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63. 窮すれば通ず

梅太郎は松に全てを報告した。芳江と明男、およびその子供たちの一家を挙げての近親相姦、そしていまや芳江が兄妹相姦の虜となり、明男もおまんの誘惑に乗ったことなど。松も、次女・芳江が郷里に戻って来た以上、相姦の輪に入れることに異存はなかった。松は芳江と明男を自室に呼び寄せた。梅太郎と志乃も同席した。

松は明男と美穂、芳江と荘太の相姦を知っていることを明らかにした。明男は衝撃を受け、俯いていた。近親相姦の果てに夫婦別居に至っている責めを明男に負わせ、責任を取らせる腹だと予測したからだ。ところが、話の内容は全く違っていた。

「明男どん」と松が云った。「芳江と縒りば戻して、おれだぢの仲間さ入(へえ)れ。おまんだけでねぐ、多代ともやれるど?仲間になれば、このうづ(家)の女、誰とでもやり放題だなだ」
「…」凄い話に明男は呆然となっている。
「女中や下働きは別だす」と志乃。「あぐまでもうづの家族と越後屋さん一家だけつうこんだ」
「梅太郎」と松。「明男どんが仲間さ入(へえ)ったら、何人の女とやれっだ?」
「へえ。七人だべした」と梅太郎。
「七人?六人の間違(まちげ)えでねが?」と、指を折って勘定しながら松が云う。
「芳江と美穂は当然として、それに多代とおまん、志乃とお美代さん、それにおっ母さんだ。締めて七人」
「おれも入れだのが?こばがくさい(馬鹿馬鹿しい)」と松。
「おっ母さんだって女に違(ちげ)えねえべ。入れて当然だ」と梅太郎。
「お義母(かあ)さんともやれるんですか?そりゃ凄い」と明男。
「明男どん、おれば笑いものにすっ気だと承知すねど?」と松。
「笑いものだなんて、そんな!本気です!」と明男。
「だども、おめ(お前)さんの好みはオナンコ(女の子)だべ?」梅太郎が不可解な顔をする。
「御承知のように、私は数年前に母を亡くしています」と明男。「美穂と交わった後、私は何故母親とやっておかなかったのか後悔しました。確かに現在の私は少女に傾斜してますが、母親的女性にも憧れているのです。芳江のお母さんとやれるなら、こんな嬉しいことはありません」
「あいやー!おれは婿どんの憧れの女子(おなご)げ」松が云い、一同どっと笑いこけた。

「ぶじょほ(失礼)するす」と外から声があって、襖が開かれた。「お茶(ぢゃ)、持って参(めえ)りやした」とおまんが入って来た。
「お義母さん、皆さん」明男が改まって云った。「有り難いお誘いなんですが、私はお受け出来ません」
「あんた!」芳江が愕然とする。芳江はもう家族乱交の世界にどっぷり浸かっていて、夫も当然その気になることを願っていたのだ。
「なしてっ?」梅太郎には解せない。
「どげん理由か、語(かだ)ってけろ」と松。
「私は教師です」と明男。「教師は都道府県単位で免許試験を受けて採用されます。東京から山形への転勤というのはありません。山形で再度教員免許試験を受けなきゃならないが、もうこの歳ではそれは難しいです」
「安月給のしぇんしぇい(先生)なんかに見切りをつけたらええべ」と梅太郎。「大学出のおめ(お前)さんなら、いぐらでも働き口はあっだ」
「私は能無しです」と明男。「教員しか出来ません。算盤(そろばん)も弾けないし、文才もないし」

「あのー」お茶を給仕し終えたおまんが恐る恐る口を挟んだ。
「おめ(お前)は黙っとれ。ちゃっちゃど、んげ(早く行け)」と梅太郎。
「いいんねが(いいじゃないの)あんた!」と志乃。「おまんに何か考(かんげ)えあるだべ。聞くだげ聞くだ。おまん。語(かだ)れ(話せ)」
「へえ。皆様御存知の男しぇんしぇ(先生)と女しぇんしぇ、東京から来たお人だけんど、二人とも山形でしぇんしぇしとらっす」とおまん。
「んだなあ。どういうこったべ?」と松。
「こっちで免許取ったんでしょう」と明男。
「梅!電話で男しぇんしぇい(先生)に訳(わげ)聞いでみろ。ちゃっちゃどすれ(急げ)」と松。
「へえ、おっ母さん」梅太郎が出て行く。
「おまん。おめ(お前)、いいとごさ気ぃついだなあ」松が誉めた。

一同がお茶を啜って待っていると、どたどたと足音がして梅太郎が駆け込んで来た。
「分(わが)った!分(わが)った!」と梅太郎。
「こっつで試験受けただか?」と志乃。
「んでね。縁故だ」と梅太郎。
「エンコって何でがっす?」とおまん。
「男しぇんしぇい(先生)と女しぇんしぇいは、東京で児童生徒と不純異性交遊をして馘になっただ」と梅太郎。
みんなが(先生はみんな助平だなあ)という目で明男を見る。明男は小さくなっている。
「男しぇんしぇい(先生)はある代議士(国会議員)に泣きついた」梅太郎が続ける。「女しぇんしぇいがその代議士とおまんこして、代わりに代議士が山形県教育委員会に圧力ば掛けて二人を採用させたちゅうこった」

「明男どん」と松。「もう心配ねえ。おめ(お前)さんをこの酒田でしぇんしぇいにしてやっど」
「ど、どういことです?」明男には飲み込めない。
「多賀屋は農商務大臣さあ(さん)にちっとさっと(かなり)の銭(じぇに)献金してるだ」と松。当時、今の農林水産大臣と経済産業大臣が一緒の、農商務大臣というポストがあった。「それは商(あぎな)いのためだども、今度ばがりは明男どんのために利用すっだ」
「ほ、ほんとですか?」明男は突如目の前が明るくなり、顔を輝かす。
「ほんてんだ」と松。「農商務大臣は有名な助平ださげ、へな(女)抱(だ)がせれば文句あんめ」
「誰ば抱(だ)がせる?志乃か、芳江か?」と梅太郎。
志乃と芳江が顔を見合わせる。突然、自分の身体が賄賂の道具にされてしまうみたいで落ち着かない。
「あのー」またおまんが口を挟んだ。
「おまん、おめ(お前)まぁんだいだのが?しっこんでろ(出しゃばるな)」梅太郎が云う。
「おまん」と松。「おめ(お前)は、さっきもいいとごさ気ぃついだだ。今度(こんだ)、何だ?」
「造り酒屋の加賀美屋の奉公人のへなこ(女の子)から聞いだ話ですけんど、加賀美屋は仙台からお役人来るどへなこ抱がせるつってたっす」とおまん。「お役人は、芸者や年増よりもわらし(子供)の方が喜ぶつう話だす」
「相手は国税庁だべな。おれもその話、聞いただ」と梅太郎。
「誰から?」と松。
「その加賀美屋のへなこがら」
「あんた、加賀美屋の奉公人のへなことまでぺっちょしてるのがっ?」志乃が眉を吊り上げる。
「は、話(はなし)しただげだ」余計なことを喋った梅太郎がしゅんとなる。

「そのへなこは歳いぐつだ?」と松。
「ずっさい(10歳)だす」とおまん。
「美穂と同い年か?」松が芳江と明男を見やる。
「ほだなごど(そんなこと)、おっ母さま!」芳江にとって、美穂をヒヒ親父の代議士に抱かせるなんて飛んでもないことだった。
「うむむ…」明男も煩悶した。自分の転勤のために10歳の娘の身体を提供するというのは、いくら何でもためらわれたからだ。
「これ幸いつうが、美穂は処女ではねえ」と梅太郎。「一晩ぐれ、ええでねが。一家揃って暮らすためださげ」
「…」松は娘と娘婿の苦しそうな表情を見やる。加賀美屋が役人に差し出したのは奉公人である。こちらは家族の大事な一員なのだ。大違いである。
「あのー」おまんが恐る恐る口を出した。
「またおめ(お前)が!」梅太郎がむっとして云ったが、これまでのところおまんの得点の方が多いので、口を結んで黙る。
「おれでよげれば、おれが…」とおまん。
「なに?」松が驚く。

「おれ、まぁんだ乳(ちぢ)も出でねし、毛も生(へ)えでねっす。背丈以外、美穂お嬢さんと大して変わらねっす」とおまん。
「おまんちゃん!」芳江が両手を胸の前で合わせて感動する。
「おまんちゃん!」明男もすがる思いでおまんを見、松と梅太郎の表情を窺う。
「んだな。おまんでもいいがも知(す)んねな」梅太郎が頷く。
「おまん!よぐ云ってくれた。おめ(お前)は多賀屋の恩人だ」と松。
「んだば、それで決まりつうこんだな」梅太郎が一件落着という顔をして、立ち上がりかける。
「んでね(違う)」松が云った。
「え?」梅太郎がずっこける。
「おまんだげに多賀屋の大事をおっ被(かぶ)せるごどは出来(でぎ)ね」と松。
「て、云いますと?」と志乃。
「多代にもやらせるだ」
「えーっ?」志乃が驚く。
「二人抱がせるのがっす?」梅太郎が呆れる。「ちっとやり過ぎでねが?」
「大臣さあがもうオナンコ(少女)の味知ってだら、一人じゃ満足しねべ。多代とおまんば並べればこんな贅沢はねえべ」
「ほほう!」明男が感心する。「そりゃ凄い!」
「男冥利に尽きるっちゅうわげだ」と梅太郎。「んだば、おれが大臣さあと連絡取るさげ」
「何卒、よろしくお願いします」明男と芳江が頭を下げる。
梅太郎が出て行った。

「明男どん」と松。「おめ(お前)さんと荘太が引っ越して来るまでにはちっと時間掛かるべけんと、おめ(お前)さん一家全員おれだぢの仲間と思ってええだな?」
「はい。そりゃもう」明男は明るい未来に浮き浮きしている。
「んだば、芳江と美穂が誰とやっても文句ねえだな?」松が念を押す。
「文句ありません」と明男。
「おっ母さま?」と志乃。「美穂に、久蔵どんと清蔵どんは早過ぎるて思うでがんす」
「おお、ほだほだ(そう、そう)。あの二人には美穂は二年待てと云わねばなんねな」と松。
「どういうことです?」明男が聞き咎める。
「凄くでけーんだ」と松。「美穂にはでか過ぎで、子宮ぼっこされで(ぶっ壊されて)しまうだ」
「へーっ?」明男がぶったまげる。
「んでも、芳江さんには丁度ええど思うだ」と志乃。
芳江が顔を真っ赤にする。芳江も突如開けた性の世界への期待に胸を弾ませている。

「んだば、相談事はお終(しめ)えだ」松が散会の意思表示をした。
「おまん?」志乃が去りかけたおまんに声を掛けた。「芳江さんを久蔵どんの部屋に案内すれ。久蔵どんが留守なら清蔵どんだ」
「へえ。んだば芳江奥様」おまんが先に立って芳江を連れて出て行く。志乃も一緒に出て行った。
「?」松が出て行かない明男を見て怪訝な顔をする。「明男どん。何したな(どうしたの)?多代の部屋さ行ぐんでねのが?」
「お義母(かあ)さん。早速ですが…」明男が服を脱ぎ出す。
「お、おめ(お前)さん、ほんてん、おれと?」松が呆れる。
「ほんてん、お義母(っか)さんとやりででがんす」明男が慣れない山形弁を使いながら松を抱き、松の着物の裾を割って56歳のおまんこに触る。
「明男、母子(おやこ)でぺっちょなんて飛んでもねえ。やんねでけろ」松が明男の母親になり切って抵抗する。
「おれ、おっ母さんとぺっちょしてえだ。やらせでけらっしゃい」明男が松の身体を押し倒し、のしかかる。
「明男!おれはおめ(お前)の生みの親だぞ?獣道(けものみち)に引き摺り込まねでけろ」と松。
「母親と息子も男と女に変わりあんめ!んだっぺ?やっぺ!おまんこすっぺよ!」と明男。
「明男。はいづは(それは)茨城(えばらぎ)弁だべ」松が云った。




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