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46. 少女売春

おまんが多賀屋の近くでよく見掛ける少女がいた。おまんの数歳年下で、いつも赤ん坊を背負っている。子守り奉公の少女に違いなかった。自分も子守り奉公をしたことのあるおまんは、その子に親しみを覚えていたが、別に話しかけるほどのこともなかった。ある日、その子が赤ん坊を背負いながら口に何かくわえて妙なる音を奏でているのに出くわした。
「ええ音だな。それ何つうもんだ?」とおまん。
「ハモニカつうもんだす。ええ音だべ」と少女。
「おめ、どごさ奉公してるだ?」
「おれ、あそごの加賀美屋の奉公人だす」加賀美屋は大きな造り酒屋である。
「どっから来ただ?」
「山里村がらだっす」
「へえ?おれは山中村だ。山里村の山一つ向こうだ」とおまん。
「ほんてんが!」少女が目を輝かす。
「ほんてんだ。仲良くすべ、な?おめ、何て名だ?」
「おしんだす」おしんはやや下ぶくれした輪郭に大きな目、大きな口、赤い頬っぺたをした可愛い少女である。
「おれの名はおまん。おれ、お使いの途中ださげ、また今度かだる(話す)べ」
「行ってらっしゃいっす」

その後、二人は出会うと身の上話を交換するようになった。おまんはおしんにお菓子を食べさせたりした。おしんもおまんと同じ小作の貧しい家に生まれ育っていた。
「おれ百姓はやんだ(嫌だ)。貧乏がら抜け出せねし、米作っても米はけね(食えない)でだいご(大根)飯だげだし…」とおしん。
「おれもだ」おまんが頷く。
「おれ、金溜めで商人(あきんど)になるす。加賀美屋や多賀屋みでな」
「おれも商人(あきんど)がええど思うだ。けんど、奉公しでだら、じぇねこ(銭)溜まるめ」
「溜まるだ。姉ちゃん、おらだぢ二人の秘密守れっか?」とおしん。
「秘密?どげなこんだ?」とおまん。
「おれ、旦那様とぺっちょしてるだ」
「えーっ?おめ、ずっさい(10歳)だべ?」おまんが驚く。「早過ぎんでねが?」
「旦那様は、おれのぺっちょがきづくてええつって、じぇねこ(銭)くれるだ。一回10銭」当時と現在で貨幣価値を換算するのは難しいのだが、10銭は1,000円前後と考えてよい。
「おめ、ぺっちょしてじぇねこ(銭)貰ってんのがっ!」
「姉ちゃんは旦那とやってねえのが?」とおしん。
「やってるげんと、じぇねこ(銭)は貰わね」
「タダが?勿体ねえ!」おしんは信じられないという顔をする。
「おしん、おめ、多賀屋に移らねが?多賀屋の旦那様もオナンコ(女の子)が好きだなだ」
「タダでぺっちょするなんて嫌(や)なこんだ。加賀美屋にいてじぇねこ(銭)溜めるだ」おしんは決然と云った。

ある日、梅太郎とおまんこした後、おまんはおしんのことを梅太郎に話した。
「ずっさい(10歳)?10歳でぺっちょしてるのが?」梅太郎が興奮した。「ずーにさい(12歳)よりいまっと(もっと)きづいぺっちょだべなあ。おまん、そのわらしと何とかやれねべが?」
「旦那様(おまんはまだ梅太郎を旦那様と呼んでいた)、一回10銭出さねばなんねっす」とおまん。
「わらしに10銭は高えが、ししょない(しょうがない)、出すべ。今度(こんだ)、連れて来(こ)」

おまんの仲介で梅太郎がおしんとやる日が決まり、いよいよその日となった。おまんは裏木戸を開けて、密かにおしんを引き入れた。おまんは、おしんから赤ん坊と寝んねこ半纏を引き継いだ。
「おまん姉ちゃん、大丈夫(でえじょぶ)が?」おしんが心配する。
「おれも、こもりこ(子守り)奉公したごどあんだ。任せどげって」とおまん。
おまんは梅太郎が待っている土蔵におしんを送り届け、赤ん坊を背負って裏木戸から出て行った。

梅太郎は土蔵の中にこたつ布団などを敷き、そわそわして待っていた。そこへちいちゃな子供が現れた。梅太郎の身長の半分しかない。おまんや多代は梅太郎の胸までは届いたから、おしんは想像以上に小さかった。
「おめがおしんが?」と梅太郎。おまんより二歳若いだけだが、予想以上に幼い。「おめ、ほんてんずっさい(10歳)が?」
おしんが何か紙切れを取り出し、梅太郎に差し出す。
「ん?何だ?」梅太郎が紙切れを広げるとそれは戸籍抄本で、間違いなくおしんは生後10歳であった。「おめ、こだな(こんな)もの持ち歩いでるのが?」
「おれの歳、知りだがる人、多いさげ」とおしん。
梅太郎はこのおしんの言葉をちゃんと理解しなかった。梅太郎はおしんを軽々と抱き上げると、10歳の口に接吻した。おしんは全く受け身で自分からは舌を交えて来なかった。梅太郎は、加賀美屋の主人がおしんに舌技も仕込んでいる筈だと確信していたので、いささかがっかりした。要するに、何も知らない子供に過ぎないのかと思った。梅太郎に抱きかかえられたおしんが、梅太郎の肩をとんとんと叩いた。「ん?」と梅太郎がおしんを見返すと、手の平を上に向けて差し出した。梅太郎はきょとんとした。
「じぇねこ(銭)」とおしんが云った。
「おお!」梅太郎はびっくりした。10歳にして早くも女郎のようにしっかりしている。梅太郎はおしんを下ろし、懐から財布を取り出して、10銭渡した。おしんはその10銭を自分の蝦蟇口に納め、梅太郎の着物の裾を引っ張る。梅太郎がしゃがむと、おしんは背伸びするようにして梅太郎の口に吸い付き、自分から舌を差し込んで来た。38歳と10歳の舌が絡み合った。梅太郎は悟った。この子には金が全てなのだ…と。

おしんは小さな手で梅太郎の胸を押し、梅太郎を布団の上に仰向けにした。梅太郎が訝っていると、おしんは着物と腰巻きの裾をからげ、下半身だけ剥き出しにして梅太郎に跨がって来た。
「濡れるまで舐(ね)ぶってけろ」とおしん。おまんこが梅太郎の口の前に来るように調節する。
「ま、待て!どういうこんだ?おめ、裸にならねのが?」と梅太郎。
「おら、乳(ちぢ)も膨れでねし、けっつ(尻)も出てね。裸になってもししょねえべ(仕方がないだろ)?」もうおしんは梅太郎に対して敬語を使っていない。「おまん姉ちゃんと、そう変わらね」
「ほんでも、おれはおめの裸見てえだ。乳首ちょしたり(触ったり)、ぺっちょ舐(ね)ぶったりしてえ!」と梅太郎。
「着物脱いだり着たり、ちょしたり(触ったり)舐(ね)ぶったりすっと時間かかる。10銭では合わねえ」
「なんぼなら脱ぐだ?」
「50銭だ」とおしん。
「たげーんでねが(高いじゃないか)!」
「んだがら(だから)、これでええだ。早ぐ舐(ね)ぶってけろ」おしんが催促する。

仕方なく梅太郎がおしんの割れ目を舐め出す。おしんは着物の裾を肘に挟み、両手で割れ目を開き粘膜を露出する。梅太郎はおまんこをしゃぶりながら、10銭以上に楽しもうと手を伸ばしておしんの尻を撫で廻す。
「ううう」おしんは自ら陰核を刺激し、早く愛液を出そうとする。「えがべ」しばらくしておしんが云い、梅太郎の足元に廻って着物をまくり上げる。褌(ふんどし)の横から勃起した摩羅を取り出し、その上に跨がる。全ておしんが主導権を握って遂行する気なのだ。梅太郎は最大限に首を曲げて、摩羅がおまんこにめり込む瞬間を見ようとする。おしんは片手で摩羅を垂直に立て、おまんこを近づける。何度か挿入に失敗したが、ついに亀頭先端が膣口に入った。梅太郎がごくりと唾を飲む。10歳のおまんこに突入するのだ。初体験である。首がくたびれるが、見ないではいられない。おしんは顎を上げ、目をつぶっておまんこに集中している。おしんが腰を落とす。きついので摩羅が斜めに逸れる。おしんが手で摩羅の角度を修正する。再度、亀頭先端を膣口に当てる。おしんが腰を下げる。じわっと亀頭がめり込む。(いよいよだっ!)梅太郎は首が痛くなって、もう見ていられず完全に横たわた。おしんが腰を揺らしながら、摩羅をドリルに見立てて腰を落として行く。梅太郎の摩羅は次第に摩羅がきつく温かく濡れた肉に包まれて行く。おしんがぐいと腰を落とす。ずぼっ!という感じで、梅太郎の摩羅はおしんの体内に埋まった。

おしんはしゃがんだ格好で、梅太郎の胸に手を置いて膝を屈伸させた。これはくたびれるが、摩羅が抜ける恐れが少ない。膝をついての前後運動だと摩羅が抜けやすい。おしんは10歳にしてその辺のコツを既に会得しているのだ。おしんは摩羅を浅い角度で出し入れした。摩羅の性感帯は主に亀頭と先端下部であり、深く出し入れするより浅い方が男性は興奮する。これもおしんが習得した知恵である。おしんは規則正しく上下運動を続ける。これも男の興奮を高めた。梅太郎はたかが10歳の小娘に翻弄され、早くも切羽詰まって来た。この小娘に早漏とは思われたくない。「多賀屋の旦那は早漏だ」などと言い触らされたら面目丸つぶれだ。

梅太郎が射精を遅らせようともがき苦しんでいると、おしんは新たな攻撃を仕掛けて来た。おまんこを締めたり緩めたりし始めたのだ。それは並の女郎が人気ベスト10入り出来るような秘術であった。
「あっ、あっ、あーんっ!」梅太郎は子供のような情けない声を出してイってしまった。
おしんは、梅太郎が荒い息をしている間は摩羅をおまんこに納めて静かに上下運動を続けていたが、梅太郎の呼吸が収まるとすぐ梅太郎の身体から下りて交わりを解いてしまった。周囲をちらちら見回していたが、土蔵の中に懐紙など置いてないことを悟ると、おまんこから漏れ出る梅太郎の精液を手の平で受け止め、梅太郎の裸の下腹部になすりつけた。梅太郎はてんで馬鹿にされている。

「おしん!」梅太郎が去りかけるおしんの手を掴む。「来週の木曜日にまた来(こ)。こんだ、50銭やっから、おれば上にしてけろ」梅太郎はおしんを裸にし、なおかつ名誉挽回を図るつもりなのだ。
「悪(わり)いげんと、来週は東京のお役人の接待があって忙しいだっす」とおしん。
「加賀美屋の旦那は接待で忙しいがも知れねが、こもりこ(子守り)のおめは忙しくねべ」
「おれが接待するす。旦那様ではねぐ」
「何だと?」梅太郎には飲み込めない。
「芸者の接待で満足出来ねぐなった役人に、おれば抱かせるだ。そん時はおれも裸になるし、お役人の“だんべ”(摩羅)も舐(ね)ぶるだ。一回一円貰えるがら、おれも頑張んねど…」
「一円!」換算すると現在の1万円に当たる。10歳の子供に一円は大金である。しかし、おしんが愛想よく大サービスするとしたら、安いものだ。芸者遊びに厭きた東京の役人にとって、子供とおまんこするというのは目先の変わった魅力的な接待であろう。金銭の授受はないから贈収賄の証拠も残らない。加賀美屋も考えたものである。
「んだば、そん次の週だ。きっと来(こ)!」と梅太郎。
「へえ」おしんは去った。何を隠そう、このおしんとは大正、昭和にかけて赤線や青線などのセックス産業界にその人ありと謳われた山村しんの少女時代の姿だったのである。




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