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24. 合意

二人は網走を経由し、知床半島まで足を伸ばした。どこでも新婚で通した。おおっぴらに手をつなぎ、人目のないところでは抱き合ってキスした。本当に新婚みたいだった。由美ちゃんは毎晩天国へ行った。

アパートに戻ると母さんがぽつんと待っていた。
「あんたたち、どこへ行ってたのよーっ。心配させて、もうっ!」母さんはすぐ携帯電話で夫に子供たちの無事を連絡した。「捜索願いまで出したのよ。よその国へ拉致されたんじゃないかと思って」
「ごめん、心配かけて」宏君が云った。
「ほんとだよ。すぐ父さん来るから、ちゃんと謝るんだよ」と母さん。
「来るの?父さん」と由美ちゃん。ちょっと落ち着かない。

「で、とうとう二人でやっちゃったのかい?」と母さん。
「何を?」と由美ちゃん。
「アレだよ」と母さん。
「母さん、父さん来てから話す。いいでしょ?」と由美ちゃん。

父さんが駆けつけて来た。
「よかった!心中でもされたかと思って、心配したんだ」と父さん。
「兄妹で心中?」母さんが聞き咎める。「そんな理由あるの?」
「貴子」と父さん。「実はおれは…」
「母さん!」由美ちゃんが遮る。「実はあたし、父さんとやっちゃったの」
「お、お前!」父さんが唖然とする。
「やったって、何を?」と母さん。
「アレよ」と由美ちゃん。
「アレってナニかい?」
「そ。あたし、父さんとナニしたの」と由美ちゃん。
「ひえーっ!あ、あなた何ていうことを!」

「母さん、おれたちだってやったじゃないか。怒る権利ないよ」と宏君。
「何だって?」父さんが飛び上がる。
「母さんとおれもナニしたんだ。最近」
「兄ちゃん、それほんとなの?」と由美ちゃん。
「黙ってて、ごめん」と宏君。「母さんがね、昏睡状態のお前におれがナニしちゃうんじゃないかと心配して、それを防ぐためにやらしてくれたんだ」
「そういうことだったのか」父さんが肩を落とす。
「母さん!」由美ちゃんが感動する。
「由美の処女を守るためにあたしが身を投げ出したってのに、選りに選って父親がやっちゃうなんて」と母さん。
「済まん!」と父さん。

「母さん、あたし兄ちゃんともやったの」と由美ちゃん。
「やっぱり」と母さん。
「やっぱり」と父さん。

「お前たち」と母さん。「もう出来てしまったものは仕方ない。二人で暮らしてるんだから、止めろって云っても止められないでしょ。宏、由美子を妊娠させたりしたら承知しないからね。注意すんのよ!」
「はい!」と宏君。
「それからね」母さんが続ける。「おまんこばかりやってて、勉強おろそかにしちゃいけないよ。学費送ってるのは、お前たちにおまんこさせるためじゃないんだから」
「分ってる」と宏君。
「あたしたち、ちゃんと勉強もしてるわ」と由美ちゃん。
「落第でもしたら、すぐ退学させるからね!次の日から自分で稼ぐのよ」と母さん。
「分ったよ」と宏君。

「それはそうと」と母さん。「由美子はこれからも父さんともやるつもりなのかい?」
「母さんと兄ちゃんが許してくれれば…」と由美ちゃん。
「由美っ!」父さんが感動する。
「宏があたしともやってくれれば別だけど、そうでないと不公平だわ」と母さん。
「おれ、母さんともやりたい」と宏君。
「ほんとかい?」と母さん。「あなた、いいかしら?」
「も、もちろんだ」父さんは胸を撫で下ろす。
「兄ちゃん、ありがと」由美ちゃんがほっとする。
「宏。貴子を妊娠させないでくれ」と父さん。
「あなた!あっははは」母さんが笑う。

「じゃ、みんなで銭湯に行かない?」と由美ちゃん。「帰ったらみんなでやるの。家族揃って、仲良く」
宏君は驚いた。妹は処女でなくなったらもの凄く大胆になった。可愛い妹を独占出来ないのは残念だが、妹が父を愛している以上、仕方が無かった。
「おでんで乾杯するか」と宏君が云った。
「おれが奢る」と父さん。
「わーい!」と由美ちゃんと宏君。
父さんは台所に行き、バイアグラを服んだ。

一家は銭湯に行った。娘は母さんの背中を流す。息子は父さんの背中を流す。
「悪かった」背中を向けたまま、父さんが云った。
「あれで良かったんだよ、きっと」と宏君。父が妹の処女を奪わなければ、宏君は一生妹と結ばれることはなかった筈だ。

銭湯を出た一家はおでんの屋台の暖簾をくぐった。
「らっしぇーい!」と親父。「あ、新婚さん、今日は親御さんと?どっちの御両親?奥さん?旦那さん?」
「両方の親だ」と父さん。
「へ?」おでん屋の親父はぽかんと口を開けた。




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