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20. 多賀屋

おまんと卓二が米問屋の多賀屋を探し当て、巫女さんの手紙を届けたのはもう夕食時間を過ぎた頃だった。巫女さんの長女で多賀屋の若奥さま・志乃(32歳)は上品な和服がよく似合うすらりとした体型の、美しく優しい女性だった。
「まあ!うちの母ちゃんは厳しくて滅多に人を誉めない人だげんと、おめだ(お前さん達)のごどばすんごく誉めでる。よっぽどええごどしたんだなあ!」志乃が云った。
卓二は赤くなった。おまんは俯きながら笑いを噛み殺した。
「おめだ(お前さん達)に御馳走(ごっつぉう)しろて書いてあるげんと、今日はもう晩御飯(ばんごはん)済んじまったさげ、あしただな。今日はありあわせのもん食ってけろ。すぐ支度させるがらな」と志乃。
「あのー」とおまん。
「?」立ち上がりかけた志乃が中腰になる。
「御馳走(ごっつぉう)は要らねっす。それより、おれだぢを奉公させで貰いでっす」
「奉公?」志乃が座り直す。
「ねっづぐ(一生懸命)働ぐっす。給料など要らねっす。寝るどごあって、まんま食わして貰えるだげでええんだっす」おまんが両手をついて頼む。
「おれだぢ、村ば捨てて来たさげ、どごも行ぐどご無(ね)えんだっす。どうが奉公させてけらっしゃい!」卓二も両手をついて頭を下げる。
「村ば捨てて来たって、その歳でまさが駆け落ちでもあるめえし…」志乃が苦笑する。
「…」卓二もおまんも黙っている。
「?」志乃が二人の顔を覗き込む。「駆け落ち?そん歳で?」呆れ顔の志乃。

「おれだぢ、むがさり(結婚)するって約束したんでがっす。もぢろん、先の話だけんど」と卓二。
志乃がおまんの顔を見る。おまんは頷く。
「とごろが、これの家がかず焼けで(火事になって)親もあんつぁも焼け死んで、こいづは孤児(みなしご)になってしまったっす」
「んまあ」志乃が薄幸の少女を痛ましそうに見る。
「地主がこれを引き取ってくれるごどになっただげんど…」
「それはいがったでねえが?」と志乃。
「とんでもねえっす。地主はお神さんも妾もいるってのに、これとぺっちょするために引き取る腹だったんだっす」
「ほだな!この子はまぁんだ…」志乃がおまんの身体を上から下まで見る。
「乳も出てねえわらしだっす」と卓二。
「毛も生(へ)えでねえっす」おまんも云う。
「なして、地主はお前と?」と志乃。
「わらしのぺっちょはきづくて気持(きもぢ)ええって云ってだだっす」とおまん。
「そげな無茶苦茶な!人間でねえな、その地主は!」志乃が顔を真っ赤にする。
「このあんつぁには逃げる理由(わげ)ねがったども、おれ、頼んで来て貰ったっす」とおまん。
「地主の手先が酒田までおかげで(追いかけて)来てるっす」と卓二。「おれだちが町をふらふら歩いでだら、すぐ見つかってしまうでがんす」
「村さ帰(けえ)されだら、えれえ叩かれるべな」おまんが震える。
「そげなもんでねえべ。焼け火箸あてられっかもしんにぇな(知れないな)」と卓二。
「わがた」キッパリと志乃が云った。「おれがあした大奥様に話(はなし)すっだ。おめだ(お前さん達)がこごさいられるように頼んでみる」
「ほんてんだっすか?」おまんの顔がパッと明るくなる。
「ありがどさまっす!」と卓二。
「とにかく、まま(御飯)ば、け(食え)。用意させっがら」志乃が出て行った。

「卓二さあ、よがったな。若奥さま、ええ人だな」とおまん。
「ああ。このえ(家)に厄介んなって閉じこもってれば、庄屋も諦めるべ」と卓二。
夕食にありついた二人は女中に布団部屋に案内され、満腹と安心感とですぐぐーすか眠ってしまった。

翌朝、志乃が布団部屋に二人を起しに来た。布団は畳んであり、部屋は空だった。志乃が女中たちに聞くと、男の子は箒を借りて店の前を掃きに行き、女の子は雑巾を借りて店の廊下を拭いていると云う。志乃には信じられなかったが、本当に子供たちは懸命に働いていた。この店に置いて貰いたい一心なのだ。志乃は、母の褒め言葉は大袈裟ではなかったと思った。夫・梅太郎(38歳)や姑・松(56歳)に二人のことを頼み込むいい材料が見つかって嬉しかった。

志乃の口添えで、おまんと卓二は多賀屋の下働きとして住み込めることになった。ただ、二人が友達以上の関係であることは誰にも知られないようにと、志乃は二人に釘を刺した。奉公人同士が奉公先でいちゃいちゃすることは御法度で、どちらかが追放されるのが習わしだったからだ。おまんと卓二はがっかりした。確かに、奉公人同士が主人や同輩の前で抱き合ったり手を握り合ったりするのはまずいだろう。おまんこするなどは論外である。しかし、将来夫婦になると誓い合った二人がよそよそしく振る舞うなどということは出来ない相談だった。
「つまらねえ!」おまんが憤慨した。
「それが決まりださげの。我慢せななんね」と志乃。「でも、時々おれが二人ば一緒に使いに出してやるさげ、そん時は外で仲良くすればええ」
「いがった!毎日使いに出して貰いでっす」おまんが欲張ったことを云う。
「そうもいがねべけんと…」志乃が苦笑する。

梅太郎と志乃夫婦には一人娘・多代(12歳)がいた。多代は娘盛りになれば酒田美人ともてはやされることが保証されているような、整った顔立ちをしていた。細くつんと尖った鼻、大きな目、肉感的な厚い唇。裕福な家の我が儘娘であることは、人を恐れぬ目つき、常にもの云いたげな口の端に現れていた。奉公人を意のままに扱おうとする多代は、男女全ての奉公人たちから恐れられていた。好色な父親の血を受け継いでいるらしく、幼くして性的放縦さも身につけていた。数ヶ月前、多代は丁稚の一人を土蔵の中で誘惑し、その時処女を喪失した。その丁稚は早漏気味で、多代を全くイかせてくれなかった。多代はその丁稚に関してあることないこと難癖をつけ、父親に解雇させていた。その多代が卓二に目を付けた。

多代は卓二を家宝などが積んである土蔵に誘い込んだ。
「卓どん」と多代。「おめ(お前)とおまんはどういう仲なんだ?」
「んー、おんなす(同じ)村の出っちゅうだげだっす」と卓二。
「おめだ(お前さん達)、ええ仲ではねえのが?」
「そ、そげな!」
「抱ぎ合ったりぺっちょしたりする仲ではねえのが?」多代が畳み掛ける。
「とんでもねえっす!」と云いつつ、卓二は血が引く思いをする。
「ほんて(本当)?」
「ほんてんだっす」
「んだら、おめ(お前)がよそのへなこ(女の子)といちゃいちゃしても問題(もんでえ)ねえだな?」
「…」卓二にはこの会話の行く先が見えない。

多代は着物の裾をまくり上げ、白い太股を露出させた。卓二はぐっと生唾を飲んだ。多代は着物をさらに大きく開き、毛のないおまんこを曝け出した。
「舐めでけろ」と多代。
「ほだなごどっ!お多代様にそげなごど出来ねっす!」卓二が言葉を振り絞る。「ほだなごどすっと、店ば追ん出されるっす。堪忍してけらっしゃい」
「おめ(お前)、おれのぺっちょが汚くて舐められねえっつのが?」と多代。
「そ、そげなごどねっす。お多代様のぺっちょは、とでもうづぐすい(綺麗)だ。だげんと、おれにはほんてん出来ねっす!」
「舐めねえと、どだいなごどになるが、知ってるだが?」
「?」
「おれは、おめ(お前)がおれば犯そうとしたってお父(ど)さまに云うだじぇ」
「そげなっ!」
「おめ(お前)は店ばぼだされるべな(追い出されるだろうな)。ええのが?」多代が迫る。
「この通りだっす。許してけらっしゃい!」卓二が土下座して頼む。
「舐めるか、ぼだされる(追い出される)か、どっちゃ?」
卓二は窮地に陥った。選択の余地はなかった。

多代は手近の鎧櫃(よろいびつ)の上に浅く腰をかけ、おまんこを突き出した。卓二は涙を浮かべた顔を多代のおまんこに近づけた。卓二は多代の太股を両手で押し開く。白くぷっくらと盛り上がった恥丘と深い割れ目が目に眩しい。卓二は両手で割れ目を開く。おまんと同じ桜色のびらびらした粘膜が曝け出された。さらに開くと、ぽっかりと膣口が開き、洞窟の中に桜色の複雑な襞々が連なっている。その襞々が男の摩羅に吸い付いて快楽をもたらしてくれるのだ。卓二はごくりと生唾を飲んだ。多代は卓二の表情をじっと窺っていたが、卓二の自分のおまんこを賛嘆する様子に満足した。
「見んのはふだふだ(充分)だべ。早ぐ舐めでけろ」多代が急かす。
卓二は舌を突き出して先ずおまんこ全体をぺろぺろ舐めた。そして、やおら尿道口から陰核にかけて舐め上げる。
「ううう」多代が呻く。
卓二は膣口を舐めたかと思うと、陰核を舐め、多代を翻弄した。次第に膣口から愛液が滴って来る。卓二は指二本を穴に突っ込む。
「ぐぐむむ!」多代がのけぞる。
卓二は膣の中で指を上向きにし、恥丘の裏側を撫でる。
「うぎゃああ!」多代が快楽に悶える。
卓二は舌による陰核刺激を最速にし、膣の中を指で掻き回す。
「あぐわーっ!」多代がイった。

「卓どん」身仕舞いを直した多代が云う。「おめ(お前)、巧(うめ)えだな。ぺっちょもしねえで、おればイがせるなんて…」
「お多代様、お願えっす」卓二が必死に云う。「これっきりにしてけらっしゃい。もうやらせねでけらっしゃい」
「わがた。舐めで貰うのはこれきりにすべ」
「ありがどさまっす」卓二がほっとする。
「こん次はぺっちょしてけろ」と多代。
「えーっ?」卓二は青ざめ、鳥肌を立てた。一難去って又一難!




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