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22. 衝動

由美ちゃんが戻って来た。
「父さんと話した。父さん、ほんとはあたしが12歳の頃からあたしとやりたかったんだって」と由美ちゃん。
「ええーっ?なにそれ?」宏君が驚く。
「父さん、ロリコンの気があったみたい。でも、じっと我慢した。指をくわえてあたしの成長を見守っていた。ところが、この前、あたしが兄ちゃんにやられるのが目前に迫っていると思ったんだって」
「馬鹿な!」と宏君。
「父さんはあたしたち二人の約束を知らなかったし、フェラチオはおまんこにすぐ結びつくと思ったらしいのよ」
「だからって!」
「そう。あたしも無茶苦茶だと思う。とにかく父さんは兄ちゃんにあたしの処女を渡したくなかった。だから、矢も盾もたまらず、あたしを犯してしまったんだって」

「お前、怒らなかったのか?父さんに」と宏君。
「怒ったわよ。父さん、あたしに手をついて謝った。謝られても、もうあたしの処女は戻って来ないけどね」由美ちゃんは寂しそうに微笑んだ。
宏君は妹を抱いた。
「こんなことなら、おれがやっちゃえばよかった」
「何てこと云うの!兄ちゃん」と由美ちゃん。
「お前がルールを作ったんだぞ。処女は守り通すって」と宏君。「おれはルールを守ってたのに、父さんは横から割り込んで来てお前とやってしまった。お前は怒らない。結局、早い者勝ちのやり得じゃないか!それで済むんなら、おれがやりゃよかったんだ」
「誰にもあたしの処女を奪う権利なんかないわ。いつ誰に処女を捧げるか決めるのは、あたし。あたしの筈だったのよ」由美ちゃんが涙を浮かべる。
(その通りだ)と宏君は思った。宏君は妹が哀れだった。妹の身体をぎゅっと抱きしめた。

「由美、もう父さんのことは忘れろ。父さんを忘れておれの“おんな”になれ」と宏君。
「兄ちゃん、あたし父さん許したの。あたしには父さんの愛も必要なの」と由美ちゃん。
「父さんはお前を愛してなんかいないよ。お前の意思を無視してやっちゃったんじゃないか!それを許すなんて馬鹿だよ!」
「父親の愛と兄の愛って違うと思う。全く違う次元なのよ」と由美ちゃん。「そして、兄ちゃんには娘が父親を慕う気持ちも理解出来ないんだと思う」と由美ちゃん。
「レイプした父親を慕う娘の気持なんか、理解出来ないね」と宏君。

「兄ちゃんは父さんをライバルだと思ってるのよね。あたしにとって兄ちゃんは半分恋人みたいだけど、父さんは違う。父さんはあくまでも父さんなの。大きい存在なのよ」と由美ちゃん。
「解らん!」と宏君。
「あたしの結婚したい相手は父さんみたいな人って云えば、解って貰える?」
「お前、ほんとに父さん好きなんだな」宏君が呆れる。
「兄ちゃん、ごめん!怒らないで」と由美ちゃん。「あたし、ただ、どうして父さんに腹を立てて親子の縁を切ったりしないか、説明してるだけなんだから」

「おれ、お前を父さんに取られた気がする。おれはお前に振られたんだ」と宏君。
「兄ちゃん、そんなことない!」と由美ちゃん。
「だって、お前、父さんばっかり贔屓するじゃないか」
「あたし、兄ちゃんも好き。どっちも好きなの。家族ですもん」
「いいよ、哀れんでくれなくても」と宏君。
「そんなんじゃない。信じて!」と由美ちゃん。

「おれ、またキャバレーの女とやる」と宏君。
「駄目!絶対。兄ちゃんはあたしとやるの」
「え?」
「兄ちゃん、あたし、もう守るものがなくなった。兄ちゃんに全部上げる」と由美ちゃん。
「…」
「どっちかが結婚するまでは、あたし、兄ちゃんの“おんな”になる!」そう云って、由美ちゃんは声を出さずに、兄の胸に顔を埋めて泣いた。
宏君は、妹がまだ処女喪失のショックから立ち直っていないのだと思った。宏君はあれほど妹の肉体を自由にしたかったのだが、こんな精神状態の妹につけ込んでその身体を押し倒す気にはなれなかった。コンピュータで云えばリセット・ボタンを押したかった。

「おい、旅行しないか?二人で。北海道へでも行って、嫌なこと、さっぱり忘れようぜ」と宏君。
「ほんとーっ?」涙を浮かべた由美ちゃんの顔が輝く。
「バイトで貯めた金、全部はたけば貧乏旅行ぐらい出来るさ」
「兄ちゃん。あたし父さんから30万ほど貰ったの。母さんへの口止め料だって。それも使っちゃおう!」
「じゃ、大名旅行だ。やったね!」




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