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04. 官能

「由美、耳掃除してくれや」と宏君。
「自分でやったら?」と由美ちゃん。
「お前が上手いから頼んでんだ。自分でやっても気持ちよくないしな」
「耳掻きって気持ちよくなるためにやんの?」
「そりゃ、お掃除が本筋だけどさ。背中掻いて貰うんだって気持ちいいじゃないか」
「そっか。おんなじね」
「そうだよ。やってくれよ」
「あいよ」

宏君は由美ちゃんの太腿に頭を乗せる。柔らかい太腿が快い。見上げるとおっぱいが邪魔せず、由美ちゃんの顔がストレートに見える。ということは、妹のバストはすごく小さいようだ。
「お前、下から見ると可愛いな」と宏君。
「どうせ、まともに見たらブスですよ」と由美ちゃん。
「そんなことはない。お前、母さんに似てるよ」
「ほんと?母さんみたいな女になるかしら?」
「なるさ」

「あら枝毛がある!ここにも、ここにも!」と由美ちゃん。
「ほんとかい?」
「兄ちゃん、髪洗った後、タオルで髪をごしゃごしゃにして拭いてるでしょ。だからこうなるのよ」
「へえ?」と宏君。
「髪の流れの通りに拭かなきゃ」
「そうなのか」

由美ちゃんの耳掻きは気持よかった。そっと入れ、ぐっと皮膚を擦る緩急が絶品だった。
「はい、次」由美ちゃんが指図する。
宏君は寝返りを打ち、今度は由美ちゃんのお腹に顔を向ける位置になった。柔らかい太腿が頭の下、柔らかいお腹が鼻に接する。宏君は妹の体臭を嗅ごうとする。スカートの生地の匂いしか分らない。妹の呼吸につれてお腹が動く。宏君は妹の肉体に接していることを実感する。今まで、何度も妹に耳掻きをして貰っているが、妹の“おんな”の肉体を感じたのはこれが初めてだ。宏君は我知らず片手を伸ばして由美ちゃんのお尻に触った。
「兄ちゃんっ!」由美ちゃんが叫ぶ。
「痛えーっ!」宏君が叫ぶ。由美ちゃんの手元が狂って、耳の中を引っ掻かれたのだ。「何すんだ!」
「何すんだはこっちの台詞よ。何よ、あたしのお尻に触ったりして。スケベ!」と由美ちゃん。
「鼓膜が破れたらどうすんだよ、ああ、痛え!」宏君が起き上がる。
「あら、血が出てる」耳掻き棒を点検しながら由美ちゃんが云う。
「あら血が出てるじゃねえよ。消毒してくれよ。こんなとこ膿んだら大変なんだから」

由美ちゃんが綿棒に消毒薬を沁ませて、兄の耳に入れる。
「あつーっ!おおおっ、しみるー」宏君が呻く。
「天罰よ。人のお尻に触ったりするから」
「お尻に触るぐらいいいじゃないか。ケチ」
「お尻に触れば胸、胸に触れば下半身ってなるのよ。男ってそういうもんだわ」と由美ちゃん。
「へえー?ボーイフレンドもいないお前に、どうしてそんなこと云えるんだ?」宏君が驚く。
「同級生の女の子たちからたくさん話聞いてるの。ボーイフレンドに一つ許すと、どんどん攻め込まれるんだって。男は際限がないって、みんな云ってる」
「おれはお前のボーイフレンドじゃないよ」と宏君。
「だから尚更悪いのよ。妹のお尻に触りたがる変態!エッチ!」
「うるさい!」
「兄ちゃん、全然モテないの?」と由美ちゃん。
「モテるさ。たまには妹にも触ってやろうとしただけだ。ありがたく思え」
「何云ってるの。今度触ったら、父さんに云いつけるから。勘当よ」由美ちゃんが脅す。
「もうお前になんか金輪際触るもんか。指一本触れんぞ。さみしがるなよ」
「触ってほしくなんかないわ。へん!」

兄妹の仲はギスギスし始めた。二人とも必要最小限のことしか喋らず、目を見交わすことも少なくなった。




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