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52. 亀の甲より年の功

多代はぷりぷりしていた。“筆下ろし”が母親・志乃の担当になったのは仕方なかった。問題はその後だ。あれほどあからさまに自分に惹かれた様子を見せておきながら、清蔵は全然自分のところへ来てくれない。それとなく聞いて廻ると、清蔵は折り紙付きの“三擦り半”で、おまん相手に特訓の真っ最中だという。特訓とは云え、おまんこしてるに違いない…と多代は思った。腹が立った。

廊下を歩いていた清蔵の前に、突如多代が立ち塞がって行く手を阻んだ。多代は清蔵を自室に引っ張り込むと、清蔵を睨むように見上げた。
「清さん。おめ(お前)さん、おれのごどどう思ってるだ?聞かせでけろ!」と多代。
「ど、どうって…。おれ、好きだっす。お多代ちゃん好きだず」と清蔵。
「好きなら、なしておれのどごさ来てくれねえんだ?」
「これにはわけがあるだ。すこす(少し)の間待ってけろ」
「早漏の特訓が?」と多代。
「し、知ってんのがっ!」清蔵が驚く。
「おめ(お前)さん、おまんに惚れてるのが?」
「とんでもねえ!おまんは義妹(いもうと)だし、卓どんの嫁さんだ。惚れでもしゃーね(仕方ない)」
「んだら、おれに特訓手伝わせでけろ。おまんでねぐてもええべ?」
「お多代ちゃん、堪(こら)えでけろ。おれに恥かがせねでけろ」清蔵が懇願する。
「そげにみっともねえごどなのが?」と多代。
「んだ。お多代ちゃんに見せだぐねえ。うまぐ出来るようになったら、真っ直ぐお多代ちゃんとごさ行ぐだ。待っててけろ。頼むさげ」
「おれは何の役にも立だねのが…」多代がしくしくと泣く。
「お多代ちゃん!」清蔵が多代の両肩に手をかける。
多代が清蔵の懐に飛び込む。清蔵がぎゅっと多代を抱き締める。しばらくの間、二人はお互いの胸の上り下がりを感じながら抱き合っていた。多代が首を上げ、清蔵の目と唇を見ながら自分の上下の唇を舐めた。接吻してくれという誘いである。清蔵も微かに唇を舐め、多代に接吻した。大胆な多代がぬめぬめと舌を差し込んで来る。清蔵は美しい少女の奔放な性技にたじたじとなったが、多代の舌を口で吸い取るように絞り上げて対抗した。
「うがが」多代が痛みを感じて逃げようとする。
清蔵は多代の舌を解放し、優しく舐め廻す。二人は舌を舐め合って幸福感に酔う。

「お多代ちゃん」しばらくして清蔵が云った。「世間では男がへな(女)の手を握るまで一月(ひとづぎ)とか、肩抱くまでに三月(みつき)とか云うだ」
「ふーん?」と多代。
「おれ、お多代ちゃんと口きいだど思ったらこげに接吻出来るなんて、ほんてん幸せだ」
「ぺっちょだってやらせるだじぇ」と多代。
「おれもやりてえ!早漏が怨めしいっ!」
「おれ、あと何日待ったらええ?三日が?四日が?」
「分(わが)んねえが、なるべく早ぐ直すだ。待ってでけろ」
「清さん」多代が清蔵の目を見つめながら云う。「おれ、ほがのおどご(男)ともやっけど、ほんてん好きなのはおめ(お前)さんだ。忘れねでけろ」
「お多代ちゃん、おれもおんなす(同じ)だ。ほがのへな(女)ともやっけど惚れてんのはお多代ちゃん一人だ。覚えておいでけろ」
二人はしっかり抱き合い、後髪引かれる思いで別れた。

その夜、清蔵は松の部屋を訪れた。
「清どん、もう早漏は治ったのが?」誰もが清蔵の早漏を知っている。
「大奥様、まぁんだでがんす。おれはへな(女)に慣れでねえがら、興奮し過ぎるみでえだって云われでるっす」と清蔵。
「そら一理あるな。んで、おれどやりてえのが?」
「早漏で申し訳ねえですけんど、慣れるためにやらして貰いでっす」
「ああ。こげなあば(婆あ)の身体でええなら、いぐらでも使ってけろ。おめさんみでな若え衆(わげえし)に注射して貰えば、おれも若返るさげのう」松が灯りを消す。垂れた乳房や脂肪の溜まった下腹を見せない方策だ。松が暗闇の中でしゅるしゅると音を立てて寝間着を脱ぐ。清蔵も真っ裸になった。
二人は布団の上に並んで横になった。清蔵が松の身体を撫でる。乳房を揉み、乳首を弄くる。三人の子供を育てた乳首は大きく固い。清蔵は乳房の一つにかぶりつき、ちゅうちゅうと吸う。
「おお、ええ気持(きもぢ)だごど」と松。
おっぱいをしゃぶりながら、清蔵は松の陰部に手を伸ばす。じゃりじゃりと濃い陰毛の薮を掻き分け、陰核を刺激する。
「おー、おめさん、巧(うめ)えな!」松が誉める。
清蔵は男先生から習ったように、繊細に陰核を撫で、時々じわーっと押す。
「ええ、ええーっ!」松がよがる。
清蔵は膣口の具合を見て、愛液が漏れ出て来たのを感じるとすかさず指を挿入して恥骨裏の急所(Gスポット)を探る。
「ひいーっ!」松が電気ショックを受けたように身体を硬直させる。「せ、清どん!おめさん、早漏のくせにやげにじょんだ(上手だ)な!誰に習っただ?」
清蔵は正直に男先生の指導であることを告げる。
「ふーん?あのしぇんしぇ(先生)、ぺっちょの指導もすんのが?知らねがった」と松。

清蔵がなおも愛撫や前戯をつづけようとすると、松が止めた。
「おめさんのを入れてけろ」と松。
「今入れだら、大奥様ばイがせらんねっす」と清蔵。
「気にすんでね。とにかく突っ込め」
清蔵はあまり乗り気でなかったが、仕方なく亀頭を松の膣口に当て、ずぶずぶと入れる。
「おおおーっ、親譲りででげえなっ!」松が賛嘆する。
「大奥様のぺっちょ、ええ気持(きもぢ)だっす」と清蔵。
「動かすでねえぞ!じっとしてろ。このままで、ちょぺっと(少し)話しでもすべ」
「?」清蔵にはわけが分らない。
「清どん。これも立派なぺっちょだなだ」と松。「おれがひーひー云ってよがらねでも、おめさんが“ずろ”(精液)出さねでも、こうやっておどご(男)とへな(女)が交わってれば、これも立派なぺっちょだがんな。覚えとげ」
「へえ」
「おめさんの早漏は何分ぐれだ?」
「今は五分ぐれだっす」
「ふーん?おめさん、摩羅が立つようになって何年になるだ?」と松。
「んー、三年ぐれだっす」清蔵が思い出しながら云う。
「んだば、その三年間、『へな(女)とやりで』、『ぺっちょしてえ』と思ってただべな?」
「へえ、毎日毎晩そう思ってたでがんす」
「へな(女)抱ぐと『これがへなだ!』、『へな抱いてんだ!』と思うんでねえが?」と松。
「んだす。もう嬉しぐて!」と清蔵。
「清どん。それも早漏の原因かもしんにぇねど(知れないぞ)?」
「えっ?」清蔵が驚く。

「おめにとってへな(女)は月がら来たか火星がら来たみでに思えるだかす(知)んねが、おどご(男)もへな(女)もおんなす(同じ)人間なんだ」と松。「もどもど、おどごの身体は獣掴まえだり家作ったりするために逞しく、へなの身体は子供生んで育てるように便利に出来てるだけのこんだ」
「…」
「へな抱いて『へなだ!』、『へなだ!』と興奮するほどのもんではねえ」
「…」
「そら、へなは毎日(めえにぢ)湯(風呂)さ入(へえ)って身体清潔にして、化粧もするし、きしぇ(綺麗)なべべ着て男ば惹き付けようとすっだ。だけんど、水差すようで悪(わり)いが、へなだって人間だがらしょんべんもするし、ばっこ(うんこ)もする、屁だってひるだじぇ」
「屁も!」
「んだ。もぢろん、人前ではしねえげんと。んだがら(だから)、『へなだ!』、『へなだ!』とかっぽごる(騒ぐ)ほどのこんではねえ」
「へーえ?」
「それがら、おめさんには『へなばイがそう』、『へなばイがそう』つう強迫観念みでなものねえが?」
「えっ?」
「『へなばイがそう』と思うと、きもむ(焦る)もんだ。“だんべ”(摩羅)ば激しく動かそうとするべ」と松。
「んだっす」と清蔵。
「それが考(かんげ)え違えだっつうだ。天国さ行がして貰えれば云うごどはねえ。けんど、へなは身体撫でられてめんこがって貰えれば、それだげで嬉しいもんなんだ。おどごが“だんべ”おっ立ててくれれば『あ、このおどごはおれとやりだがってる。おればめんこいと思ってるだな』つって、もっと嬉しいだ」
「…」
「イがすごど考(かんげ)える前(めえ)に、相手の女ばめんこがるだ。急所攻めるのも大事(でえじ)だが、気持(きもぢ)が通じればへなもちゃっちゃど(早く)燃え上がるもんだじぇ」
「よーぐわがったっす」と清蔵。

「もう何分経ったべ?」と松。
「計ってねえだども、もう十分以上経ったと思うでがんす」と清蔵。
清蔵が松に接吻する。松は激しく舌を出し、清蔵の口内をまさぐる。清蔵が松の乳房を揉む。
「大奥様、じわーと腰動かしてええでがんすか?」と清蔵。
「ああ。“ずろ”出さねえで済むんなら、好きなようにするだ」
清蔵は男先生に習った陰核刺激を試した。恥骨と恥骨を接触させながら、腰をゆっくり廻す。右回転。左回転。そして、じわーっと腰を押し、陰核を圧迫する。
「あああーっ、ええわーっ!ううう」松がよがる。
松のよがり声が清蔵を興奮させ、腰を激しく動かしかける。
「駄目だ!動かすでねえ!」松が制止する。「じわーっとつったでねえがっ!」
「すんません、つい」清蔵がしゅんとなる。
「激しく腰使うのは、おめさんが“ずろ”出す時にとっとけ。おれはさっきみでにじわーっとでええさげ」
「へえ」
清蔵はその後五分ほどじわじわ攻撃を継続した。
「あうー、あうーっ!あうあう」松がよがる。
清蔵は松のよがり声で興奮しないように努力し、じわじわ攻撃に徹した。
「おおおーっ、いいーっ!」松が快楽に苦悶し、激しく身をよじる。
清蔵は(ひょっとして松をイかしかけているのか?)と思うが、こんなじわじわの運動だけでイかせるとは思っていない。
「あうっ!あはーんっ!死ぬーっ!」松が死んだ。
清蔵は(イかした!初めて女をイかした!)と思った。もう我慢しなくていいのだ!
「あああーっ!)清蔵が松のおまんこに激しく摩羅を突き立て、どぴゅーんどぴゅーん!と射精した。




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