着き場はどっちゃだべ?」卓二が割烹着姿で歩いている小母さんに聞いた。
「ほご(そこ)のむずりかど(曲がり角)右だげんと、あんだら酒田さ行(え)ぐのが?下(くだ)りが?」小母さんが問い返す。
「んだっす、下りだっす」
「んだら、走っていがねば!今日最後の舟が出る頃だど!」小母さんがせかす。
「おしょうしな(ありがとう)!」卓二とおまんは駆け出す。
角を曲がると、確かに一艘の舟が舫(もや)ってある。遠目には一見小さな屋形船のように見えるが、実は客に水しぶきをかけないように、藁で編んだ屋根つきの囲いを乗っけただけの簡素なものだ。息せき切って駆けつけた二人は、船頭たちが慌てる風でもなくのんびり煙管をふかしているのを見て拍子抜けした。鳥打ち帽をかぶった中年男とねじり鉢巻の若い男が舟の舳先に腰掛けている。
「乗せてけろ」卓二が云う。
「おう!お客さんだど」鳥打ち帽の中年男が藁屋根の中に声を掛ける。
「どれどれ?」日焼けした坊主頭の初老の男が出て来た。これがこの舟の船頭のようである。
「たった二人、それもわらしだ」ねじり鉢巻の若い男が云う。
「ツイでねえな」と坊主頭。「おめだ(お前さん達)には悪いが、今日は舟は出ねえ。明日にしてけろ」
「なして?おらだぢ、ちゃんと舟賃払うがら!」とおまん。
「舟賃払ってくれでも、船頭は三人だど。たった二人の客じゃあ、引き合わねえ」と坊主頭。

「おれだぢ、今日中に酒田さ行きてえだ。母ちゃんが病気で死にそうなんだ!」と卓二。
「そらえらいごど(大変なこと)だ」と坊主頭。「すかす、おらだぢも慈善事業やってんではねえがらな」
「お願いするす!舟出してけらっしゃい!」おまんが頭を下げる。
「めんこい(可愛い)ねえちゃんよ」鳥打ち帽の中年男が云った。「こいづ(と若い男を指し)がねえちゃんぐれの歳のおぼごとぺっちょ(おまんこ)したんだと」
「助次、客にへづげだな(そんな下らない)ごどかだる(話す)んでね!」頭領の坊主頭が制止する。
「んでよ」鳥打ち帽が構わず続ける。「きづくてえれえ気持(きもぢ)えがったつんだ。ねえちゃんもやらしてくんねが?」
「ほげなす(馬鹿)!何云うだ!」と頭領。
「やらしてくれれば舟出さねえでもねえ」と鳥打ち帽。
「助次!おめ(お前)、いづからこの舟の船頭になっただ?勝手にそげなごど云うど承知しねえど!」頭領が怒鳴る。
「でもよ」と鳥打ち帽。「頭領だって羨ましそうな顔して、『あの世へ行ぐ前(めえ)に一遍でもそげなおぼごとやってみでえ』って云ってたべ」
「こだい(こんな)めんこいオナンコ(女の子)がやらしてくれるわげねえべ!阿呆!」と頭領。
「聞いでみねば、やらせっかやらせねが分(わが)んめえよ」と鳥打ち帽。「ねえちゃん、駄目が?」
「やだ。おれ、誰さともぺっちょなんかすねえ」とおまん。
「ほれみろ」と頭領。
「んだば、舟は出ねえぞ」と鳥打ち帽。
「ほだなごど云わねえで、舟出してけらっしゃい!後生だ!」おまんが頭領にすがる。

当時の舟はエンジンなどなかったから、自力では川を遡行出来なかった。陸上の人々が綱で舟を川上に引っ張り上げたのである。だから、川沿いにはそういう人々が踏みならした道が出来ていた。卓二がふと顔を上げると、その川沿いの道を駆けて来る二頭の馬が見えた。土埃を上げて走って来る馬に見覚えがあった。 「庄屋さあのんま(馬)だ!」卓二がおまんに囁く。
「ずほっ(嘘っ)!」とおまん。
「まぁんだ諦めてねがったんだな。うだで(しつこい)奴等(やづら)だ」と卓二。

「船頭さあ!」おまんが大声で云った。「おれ、ぺっちょさせっだ!だがら、舟出してけろ」
「えっ?」頭領も鳥打ち帽も驚く。
「早ぐ、舟ば出してけろ!」おまんが急き立てる。
「よし!」先ず、鳥打ち帽が立ち上がって舫(もやい)を解く。
「ほんてんか?」頭領がおまんに聞く。
「ほんてんだ!ちゃっちゃど(早く)してけろ!」おまんは近づいて来る馬を見ながら云う。
「よーし!」頭領も腰を上げる。ねじり鉢巻の若い男は既に竿を手にしている。
おまんと卓二は藁で出来た客室に姿を隠す。舟は静かに桟橋を離れた。

「おーい!船頭さん!」岸から、馬を引き止めて庄屋のところの若い衆が怒鳴る。
「なんだ!もう誰も乗せねえ。明日にしてけろ」と頭領。
「そげなごどではねえ。その舟にやろこ(男の子)とへなこ(女の子)が乗ってねえが?」
「乗ってたらどげんすっだ?」と云いつつ、頭領は舟を滑らす。
「村さ連れて帰(けえる)だ。いんなら(いるなら)舟を戻してけらっしゃい」と若い衆。
「いねえな。お客は年寄りばがりだ」と頭領。
「とにがぐ、舟を戻してけろ。中ば見せでけろ!」と若い衆。
「流れが急で、とても戻せねえだ。諦めでけろ」事実、舟は最上川の勢いで相当岸から遠ざかっていた。
「くそ!酒田で待ってるがらな!」庄屋のところの若い衆は、そう云うと連れを促して酒田の方を目指して馬で駆け去って行った。

最上川にはいくつもの難所がある。早瀬(急流)や、沢山の岩が水面に突き出た箇所などである。後尾に頭領が立って舵を取るが、危険物を竿で避けるために舳先の左右にねじり鉢巻の若い男と鳥打ち帽が二人立たねばならない。船頭たちはそれらの難所を越えるのに忙しかった。

「卓二さあ、済まねえ」おまんが卓二に謝る。また他の男におまんこさせなくてはならないからだ。
「ししょうない(仕方ない)。おれも辛えけんど、おめ(お前)も辛いべな」卓二はそっとおまんの肩を抱いた。
船着き場で庄屋の手先に捕まったら、これまでの苦労が水の泡になってしまう。連れ戻されて、おまんは蔵の中で庄屋に毎日犯されるのだ。二度と逃げないように厳しく監視もされるだろう。おまんを助けた卓二は、どこか遠くにやられてしまうかも知れない。どんなことをしても逃げなくてはならなかった。
「卓二さあ。舟の上なら犬もいねべと思ったけんど、舟の上でも犬に噛まれるだな」おまんが悲しそうに云った。

いつの間にか流れが緩やかになっていた。海に近くなり川幅が広がって、流れが穏やかになったのだ。もう難所はない。船頭たちは酒田の手前の対岸の、人気の無い渡船場に舟をつけた。卓二は藁囲いから表に出た。おまんが他の男に姦(や)られるのを見たくなかったからだ。
「んだば、頭領、お先にどんぞ!」と鳥打ち帽。
「おめ(お前)が云い出しっぺだ。おめ(お前)、先行げ」頭領が譲る。
「そうは行がね。ものには順序ってものがあるべや(あるでしょ)。な?」鳥打ち帽がねじり鉢巻の若い男に云う。
「んだ。おれだぢは後でええだ」とねじり鉢巻。
「ほうが。んだば…」頭領が藁囲いの中に入って行く。

藁囲いの中はしばらく静かだった。おまんが着物を脱ぎ、頭領が幼いおまんこを拝まして貰っているのだろう。
「あうっ!」おまんの唸り声。頭領がおまんの身体に摩羅を突き立てたのだ。
「おおお、こらええ。きづいの何の。極楽極楽」頭領の声。
ねじり鉢巻と鳥打ち帽は顔を見合わせ、肩をすくめて卑猥な笑みを交わした。スケベな鳥打ち帽は、藁囲いの入り口から中を覗き込む。頭領が小さな女の子を組み敷いて、白い尻をへこへこさせている。既に勃起していた鳥打ち帽の摩羅は、ズボンの中で苦しいまでに突っ張った。
「あああ!」おまんがよがる。おまんの身体は相手が誰でも快感を得るように発達してしまっていた。心を閉ざしても性器と身体が勝手に反応してしまうのだ。
「おお、ねえちゃん、おれはもう駄目だ。行ぐど!」頭領が腰の動きを早める。
「あうーっ!」とおまん。
「おおおーっ!」頭領がイった。
「うぐぐわーっ」おまんもイった。

ズボンを履きながら頭領が出て来た。
「おめ(お前)の云う通りだっただ。ええもんだあ!」頭領がねじり鉢巻の経験者に云った。
卓二は苛々していた。あまり時間を食うと、庄屋の馬に乗った連中が先に酒田に着いてしまうかも知れない。 「ちゃっちゃど(早く)してけろ」卓二は中に聞こえるように鳥打ち帽に行った。まだねじり鉢巻も残っている。
「おめ(お前)も来いとよ」中に入った鳥打ち帽が、外のねじり鉢巻に声を掛けた。
「おれも?」ねじり鉢巻が怪訝な顔で中に入る。
卓二と頭領が覗き込むと、全裸になったおまんが舟板の上に四つん這いになり、尻を突き出していた。鳥打ち帽には後ろからやれというわけだ。おまんはねじり鉢巻に摩羅を出して顔の前に来いと命じた。おまんはねじり鉢巻の摩羅を舐め出す。
「ひぇーっ!気持(きもぢ)いーっ!」とねじり鉢巻。
おまんは卓二の心配を理解し、早くコトを済ませて酒田に行くために、二人同時にイかそうとしているのだ。 鳥打ち帽は羨ましそうにねじり鉢巻を見やったが、彼の念願である少女とのおまんこに集中した。柔らかくむっちりとしたおまんの尻を撫で、勃起した摩羅で割れ目を突つく。頭領の精液が漏れ出て来る。鳥打ち帽はぐぐぐっと腰を押す。卓二と頭領は、思わず息を殺しながら、おまんの小さな身体に繋がる二人の男の性交を見守っていた。

「むがーっ」ねじり鉢巻の摩羅を口に含んだおまんが呻く。
鳥打ち帽は、幼いおまんこにスケベな中年男の摩羅を突っ込んでいることに興奮する。おまんの愛液と頭領の精液にまみれた摩羅を出し入れし、きついおまんこを味わう。ねじり鉢巻はおまんの巧みな舌の動きに翻弄され、もはや暴発寸前であった。ねじり鉢巻はおまんの頭を両手で抑えると、おまんの口を激しく犯す。 鳥打ち帽がおまんのおまんこを突く。ねじり鉢巻がおまんの口を突く。おまんは身体の前と後ろから船頭たちに身体を犯されている。
「がぶぶーっ!」おまんが声にならないよがり声を発する。
「あああーっ!」ねじり鉢巻がおまんの口中で射精した。
「むむーっ!」鳥打ち帽がおまんの体内で射精した。

船頭たちは酒田港の通常の渡船場ではなく、少し手前の桟橋で二人を下ろした。事情は分らないが二人が追われていることを察しての配慮であった。船頭たちは新たな快楽を与えてくれたおまんに感謝し、ぺこぺことお辞儀して別れを惜しんだ。




前頁目次次頁


Copyright © 2012 Satyl.net
E-mail: webmaster@satyl.net